表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『 鬼教師さっちゃんのドタバタ新婚医療日誌 〜結婚・研究・双子出産、全部フルコースです〜 』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1478/1526

第四話 鬼教師の妊婦は最強だが無敵ではない

朝の救命センター。


担架の音。

アラーム。

怒号。


そして。


さっちゃん、普通に立っている。


妊婦、現場に立つ


さっちゃん

「はいはい!

 そこどいて!

 鬼が通るわよ!」


看護師

「先生!妊娠中です!!」


さっちゃん

「だから?」


エリオット(背後から)

「だから、です」


さっちゃん

「……」


エリオット

「今日は書類業務のみです」


さっちゃん

「現場足りてないでしょ!」


エリオット

「代替人員は確保しました」


さっちゃん

「……弱音?」


エリオット

「医学です」


そのとき。


入口が開く。


ミミ

「せ、先生ーーっ!!」


マオ吉

「聞きましたよ妊娠!」


バルゴン

「無茶するって!」


さっちゃん

「……なんであんたたちが」


ジゾー丸(静かに)

「俺たち、

 今は“現場側”です」


一瞬、空気が変わる。


ミミ、目を潤ませる。

「先生…… 前は……」


声が震える。


ミミ

「私たちが危ない時、

 先生が必ず前に立ってくれました」


さっちゃん

「……」


ミミ

「でも今は……」


ぽろっと涙。


ミミ

「……赤ちゃんがいます」


さっちゃん

「……」


ジゾー丸が、一歩前に出る。

「……守られる側も、役目です」


さっちゃん

「……」


ジゾー丸

「俺たちは、

 先生に守られてきました」


マオ吉

「今度は俺たちが前出ます!」


バルゴン

「鬼の妊婦が無敵だって?

 違いますよ」


一拍。


バルゴン

「無敵なのは、ひとりじゃない時です」


さっちゃん、拳を握る。


震える。


……少しだけ。


さっちゃん

「……」


深呼吸。


そして。


さっちゃん

「……休むわ」


一同

「!!」


さっちゃん

「悔しいけど」


小さく笑う。


さっちゃん

「……初めて、

 守られる側になる」


エリオット

「正解です」


さっちゃん

「……ドヤ顔やめなさい」


エリオット

「医学的勝利です」


その日の職員掲示板。


《さっちゃん先生 本日より“絶対安静(鬼基準)”》


注釈:

《鬼基準=重い物を持たない/怒鳴らない/角使用禁止》


さっちゃん(遠くから)

「最後のいらないわよ!!」


エリオット

「必要です」


廊下に笑い声が響く。


鬼教師の妊婦は最強。

でも。


ひとりで戦わなくてもいいことを、

ようやく知った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ