第九話 奇跡のアンコール！恋が音に変わる瞬間

ヘルフェスの会場は、先ほどの大トラブルを乗り越えた

“地獄の青春☆ハートブレイカーズ”のステージを前に

静かすぎるほどシーンと静まり返っていた。

観客の目が、

ミナとゼッドの立つステージ中央に吸い込まれていく。

さっちゃん先生

「……行きなさい。あなたたちのクライマックスよ」

ゼッド

「ミナ……いけるか？」

ミナ

「うん。ゼッドとなら……絶対歌える」

二人はそっと手を握る。

リーフが鍵盤を叩き、

ゴブルが静かなビートを刻み、

レオンのドラムが波音のように響く。

そして

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曲『深海ラプソディ』

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ステージに青い光が満ちる。

ミナの魔力“海の音階（アクアスケール）”が優しく漂う。

ミナ（透明な歌声）

♪「深く沈んだ 涙の底に

　　あなたの声が 光っていたの」♪

ゼッド（温かく包み込む歌）

♪「届かないと思ってた

　　だけど君が ここにいた」♪

観客全員

「……っ……！」

暴れ回っていたモンスターたちでさえ

涙をぽたぽた落としながら座り込む。

鬼の観客

「なんだこの歌は……心が……溶ける……」

フォーチュンLOVE（ライバル）

「くっ……負けた……完全に……！」

魔界校長

「歌で場内の治安が回復している！？

　あり得ん……！」

曲が終わると、

会場は息もできないほどの静寂に包まれ――

次の瞬間、爆発的な拍手が巻き起こった。

全員参加の爆裂曲

ゼッド

「行くぞ！！ 最後の曲だッ！！」

炎のようなライトが点灯。

リーフの鍵盤が疾走し、

ゴブルがビートを高速化、

レオンがドラムで雷鳴を生み出す。

全員の声が重なり、

観客は総立ちで魔力の光が宙を舞う。

観客

「うおおおおおお！！！」

「青春！！！」

「地獄なのに最高！！！」

ミナ

「みんなー！！ 最後まで、ついてきてぇぇぇ！！！」

魔界が揺れるほどの大歓声。

曲の最後、会場が静まり返る

音が止まる。

ライトがミナとゼッドを照らす。

ゼッドの心臓は爆発しそうだった。

ゼッド

「ミナ……」

ミナ

「……ゼッド？」

ゼッド

「俺は……

　ミナが好きだ！！

　歌ってる時も、泣いてる時も……全部！」

ミナの目から涙が一筋流れる。

ミナ

「……わたしも……

　ゼッドが好き！！！」

観客

「きゃああああああああ！！！！」

「告白だあああ！！」

「青春かよぉおおお！！」

「魔界で生きてて良かった～～！！」

すると

レオン（スライム）

「ぼく感動しすぎて形が崩れる～！！」

ゴブル

「音録ってたけど泣いてノイズ入っちゃった！！」

リーフ

「二人とも……おめでとう（泣）」

さっちゃん先生（裏で号泣）

「青春はっ……音楽より重いんですよぉぉ……！！」

ステージが歓声で揺れ続ける。

魔界最大のフェスの歴史に刻まれる

最高の“恋と音楽の瞬間だった。