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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『3年ONI組 さっちゃん先生13 魔界医療看護専門学校 癒せ直せ恋愛をせよ 』

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第3話 実習地獄!附属病院に散る

魔界医療看護専門学校――通称MIM。

その名に「地獄」が付く授業がある。


臨・地・実・習。


行き先は、

人間界と魔界が共同運営する――附属五病院。


白くて、広くて、

そして容赦がない。


「……ここが病院?」


ルリがごくりと喉を鳴らす。


「静かすぎて逆に怖いんだけど……」

「患者さん、みんな死んでないよね?」


「生きてるから来てるんだ」


即答したのは、

鬼の教頭・銀山だった。


「ここは“命を預かる現場”だ。

 学校気分は捨てろ」


その横で、

さっちゃん先生は腕を組んだまま、にやりと笑う。


「さあ、ONI組。

 今日は“できない自分”と向き合う日よ」


不穏すぎる。


開始30分。


すでに地獄だった。


「違う!そこじゃない!」

「魔力感知が甘い!」

「患者に話しかけすぎ!」


白衣の医師、鬼の看護師、精霊助手

あらゆる種族から怒号が飛ぶ。


ルリは高齢魔族のベッドサイドで、

必死に手を握っていた。


「大丈夫ですよ……怖くないですよ……」


だが次の瞬間。


患者

「……信用できん」


ルリ

「えっ」


「優しすぎる。

 “仕事”じゃなくて“同情”に見える」


冷たい一言。


ルリの手が、そっと離れた。


一方、滅菌室。


「これで器具、あったかくすればいいんだよね!」


マカが魔力を込めた瞬間


ボワァァァッ!!


「誰だ温度800度にしたのは!!」


「えっ!?清潔って“熱い”じゃないの!?」


「“清潔”と“溶解”は違う!!」


器具、全滅。


マカ、涙目。



手術室補助に入ったアトラスは、

テンションが限界突破していた。


「うおおお!これが本物の心臓かぁ!!」

「俺、今、命のそばにいる!!」


「静かに!!」


執刀医の怒鳴り声が飛ぶ。


「手術室は戦場じゃない!

 興奮するな!」


アトラス

「は、はいぃ……」


肩がしょんぼり落ちた。


実習が終わるころ。


生徒たちは、

心も体もズタズタだった。


「……向いてないのかな」

「私、医療なんて……」


その空気を、

ドンッ! と杖で床を叩いて割ったのが――


さっちゃん先生だった。


「逃げるな!!」


一瞬で静まる廊下。


「失敗した?怒られた?

 当たり前よ!」


ぎらりと赤いツノが光る。


「ここは実験室じゃない。

 でも」


一人ひとりを、真っ直ぐに見据える。


「命を救える尊い職業なのよ!!」


空気が、震えた。


「優しさは武器になる。

 でも振り方を間違えれば刃になる」


「力は必要。

 でも制御できなきゃ凶器よ」


「興奮する気持ち?

 それだけ“命”を見てる証拠」


そして、少しだけ声を落とす。


「だから

 失敗から、目を逸らすな」


帰り道


夕焼けの道。


誰も喋らない。


しばらくして、

アトラスがぽつりと言った。


「……俺さ」


「今日、怒られて悔しかったけど」


拳を握る。


「それでも、

 もう一回、あの場所に立ちたい」


ルリが頷く。


「……私も」


マカが鼻をすすりながら言う。


「失敗したけど……

 ちゃんと、次はやりたい」


その時、誰かが言った。


「先生についていけば……

 できる気がする」


全員の視線が、

前を歩く小さな背中に向く。


さっちゃん先生は、振り返らない。


ただ、ほんの少しだけ

歩く速度を落とした。

【教師】

エリオット

人間界から来た新任教師

黒髪、眼鏡、白衣が似合いすぎる清潔感男子

身長178cm、やや細身

表情は柔らかいが、目元だけは医者の鋭さがある


【生徒たち】


焔丸ほむらまる

クラス委員長。炎属性の治癒術師。

真面目すぎて融通が利かないが、芯のある優しさが見える。

さっちゃんに憧れている初心者ファン。


ユミカ=スノーリーフ

氷属性の癒術士見習い。

見た目はクールだが中身はロマンチスト。

蒼井教授を見るたびにぽーっとしてしまう。

女子の中で“一番恋に早いタイプ”。


オニグレン

筋肉全振りのレスキュー担当志望。

力はあるが頭脳はゼロ。

「笑う救急車」と呼ばれている。

重症患者にも笑顔で対応できるのが長所。


カグヤ=ナースロッド

器用で優秀な現実主義者。

心霊や恋愛には興味ゼロ。

最もさっちゃんに似ていると言われる才女。


ミミ=パルト

小柄な獣人族の少女。

感情が強い患者の感情を読み取り、傷を癒す特技を持つ。

心優しく、クラスのマスコット的存在。


雷士らいじ

電撃治癒師志望の少年。

スピードと判断力に長けるが短気。

ユミカに片想いしているが、全く気づかれていない。


ジゾー丸(地蔵族)

動かない。

ほぼ喋らない。

でも誰よりも洞察力が鋭く、たまに核心をつく一言を言う。


プリム=ハートナー

“恋愛療法”専門家志望の少女。

患者に恋をさせて治す特殊能力の持ち主。

恋愛のプロとしてさっちゃんを指導しようとするが毎回怒られる。


バオ=クトゥルフ

異形の種族。見た目は怖いが性格は天使。

包帯交換が異常に上手い。

小児科志望。


キリサメ兄妹(双子)

息ぴったりの双子の治癒士。

実習では常に連携し、トラブル時に強い。

ただし兄妹ゲンカが多く、患者の前で言い争うことも。

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