第百六十六話『サラのオート操作』
すると、奈緒子の放った、その炎はわずかにずれて、風船を通りすぎてしまう。
炎は、シュッと通り過ぎ消えた。
「ああっ!難しい!!」
と奈緒子は悔しそうに言う。
「でも練習すれば出来そうですね!」
と奈緒子は微笑んだ。
そう、なにげに彼女も負けず嫌いなのだった。
「なにげに負けず嫌いだよね!」
と僕が奈緒子に言う。
「ふふふ!」
と奈緒子は微笑んで、肯定も否定もせずに、マニュアルで炎の呪文を当てる練習を続けた。
「騎乗 - ライディング」の時などのこの三人で競争するときに僅かに見せる闘争心、普段は丁寧な口調で綺麗に隠してあるけど、ゲームも好きだし負けず嫌いなところが奈緒子の可愛らしさにつながっているな、と思った。
「ファイヤー!」
と、マニュアル操作で狙いをつけて、魔法を放つ奈緒子。
すると、今度は、しっかりと風船をとらえた。
「やたっ!やりましたジュンさん!」
と喜ぶ、奈緒子。
「おー!すごい!」
と僕が言う。やはり乗馬も得意だし、運動センスは言うほど悪く無いと思う。いままで必要がなかっただけだ。
「サラは逆に、『オート操作』を試してみるといいと思う」
「お?そうですか?」
今回のコンセプトはいろいろ基本的な事を試してみるということだと思い出し僕は提案した。
その僕の提案に、謎の敬語で聞き返すサラ。
「うん、ちょっと道具で試してみるのがいいと思う」
「どうぐ!!そういえばちゃんと使ったことなかった!」
と僕の提案にサラが言う。
そう、何でもかんでも体術で解決してきたからだった。
「なにか、投げる武器で試すのがいいな!」
「ほう、投げる武器?」
と僕とサラ。
「うん、ここの武器屋さんは道具屋さんとつながってるから、道具も試しに使うことができるよ!」
「へー!どれがいいの?」
と、サラが聞いた。サラにアイテムセレクトのやりかたを教えて、試し打ちが出来る、アイテムリストが表示された。
「お、いろいろ出てきた!」
とサラが言う。
「しびれ薬、あたりがいいかな、投げて当てると効果が発動するアイテムだからちょうどいいと思う。一回、『オート操作』に切り替えてみて」
「ほいほいー」
と言いながら、腕を振ってウインドウを出して、設定から操作方法を切り替えた。
「ぐっ!動けない!」
「ずっと、マニュアル操作でやってたんだもんね。それはそれですごいな・・・」
と僕はサラに驚く僕。
「はい、アイテムをセレクトしたら、ターゲットを選択して!」
と僕が説明する。
「はい、決定!」
と僕に言われたとおりに、サラが決定ボタンを押すと、サラの体がオートで動きだし、ターゲットの風船にしびれ薬を投げた!!
すると、シュッと手元から放たれて、風船に当たった。
「おおお!すごい!必ず当たるんだ!!」
とサラが喜ぶ。
普段ならピョンピョン飛び跳ねるところだが、オート操作のサラはおとなしく喜んだ。
「そう、それが『オート操作』のメリットだ!」
と僕は微笑んだ。





