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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅 9 赤い月に消えるラスト・トリガー」

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第三話 アルマ・ホテル潜入!仮面の術師スカーを追え

アグラディア旧市街。

赤い月の光を浴びて、不気味に沈む廃ホテル「アルマ」。

入口の鍵は錆び、風が吹くだけでドアがきしむ。


「情報じゃ、このホテルの地下にスカーが仕掛けた“残響罠”があるそうです」

リュカがタブレットを操作しながら囁く。


「……残響罠だァ? 嫌な名前だ」


アイゼンハワードはため息をつき、杖を肩に担いだ。

「年寄りを夜の散歩に連れ回すなよ。膝が死ぬ」


「先生、文句ばかり言ってます!」

ルアーナが笑いながら背中を押す。


ドアを開けた瞬間だった。


バチィンッ!!


床が一斉に光り、魔術式が展開。

次の瞬間、ホテル全体が上下に反転するような揺れが走った。


「なっ……!」

アイゼンが杖を突き出すも、光が飲み込む。


三人と一匹…いや、一人(死神)は、

光の裂け目に吸い込まれ、四つの方向へと吹き飛ばされた。



◇◇◇



ルアーナ&リュカ:暗黒迷宮!


「リュカ、そっち無事!?」

「ルアーナ先輩こそ!僕、着地で1回死にました!」


二人が落ちたのは、

電力を奪う“魔力遮断迷宮”。

ライトも魔術も使えず、まるで古代の罠そのもの。


「じゃあ、ここは……科学で行きましょう!」

リュカは嬉々として工具箱を広げる。


「わ、わかった。走りながら説明お願い!」


壁が動き、床が抜け、天井から矢が飛ぶ。

ルアーナは軽やかに跳ね、リュカは機械式のロックを次々破壊。


「先生が見たら“危なすぎるぞお前ら”って怒られそうね」


「でも先生、僕らがこういうの得意なの知ってますから!」


二人は笑いながら暗闇を切り裂いた。



◆◆◆



死神レイヴ:罠を破壊しながら爆走!


「お・も・て・な・し、最悪だなァ……イヒヒヒヒヒ!」


落ちた先は巨大な回廊。

刃が回転し、炎が吹き、落石が降る。


普通なら死ぬ。


しかし相手は“死神”だ。


「こんなの挨拶代わりじゃねえかイヒヒヒヒ!」


鎌を一振り。

罠も壁もまとめて粉砕。


「スカーとか言ったなァ? このもてなし、気に入らねぇ。

 会ったら正座させて説教だからなァイヒヒヒヒ!」


爆音と破壊の嵐が迷宮に響き渡った。



◆◆◆




薄暗い部屋。

部屋の中心には灰色の魔力陣がゆっくり回転していた。


「……分断の術式、か。性格の悪い奴だな」


アイゼンは膝を鳴らしながら、魔術陣へ手をかざす。


「これだけの術式、並の術師には組めん。

 スカー、お前、ただの窃盗犯じゃないな」


魔力陣の奥に、血のような赤い印が一つ浮かび上がる。


《ルージュ=ナイト》


「……赤い月と同じ名か。繋がってやがる」


その瞬間、背後の壁が震えた。


「ほう。先に進めってか?

 ったく、老骨をこき使いやがる」


アイゼンは杖をつき、

一人、闇の奥へと歩みを進めた。




分断された四人の運命は、同じ一点へと収束していく。

だがその先で待つのは、仮面の術師スカーの“本当の意図”。


赤い月は静かに光り、

地上の誰も知らぬまま、災厄の時が近づいていた。


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