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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『3年ONI組 さっちゃん先生13 魔界医療看護専門学校 癒せ直せ恋愛をせよ 』

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第8話 卒業試験の悪夢

魔界医療看護専門学校

その廊下に、かつてない重苦しい空気が流れていた。


掲示板に貼られた一枚の紙。


《卒業試験 実施要項》

・実技試験

・筆記試験

・魔力量調整試験

・精神安定評価


見ただけで胃が痛くなるラインナップである。


試験開始


「……よし。始めるわよ」


さっちゃん先生の声は、いつもより低く、短かった。


アトラスがゴクリと唾を飲む。


「せ、先生……力、加減、ちょっとだけ……」


「ちょっとが一番危ないのよ!!」


ドン!

魔力測定器が壁に突き刺さる。


アトラス

「うわああ!? 俺また全力出してた!?」


さっちゃん

「患者を“粉砕”してどうするの!!」


緊張の連鎖

一方、ルリ。


血管確保の実技で、手が震えまくっている。


ルリ

「ご、ごめんなさい……! すみません……!」


三回失敗。


患者役の訓練用ゴーレムが、無言でうなだれる。


さっちゃん

「……深呼吸」


ルリ

「は、はい!」


……四回目も失敗。


さっちゃん

「……ルリ。医療は“謝る競技”じゃない」


ルリ

「……っ」


カエデは筆記試験中、完全に上の空だった。


答案用紙の余白に書かれているのは


「エリオット先生って……どう思ってるのかな……」


さっちゃん

「……カエデ」


カエデ

「ひゃっ!?」


さっちゃん

「ここは恋文を書く場所じゃない!!」


カエデ

「す、すみません!!」


さっちゃん

「医療は現実よ! 恋は処方できない!!」


その言葉を言った瞬間

さっちゃん自身の胸が、ズキッと痛んだ。


(……処方できない、か)


視線の端に、白衣姿のエリオットがちらつく。


教室

……沈黙。


生徒たちは察してしまった。


(先生……動揺してる)


さっちゃん

「……次、魔力量調整」


足取りが、わずかにふらつく。


その瞬間。


ガクッ。


さっちゃんの膝が崩れた。


「せ、先生!!?」


オニグレンが慌てて支える。


ユミカ

「角の色、ヤバくない!?」


雷士

「心拍、乱れてます!」


さっちゃん

「……っ、だ、大丈夫……ちょっと……」


嘘だった。


450年ぶりの恋と、卒業試験と、責任と不安。


全部が一気に心電図を乱していた。


その時。


ジゾー丸が、ゆっくり一言。


「……先生、

 私たち、もう……

 救われてます」


ミミ

「先生が教えてくれた“支える”って、こういうことですよね」


焔丸

「今度は、俺たちが支えます!」


キリサメ兄妹

「「連携、完璧です!」」


プリム

「恋の処方は無理でも、

 “励まし”は即効性ありますよ?」


さっちゃん

「……っ」


生徒全員が、さっちゃんを囲む。


誰かが魔力を整え、

誰かが手を握り、

誰かが静かに呼吸を合わせる。


医療だった。


さっちゃんが教えてきた、すべてだった。


さっちゃん

「……あなたたち……」


ぽろっ。


一滴、涙が落ちる。


さっちゃん

「……ありがとう。

 ……ごめんね。

 私、ちょっとだけ……

 弱くなってた」


ルリ

「先生が弱いなら……

 私たち、強くなります!」


試験再開

さっちゃんは立ち上がり、涙を拭う。


いつもの、鬼教師の顔に戻る。


さっちゃん

「……よし」


ニッ。


「試験、再開よ。

 ここで折れるなら

 卒業なんて百年早いわ!!」


生徒全員

「「はい!!!」」


恋は処方できない。

でも

人を育てる薬は、ちゃんと効いていた。



【教師】

エリオット

人間界から来た新任教師

黒髪、眼鏡、白衣が似合いすぎる清潔感男子

身長178cm、やや細身

表情は柔らかいが、目元だけは医者の鋭さがある


【生徒たち】


焔丸ほむらまる

クラス委員長。炎属性の治癒術師。

真面目すぎて融通が利かないが、芯のある優しさが見える。

さっちゃんに憧れている初心者ファン。


ユミカ=スノーリーフ

氷属性の癒術士見習い。

見た目はクールだが中身はロマンチスト。

蒼井教授を見るたびにぽーっとしてしまう。

女子の中で“一番恋に早いタイプ”。


オニグレン

筋肉全振りのレスキュー担当志望。

力はあるが頭脳はゼロ。

「笑う救急車」と呼ばれている。

重症患者にも笑顔で対応できるのが長所。


カグヤ=ナースロッド

器用で優秀な現実主義者。

心霊や恋愛には興味ゼロ。

最もさっちゃんに似ていると言われる才女。


ミミ=パルト

小柄な獣人族の少女。

感情が強い患者の感情を読み取り、傷を癒す特技を持つ。

心優しく、クラスのマスコット的存在。


雷士らいじ

電撃治癒師志望の少年。

スピードと判断力に長けるが短気。

ユミカに片想いしているが、全く気づかれていない。


ジゾー丸(地蔵族)

動かない。

ほぼ喋らない。

でも誰よりも洞察力が鋭く、たまに核心をつく一言を言う。


プリム=ハートナー

“恋愛療法”専門家志望の少女。

患者に恋をさせて治す特殊能力の持ち主。

恋愛のプロとしてさっちゃんを指導しようとするが毎回怒られる。


バオ=クトゥルフ

異形の種族。見た目は怖いが性格は天使。

包帯交換が異常に上手い。

小児科志望。


キリサメ兄妹(双子)

息ぴったりの双子の治癒士。

実習では常に連携し、トラブル時に強い。

ただし兄妹ゲンカが多く、患者の前で言い争うことも。

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