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【書籍化・コミカライズ】断罪される公爵令嬢、生まれ変わってラスボスの王妃様の子どもになります  作者: りょうと かえ
お披露目パーティーで頑張ります

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20.小鳥の魔道具

 いくつもの仮縫いドレスを試し、鏡の前に立つ。

 軽く化粧もすると……うーん、可愛い。


 自分のことながらびっくりする。

 顔の造形が良すぎるのです。天使ですよ、これは。

 自画自賛が過ぎるかもですけれど。

 まだちょっと手足は細いですが、パーティーまでにふっくらするでしょう。

 しっかりと食べていますからね。


 王妃様はというと、さっきからずっと私のドレス姿にご満悦です。

 

「ああ、可愛いわ! とっても素敵! うーん、着てもらう甲斐があるわ」

「そ、そうでしょうか」

「ええ、ドレス職人も喜ぶでしょう! 腕の振るいがいがあるに決まっています!」


 ドレス職人さんも?

 大げさな気もしますが……でも王妃様ほどの人に褒められて悪い気はしません。

 ちらっとフェルトを見ると、彼も頷きます。


「とっても綺麗だよ。王宮の華だ」

「……は、はい」


 真顔でそんなことを言われると、照れます。

 八歳の子どもなので、他意はないのでしょうが。

 

 フェルトも恰好良すぎるので、言われ慣れているのでしょう。

 そして言い慣れてもいます。

 私はまだ恥ずかしい気持ちが出てしまうのです。


 そんな私の心境を察したのか、フェルトが私の手を握ります。


「大丈夫。僕もそばにいるからね」

「う、うん……! 頼りにしてる」


 ちょっと情けないかもですが。

 王族経験はフェルトのほうが圧倒的に上です。


 ここは素直に彼に甘えましょう。

 無様な醜態を晒すくらいなら、彼に頼ったほうが絶対いいです。


「そうね、フェルト。きちんとダンスでもリードするのよ」

「はい、母上」


 ……。

 

 そ、そうですよね。

 パーティーなんですから、ドレスだけで終わりません。

 ダンスくらいはやらないと。


 う、うぅ……ちゃんとできるかな?

 

 頑張ります……!




 

 で、ローラ先生の授業では魔力の制御術をさらに高めていきます。

 今日の内容はこれまでになく高度です。


「リリアちゃん、フェルトくん。ふたりの制御術は日々進歩しています。

 なので、今日からもっと高度な内容に移ります」


 ローラ先生が立ち上がって部屋を往復します。腕には細い腕輪型の魔道具があります。


 彼女の魔力が腕輪に注ぎ込まれると、青い小鳥が腕輪の上に現れました。

 小さくて頭をしきりに動かしています。

 でも半透明な小鳥です。多分、生きてはいません。


 ホログラフィック……のような魔道具でしょうか。


 ローラ先生は魔道具を発動させている最中も部屋を歩いています。


「動いたり話していたり、その中でも魔力を維持してみましょう」


 聞くだけで難しそう。

 静かに座って発動させるよりも相当ハードルが高い。


「一応、先に言っておきます。じっとしたまま発動させるほうが楽です。動いたままで発動させるのが得意な人は多くありません」

「そういうものなのですか?」

「戦闘を本職とする人は動き回って発動させる力がないとですが……。でも、そういう人はほとんど静かに集中することが苦手です」


 ふーむ?

 人によって静止状態と行動状態の集中のどちらが得意かは別、ということかな。


「ですが座ったままの集中が基本なのには理由があります。フェルトくん、なぜかわかりますか?」

「はい。魔道具を作る時は座ったままが基本だからです」

「その通りです。動き回って発動させるのは、応用です。動き回りながら付与魔法は刻みませんからね」


 なるほど……。

 まぁ、魔道具作りは座ってやるよね。



 ということで座学を終えて、実際に魔道具を身に着ける。

 ちょっとぶかぶかな腕輪型の魔道具だ。銅に青の刻印が入っている。


 最初は立った状態で魔道具を発動させる。

 まだ目を閉じていてもいい。

 

 ゆっくりと意識を腕輪に向ける。

 なんとなくだけど、構造がすっとわかる。

 発動自体はとても簡単な魔道具だ。玩具のようなモノ。

 問題は座った状態じゃないだけ……。


 すうっと息を吸う。

 心臓の奥。身体の奥から魔力が腕に流れる。


 ――この子はどんな子なんだろう。


 いくつもの魔道具に触れ。

 でもひとつとして同じものはない。


 魔道具の声を聴くのが、私は楽しみになっていた。

 ゆっくりと心躍らせながら魔道具を確かめていく。


『ぴーぴー』


 雀のような鳴き声が聞こえる。

 この魔道具も鳥なのかな?


 腕を上げる。

 魔力が魔道具に巻きつき、注ぎ込まれる。


「リリアちゃん、よく出来ていますよ」

「……はい」


 焦らずに。

 鳥。空。鳴き声。


 付与された魔法を発動させる。


『ぴー!』


 目を開く。

 腕輪の上に赤い小鳥が立っていた。


 こんもりとして可愛らしい。

 小鳥が首を傾げる。

 

 私は思わずそれに反応してしまった。


「こんにちは」

『ぴっ!』


 小鳥が羽を広げて腕から飛び立つ。

 そのまま赤い軌跡を残して小鳥が消えた。


 とっても綺麗。

 この魔道具を作った人は、小鳥がとっても好きなんだろうな。


 そして腕輪に目を戻すと、また小鳥がいた。

 これは魔道具の玩具なので、この工程を繰り返すのだ。


 見ていたローラ先生が拍手する。


「素晴らしいですね。すでにコツを掴んでいます」

「ありがとうございます」

「この魔道具、誰が作ったのかわかりますか?」

「……いいえ?」


 私が知っている人なのかな?

 首を傾げると、ローラ先生が答えてくれた。


「この魔道具を作ったのは、王妃様ですよ」


 なんと……!

 王妃様がこんな素敵な魔道具を作っていたとは。

 子どもにはぴったりの魔道具だ。

 美しくて遊び心がある。


 うーん、私もいつか、こんな魔道具を作ってみたいなぁ。

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