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ダーティ・スー ~物語(せかい)を股にかける敵役~  作者: 冬塚おんぜ
FINAL MISSION: 彼こそが、ダーティ・スー
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FINAL RESULT


 クラサスへ。

 指定した条件を満たしたから、一定期間のデータを収集したリストを送る。

 お眼鏡にかなう奴はいるか?

 正直、60年も観察し続けたといってもそこまで詳しくは掴みきれてないぞ。

 それでもいいなら、受け取ってくれ。

 実際、手が足りてないってのは否定しようがないしな。

 連中は……ダーティ・スー軍団は、今も仲間を増やしつつある。

 奴に殺意は無いにしても、他所の連中にナメられたら商売上がったりだ。

 ここらで頑張ろうな。

 幸運を祈る。 ―― スナージ



◆ボンセム・マティガン

 砦街道(旧称:草原帝国)を名乗る小規模勢力に所属するピザ屋の新オーナー。

 魔王ダーティ・スーを討ち取った勇者マキトの行きつけの店として有名。

ダーティ・スー一味について:

「面白い連中でしたよ。俺の人生は、大きな転換を迎えました。他の人にとってそれが良かったか悪かったかは解らんのですが、俺は、これで良かったと思ってます」


◆ソリグナ・ソラエムス

 望まぬ妊娠だったが子に罪は無いとして、受け入れて出産。

 子は自由恋愛の末に孫を授かった。

 我が子が独立してからは出身地であるソラエムス孤児院に投資し続け、グランロイス共和国アマディアエシュ子爵領の復興に間接的ながら寄与した。

ダーティ・スー一味について:

「夢の中で何度も“人類を滅ぼす”と書いていたけど、あれがなにかのお告げだとしたら、きっと彼は誰かに託したのよ」


◆ヴィサニカ

 ソリグナの伴侶として支え続け、ナターリヤの義肢の広告塔としても活躍。

 また、ソリグナの実子にも惜しみない愛情を注いだ。

 結局その一生涯において同じ種族たるケンタウロスは発見できなかったが、

ダーティ・スー一味について:

「大切な人の、恩人。お礼をしそびれた」


◆リツェリディエル

 魔王大戦で指導者を失ったガスタロア自治区の再建に尽力。

 古代エルフ達や純血主義連盟からは疎まれたが、ナターリヤの組織をはじめとする元中規模武装勢力との停戦協定など、非常に難しい案件をクリアしてきた。

ダーティ・スー一味について:

「姉が死ぬ遠因である事には変わりありませんが、あんな奴らでも姉は楽しそうにしていたみたいですから、許します」


◆リコナ・ベルルコア

 何かとメンタルを壊しがちなリツェリディエルを、精神的な部分で支え続けた。

 一方で、スラム街の子供たちの就職支援にも従事。

ダーティ・スー一味について:

「まっとうな解決なら感謝してもいいんだろうけどさぁ。あいつらまともじゃねーから絶対感謝してやんねーわ」


◆オラモンドのブロイ

 クラサスの連絡員として活動。

 魔王大戦が収束したあとはジルゼガットを拘束し、クラサスに届けた後は消息を絶つ。

ダーティ・スー一味について:

(NO DATA)


◆ギーラ・バズリデゼリ

 故郷のカイエナンに帰り、一生を過ごした。

 勇者連合の一人であるフレンとの間に一子を授かり、バズリデゼリの鍛冶屋を継ぐ。

ダーティ・スー一味について:

「何を考えているかよくわからない、怖くて変な人でした。一緒にいた女の子はまともそうだったけど」


◆フレン

 魔王大戦収束後は冒険者を廃業し、ギーラの子を育てた。

 カイエナンの復興を完了させてからは、住民の悩みを解決する“何でも屋”をしていた。

ダーティ・スー一味について:

「マキトがとどめを刺してから数十年した今でも、どこかで見ている気がする。頼むから化けて出て来ないでほしい」


◆ドリィ

 フレンの助手をしつつ、獣人の地位向上について少なからず貢献した。

ダーティ・スー一味について:

「あいつの匂いはもうどこにもない。イヤな匂いだったけど、忘れちゃいけない気がする」


◆サイアン

 精神操作の魔眼は封印証明書を取得し、以来現在に至るまで遵守し続けている。

 人外めいた膂力は“双月そうげつさかずき”の用心棒として、組織が解体され各地に散っていくまで活用していた。

ダーティ・スー一味について:

「本能的に求め続けていたけど、彼がこの世から出禁になっちゃった今は、不思議と冷静でいられるんだ。ここだけの話、自分を見つめ直すきっかけをくれた事には感謝してる」


◆暴食竜テルラゴーサ

 サイアンの部下として“双月そうげつさかずき”に所属。

 魔王軍の幹部“憑蝕竜レヴィリス”による支配を脱してからは少しずつ人間だった頃の記憶を取り戻しつつあった。

ダーティ・スー一味について:

「そやつについては妾の記憶に無いが、噂によれば随分と慕われておったようじゃな」


◆イスティ・ノイル

 戦後はマキトと結婚したが既に子を成せぬ身となっており、血の繋がった子はいない。

 当人は至って涼しい顔で「私の手の届く範囲で、親なき子達の母親になればいいだろう」と豪語した事が石碑や文献などに残されている。

ダーティ・スー一味について:

「腰巾着どもに興味はない。あの時そうしてやったように、見逃すが……問題はダーティ・スーただ一人だ。どんな世界で出会おうと、何度でも殺してやる」


◆マキト・ツガワ

 勇者連合の代表として魔王大戦の爪痕残るグランロイス共和国とルーセンタール帝国の復興を主導。

 戦後の国家間バランスの調整に生涯を捧げた。

 何度も暗殺されかけたが、イスティらと共にすべて退けた。

ダーティ・スー一味について:

「たぶん来世でも見つけちゃったら目が離せないだろうね。その時は、今度こそあいつの正義を検証するよ。いつかあいつが僕らにそうしたように」



スナージへ

 必要な情報は揃っている。

 ここからだと、マキトとイスティが適任だろう。

 協力者(エージェント)になってもらうよう交渉する。

 他は規定通り、女神に送るとしよう。 ―― クラサス




 最終話までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

 きれいに終わらせるにはどうしたらいいんだろうと、ずっとずっと考えてきた結果、やっと妥協点に辿り着けました。

 皆さんにとっても納得感のある内容である事を祈ります。

 重ね重ね、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 長い間楽しませて頂きました、ありがとうございました! [一言] 無事完結おめでとうございます!
[良い点] これまでの旅がダーティ・スーにとっても、世界にとっても一つの決着となって納まったこと。 異世界転生者はどこから来るのか。 彼らはどこへ行き、どこへ帰るのか。 そして何を成すのか。 そういっ…
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