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君は無敵の姫君  作者: violet
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痛み

ゴンゴンッ。

レイクリフがマーガレットに小突かれている。

「貴方、情緒欠乏?

何とも思わないわけ?」

「痛いけど?」

ギッ!とマーガレットが睨む。コイツ、本当に何とも思っていない。自分で、一時とはいえ関係のあった女性を処刑したと言うのに。

「痛いから、そろそろ止めて欲しいな。」

シレッとレイクリフが言う。

ガンッ、マーガレットの蹴りが炸裂する。


「それはそうと、毎日届くお花ありがとう。

もう十分なので遠慮したい。」

花はもらった後の管理は大変だ、器を選び、毎日水を変え、痛んだ花を摘み取る。それが毎日増えていくのだ。

「イヤだ。」

即答するレイクリフの頭に、ミッシェルの処刑前に情報交換したギリアンの言葉が甦る。




「孤児院の事件の翌日、ジルベール殿下からマギーに花束が届いたよ。マギーが返事の手紙を書いたようだ。」

二人とも想いあっているのか、返事も手紙も貰った事のないレイクリフは不安に思うが、今さらである。もし、マーガレットがジルベール殿下を想っていても結婚するのは自分だ、身を引いたりなどしない。


「ジルベール殿下に怪しい動きはない。ウォール王国との接点も探れなかった。

公にはされていないが、殿下には縁談があり、保留となっている。王太后様の母国、ランドベルメ王国には男子王位継承者がいない。王女との縁談だ、王配ではなく、王となる。」

ギリアンの情報は軍の情報部に劣らないなと感心しながら聞いていた。

マーガレットの婚約だけでなく、ジルベール殿下自身も追い詰められている、のかもしれない。

ウォール王国では武器の購入や軍補強がめざましい。結婚式の前に戦争が始まるかもしれない。

ギリアンもレイクリフもその点で意見が一致した。





戦争が始まったら、自分は戦地に行く。それはマーガレットと長い別れになる、生きて帰りたい。

「マギー、心が痛い。慰めてくれるか?」

「バカやろー!!」

マーガレットが叫んだ時には、レイクリフは殴り飛ばされていた。

「ひどいよ、マギー。」

「デカイ身体で甘えるな!」

ハハハ、と笑いながらレイクリフが信じられない事を言う。

「俺達、結構仲いいよな。」

あまりの言葉の衝撃に、マーガレットの拳が出遅れた。

「俺達、親公認というか、国公認だし、そろそろいいんじゃない?」

はい?コイツは何言ってる?マーガレットの頭が理解したくないと拒否している。

顔を近づけてきたレイクリフの鳩尾にマーガレットの拳が決まった。





アハハハハハハ!

「姫さん、最高だね!

レイは今まで女の方から寄ってきたから、扱い知らなすぎ!」

昨夜の出来事を聞いたイースが、腹を抱えて笑っている。

「喜ばしたいんだ、笑って欲しいんだ。」

「姫さん、ワイルドだけど純情そうだよ。他の女と同じように考えちゃいけないよ。」

ジルベール殿下には微笑んでいたんだぞ。孤児院での二人の姿が脳裏に焼き付いている。



穏やかな日々は短かった。ミッシェル以外の進展がないまま、ウォール王国が国境近くに進軍しているとの情報が入ってきた。



「将軍!」

ギリアンがレイクリフの将軍執務室に飛び込んできた。

「どうした、補佐官。」

そう言いながら、ギリアンの表情を読んだのだろう。

「結婚式のことでトラブルがあったらしい。公爵家のことだから、みんな少し席をはずしてくれ。」

レイクリフは部屋にいた武官達を追い出して、レイクリフ、イース、ギリアンだけとなった。


バサッ、と取り出した書類を机に広げ始めたギリアン。

これは?と目で聞いてくるレイクリフにギリアンは、一枚目をわたす。

「武器のリストだな、しかも昨年、我が軍が購入した銃と同じ仕様だ。」

「当たり前だ、同じ物だからな。」

え、ともう一度書類上を見直すレイクリフ。

どこから手にいれたか、それはウォール王国軍の武器リストであった。恐ろしい情報力である。


「この数年、財務部より軍の予算が大きいと突き上げがきていてね。遠征はあったが、戦争はないのに、武器購入が大きい。

訓練でも壊れたりして消費するが補填する武器が多いんだ。」

レイクリフもそれは知っている。壊れただけでなく、最新に買い換える必要もある。

「不審を抱いた我々は、軍に納入する際に、使用するのに支障がない部位に僅かに傷を付けた。」

ギリアンの説明で答えは想像できる。

「そうだ、ウォール王国の武器の中に、傷の付いた銃がある。」

「裏切り者は軍の中にいたのか!」

ウォール王国に武器を横流しするとなると、大掛かりな規模になる。


「裏市場に売った物が、ウォール王国に流れたのかもしれない。どちらにしても、大変なことだ。

そして、我々は突出して武器補填の大きい部隊にその傷を付けた銃を納品させた。」


「どこだ、それは?」

立ち上がったレイクリフの声は低く、怒りを抑えているのがわかる。


「北方第3部隊、今頃は宰相が王に報告している。」

ギリアンの声は冷静で、すでに何度も宰相と確認してから来ているからであろう。

女性を喜ばす方法が最低なレイクリフ。マーガレットにボロボロにされるがいい、がんばれ、マーガレット。

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