第百六十五話『マニュアル操作と魔法』
パパパパパン
と、サラが一瞬で五個の風船を割る。
「やっぱり得意だったね!」
と言う僕。
「サラちゃん、凄すぎます!」
と言う奈緒子。
「え?これすごいの?」
と、自分の身体能力の凄さがわかっていないサラが皆に褒められて、微笑んだ。
「すごいよ!エイムってそもそもかなり難しいものだからね。鉄砲の打ち合いのゲームは昔から敷居が高いゲームと言われてたんだ」
「へー!」
と僕とサラ。
「この体の動きを読み取ってくれる『バーチャルウォーカー』が凄いとも言えるけどね、それにしてもサラみたいに出来る人はいないと思うけど」
「昔はどうやって狙いをつけてたの??」
と僕の説明にサラが聞く。
「マウスだよ!」
「マウス!!聞いたことある!私は触ったことない!!」
と僕の答えにサラがくいつく。
「お兄ちゃんがたまに使ってた。ゲームには必要なんだって!仕事は基本的にはキーボードだけでやるのが効率がいいんだ!みたいな良くわからないこと言ってた!」
と、サラが笑う。
「へー、プログラマっぽいね!」
と僕が言う。
真のプログラマはマウスを使わずに黒い画面とショートカットだけで全部作業してしまうというのを聞いたことがある。そういうことが出来る優秀なプログラマは何百人分の仕事を一人で出来てしまうらしい。
「エイムは難しいですよ!でも最近はマウスやアナログスティックだけじゃなくて、コントローラのジャイロで出来るものが増えて、女の子でもやりやすくなったんですよね!」
「そうそう、テーマも戦争だけじゃなくて、水鉄砲であてるような、カジュアルなものも増えてきたんだよ」
と僕と奈緒子がゲーム話で盛り上がる。
「うん、よくわからなくなってきたけど、体の動きでやりやすくなって来たってこと?」
「そうそう、そういうこと、ほんとカンがいいよね!」
とサラが聞き僕が笑う。
「そうでしょう!そうでしょう!」
エッヘン!と胸を張るサラ。
温泉回で奈緒子がサラは出るところが出ているというようなことを言って、気になって見てしまった。
「あ、またイヤラシイ目で見てる!」
とサラが僕に言う。
「滅相もございません・・・」
と丁寧に否定しておいた。
「えい!!」
と、奈緒子が杖で風船を叩く。
ぎこちない可愛らしい動きだった。
「やっぱり難しいですね『マニュアル操作』」
と奈緒子が言う。
この「ラスト・オンライン」には『オート操作』『セミオート操作』『マニュアル操作』がある。
魔法使いは『オート操作』の人が多い。
「でも、瑠璃ちゃんも『マニュアル操作』でしたし、魔法使いでも『マニュアル操作』の方が有利な場面があるんですよね」
と奈緒子がいいながら風船に攻撃している。
『ファイヤ』
奈緒子は炎の魔法を発動し、的に向かって『マニュアル操作』で杖で狙いをつける。
すると、その炎はわずかにずれて、風船を通りすぎてしまう。
「ああっ!難しい!!」
と奈緒子は悔しそうにいう。
「でも練習すれば出来そうですね!」
と奈緒子は微笑んだ。
そう、なにげに彼女も負けず嫌いなのだった。





