第三百六十三話 『最新AI』
「はっ!」
「グオォォォォォ」
タカヒロが槍で攻撃を放った。
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空気を切り裂く音がした。
その瞬間決着がついた。
「くっ、避けられたか・・・」
タカヒロがつぶやく。
そう、SSクラスの武器グングニルが放った攻撃を、最新AIを持つウォーマシンは避けたのだった。
「いままでの行動パターンから、先読みしたんだ」
僕がつぶやく。
『ラスト・オンライン』のCPUはただ高速で反応するというわけではなく、最新AIが搭載されている。
「すごい!人のカンみたいだね!」
サラが言う。
サラがこういうということは、サラもここではこういう技がくるなというカンが働くということだろう。
「そう、さすがサラ、わかってるね」
僕が言う。
サラの直感はいつもただしい。
まさにAIはそういう仕組に近いといえる。
「え、どういうこと?」
サラが僕に聞く。
確かによくわからないだろう。
わかっていることをわかっていなかった。
「最新AIは、昔のAIのイメージとは違って、むしろ人間の直感に近いような動きをするんだ」
僕が説明する。
昔のSFで考えられていたAIの仕組みと、現代AIの仕組みは根本から違う。
「あ、人の動きから学習しているからですか?」
奈緒子が僕に聞く。
そう、ビッグデータ。たくさんの人の動きのデータからAIは学習して動きを選定している。
「そう、昔のマンガのAIのような、一から学習するけど、人の心がわからない、みたいなイメージとは真逆で、今のAIは、この行動をした人は行動するというデータをひたすら集めるので、理屈じゃない直感的かつ人の感性のような動きをするんだ」
僕が説明する。これが現代AIの面白いところだ。全人類のデータを元に人がするであろう動きを予測して行動しているのだった。
「すご!」
サラが言う。
なので達人が理屈ではわからない動きをしていたとしても、前後の流れから似たような状況があればその行動をとるので、まるでカンで動いているようにすら見える。
「つまり、あの距離なら、タカヒロさんがまっすぐ突きを放つと予想したんですね」
奈緒子が分析する。
「そう、タカヒロならあの距離でしっかりヘッドショットを狙えるだけのスキルがあって、落ち着いてしっかり狙ってくる、というのが直感であたったんだね」
僕がAIの思考を説明する。他にもいくつか行動を予測した中で、一番可能性の高い行動を選択したのだろう。
「残念だ。仕方ない。君たちは勝ってくれよ!」
タカヒロはウォーマシンの反撃をくらい戦闘不能になりながら、僕たちに言った。
「もちろん!」
サラがタカヒロに答える。
「ララちゃんルルちゃんも、この戦いが終わったら遊ぼうね!」
サラは相手チームのみんなに向かって言った。
「うん、ぼくも剣術教えてほしいしね」
僕がタカヒロたちに向かっていう。
タカヒロはにっこり微笑んで消えていった。
「さて、いっちょやったりますか!」
サラはウォーマシン三体に向かって言った。





