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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『さっちゃん先生の双子物語 アカネとソラ 』

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第1話 鬼教師の双子として

入学式の日。

魔界医療看護専門学校の中庭は、朝からざわついていた。


「……あれ、見て」

「まさか……」

「本当に子どもだったんだ……」


視線の先にいるのは、二人。


赤い角を持つ少女と、淡い青角の少年。

同じ制服、同じ背丈。けれど、立ち方はまるで違った。


アカネ=ハワード=オニは、背筋をまっすぐ伸ばしていた。

顎を引き、視線は正面。

まるで“すでに評価されている”ことを前提にした姿勢。


(大丈夫。私は、ちゃんとやれる)


胸の奥で、何度も言い聞かせる。

鬼教師・さっちゃんの娘。

期待されないはずがない。

失敗なんて、許されない。


母の名前を、汚さないために。


一方、隣のソラ=ハワード=オニは、少し力を抜いていた。


「ねえ、アカネ。肩、上がってるよ」


小声で言って、へらっと笑う。


「姉ちゃんがそんな顔してるとさ、

 周りまで緊張するんだけど」


「……ソラは緊張しないの?」


「んー?」


少し考えてから、素直に答える。


「姉ちゃんが大丈夫なら、大丈夫かなって」


その言葉に、アカネは一瞬だけ目を伏せた。


(ずるい……)


同じ環境、同じ血。

それなのに、ソラはこんなにも軽やかだ。


壇上に、教師陣が並ぶ。


その中央に立つのは

鬼族の女医、伝説の教育者。


さっちゃん先生。


角は立派なまま。

白衣の上からでも分かる、圧倒的な存在感。


だが、視線が双子に向いた瞬間だけ、

ほんの一瞬、柔らかくなる。


アカネは気づき、すぐに目を逸らした。

ソラは気づいて、にこっと笑った。


「新入生諸君」


さっちゃんの声が、場を支配する。


「ここは、命を扱う場所です。

 才能も、血筋も、関係ない」


一拍。


「必要なのは、“向き合う覚悟”だけ」


アカネの背筋が、さらに伸びる。

ソラは、そっと姉の手に触れた。


(私は、前に立つ)

(俺は、後ろで支える)


まだ言葉にしていないのに、

二人は同じことを思っていた。


同じ日に生まれ、

同じ母を持ち、

それでも立つ場所は違う。


鬼教師の双子として始まる、

二人の青春医療物語。


その第一歩は、

静かで、確かだった。


先生


さっちゃん先生

魔界医療看護専門学校・元鬼教師/

現・ONI FAMILY MEDICAL CENTER 所長

鬼族最強クラスの治癒師。厳しくて泣き虫。


エリオット=ハワード

人間の医療研究者/魔界医療顧問

理論派・冷静沈着。家庭ではややポンコツ。


蒼井教授

魔界大学・外部医療顧問

氷系治癒理論の第一人者。相変わらず人気。


カグヤ=ナースロッド

元生徒 → 現・実技教官

現実主義の塊。恋愛と心霊は今も否定派。


焔丸ほむらまる

元クラス委員長 → 現・規律担当教官

真面目すぎるが、学生からの信頼は厚い。


生徒


アカネ=ハワード=オニ(15歳)

鬼×人ハーフ/治癒+感情共鳴型

内省型・責任感の塊。無茶を自覚していない。


ソラ=ハワード=オニ(15歳)

鬼×人ハーフ/魔力制御・補助特化

明るいムードメーカー。姉優先主義。


クラスメイト


クロウ=ベルフェン

闇属性治癒志望。口が悪いが面倒見がいい。


ミナ=ルミナール

光属性サポート系。成績優秀だが極度の緊張症。


ガルド=バイソン

鬼族。レスキュー志望。声がでかい。


エルナ=フェイリス

妖精族。精神治癒系。空気を読む達人。


トウマ

人間。一般医療枠。

「鬼の家系」に囲まれて毎日胃痛。

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