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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『3年ONI組 さっちゃん先生13 魔界医療看護専門学校 癒せ直せ恋愛をせよ 』

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第4話 祭りと告白と骨折と

魔界医療看護専門学校

年に一度の一大イベント。


魔界メディカルフェス。


屋台、研究展示、健康相談、治癒体験。

医療を「楽しく」「正しく」伝えるお祭りだ。


そして

3年ONI組は今年、健康ブース担当。


準備段階ですでに恋は混線中


「血圧測定こちらでーす!」


焔丸が完璧な姿勢で声出しをする。


「委員長、声が硬すぎ。患者さん逃げるよ」

カグヤが冷静に突っ込む。


「規律は安心感だ!」


「はいはい」


一方、ブースの端。


カエデは、落ち着きなく髪を触っていた。


(今日こそ……言う……!)


視線の先には――

白衣が異様に似合う男。


エリオット先生。


「……」


それを、

さっちゃん先生が気づかないわけがなかった。


(なんであの子、あんなにチラチラ見てるのよ……)


自分でも理由が分からず、

ツノがうっすら赤く光る。


恋は一方通行、さらに斜め上


ユミカは、氷の治癒デモをしながら完全に上の空。


「きれい……」

「え、何が?」


「蒼井教授……今日も尊い……」


※蒼井教授は今日は来ていない。


雷士がバチッと静電気を走らせる。


「……俺、いるんだけど」


「え?今なに?」


雷士、沈黙。


恋愛療法、暴走


プリムがさっちゃんの袖を引く。


「先生!恋愛は心の免疫力を高めます!

 ここは“想いを伝える勇気”を教えるべきです!」


「やめなさい!」


「今こそ告白を!」


「今すぐ離れなさい!!」


そして事故は起きる


「力自慢大会!参加者いませんかー!」


オニグレンとアトラスが同時に名乗りを上げる。


「俺いく!!」

「俺も!!」


結果。


バキィ。


アトラス、腕を押さえて倒れる。


「……あ、これ、やった」


診断:見事な骨折。


会場が一瞬凍る。


「ミミ、感情読める?」

「うん……痛み、強いけど怖がってる」


「雷士、搬送!」

「了解!」


「バオ、固定!」

「まかせて!」


包帯が芸術的に巻かれる。


キリサメ兄妹が同時に声を出す。


「冷却いくよ!」

「角度保持!」


焔丸が深呼吸。


「……治癒魔法、出力30%」


誰もパニックにならない。


さっちゃんは、その光景を黙って見ていた。


(……ちゃんと、医療者の顔してる)


処置後。


アトラスはベンチで笑っていた。


「いやー、骨折って意外と痛いな!」


「笑うな!」


生徒たちの顔には、

達成感と少しの自信。


さっちゃんは、ふっと微笑む。



夕方。


カエデが、意を決してエリオットに近づく。


「せ、先生……あの……」


その瞬間。


「さっちゃん先生」


エリオットが、彼女を呼んだ。


「今日の生徒たち、素晴らしかったですね」


「……そ、そう?」


「もしよければ―― 今度、食事でも」


さっちゃんの思考が停止する。


「え、え、えっと」


ツノが真っ赤。


「そ、その、私は!

 忙しいから!

 あとで!

 また!」


逃走。


カエデ

「……え?」


プリム

「先生、恋愛偏差値が致命的ですね」


「黙りなさい!!」


夜、ひとりで

校舎の屋上。


さっちゃんは空を見上げる。


(生徒は前に進んでるのに……)


胸に、ほんのり温かいもの。


「……恋も、治療が必要ね」


その下で、

ONI組の笑い声が響いていた。



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