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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『魔王と勇者の継承者(デュアル・ヘリテイジ)ダイ・マオウの大冒険』

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第9話 裏切り刃 成敗! その3《死闘とゼロの正体》

閉ざされた重厚な氷の扉がゆっくりと開く。

その先に立っていたのは、漆黒の長衣に銀の髭をたなびかせる男


白刃衆 長官、家満いえみつ

その背には“月輪の紋”、手には漆黒の刺突槍「影貫かげぬき」が握られていた。


挿絵(By みてみん)


ダイ・マオウは歩みを止める。

リーリアとユキネも、空気が変わるのを肌で感じていた。


「……ユキネ。氷牢を破り、魔王の血と歩を共にするか」


「私が信じたのは、言葉。そして――剣。あの時の“あなた”にはそれがなかった」


「ならば見せろ。“氷”に託した、おまえの意志を、武士道に習い貴様に一騎打ちを申し込む!」


【家満とユキネの死闘】


氷の床が軋む。

白刃と漆槍が、電撃のようにぶつかり合う。


家満の刺突は鋭く、すべて急所を狙う殺意の連打。

一撃ごとに氷の壁が砕け、風圧で空気が裂ける。


ユキネもまた応じる。

一撃ごとに冷気をまとわせ、刀身が白く輝く。


しかし


「見切ったッ!!」

家満の連突が、ついにユキネの左腕をかすめ、血が飛び散る!


「貴様など、百戦練磨のこの私に敵うものか!!」


ユキネは息を整え、目を閉じる。


そして、ゆっくりと歩を進めた。


「“裏切り”を裁けるのは、正しさではない。

 私が信じてきた“想い”だけです」


彼女の背に


燃える“太陽”が昇る。

凍月楼の天窓から差す真昼の光。

あえて逆光を背にし、刃を伏せ、沈むように


かがんだ。


家満「……!? 見え――ッ」


一瞬、視界が“白く焼かれた”。


ユキネの脚が、氷を砕く勢いで踏み出す。

背を丸め、重心を極限まで下げた姿勢。


それは、


『白刃奥義・凍牙突き』

一切の無駄を捨て、ただ喉元を突くためだけに存在する型。


氷刃が、光を裂き、空気を突き、


「“ッ――ッ!!!”」

家満の瞳が見開かれる。

冷気を帯びた一突きが、喉元を直撃。


挿絵(By みてみん)


「「家満 成敗!」」


刹那の静寂。

氷の粒が、血とともに宙を舞う。


家満はよろめき、片膝をつき

喉を押さえ、声にならぬ呻きを漏らす。


ユキネは剣を納め、ただ一言。


「これは、“裏切り”ではありません。私の“覚悟”です」


「……アンタ、何を隠してる?」


「……“ゼロ”の名を聞いたな?」


「現在のゼロ部隊の総指揮官……」


「ゼロは……“お前たちのよく知る者”の血を引いている」


「……えっ……まさか――」


家満は一歩進み、言い放つ。

「ゼロは、“賢者サーテンリ”の血を引く者だ“」


全員が息を呑む。


「……つまり、彼は……かつてこの世界を救った、英雄たちの“遺志”を継ぐ者……?」


「だがゼロは、その遺志を裏切った。“魔王の血”と手を組もうとしている。」


家満が崩れ落ち、

氷の牢に、静寂が戻る。

だが、その静寂はもう、かつての沈黙ではなかった。


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