第四話 三角関係はハーモニー！？ 恋の大混線

魔界音楽専門学校。

本日のテーマは恋と嫉妬と音楽のカオス。

人魚の歌姫候補・ミナが教室の隅で練習していると、

ゼッド（悪魔ボーカル）が声をかける。

ゼッド

「ミナ、昨日のデュエット最高だったな。

今日も一緒に練習しようぜ！」

すると、後ろから巨体の影。

ハルド（オーガのベーシスト）

「ミナは疲れてる。無理させるな。

お前はガナりすぎなんだよ、ゼッド」

一触即発。

ゼッドの黒い羽がピクッ、

ハルドの牙がギラッ。

ゼッド

「なんでお前がミナのこと知った風に言ってんだよ」

ハルド

「守りたいだけだ」

言い合いは次第に声量バトルへ発展。

ガラスがビリビリ震えだす。

ミナはオロオロ。

鬼教師、乱入

バァァァン！！

音楽室の扉が爆発する勢いで開く。

さっちゃん先生

「喧嘩ぁ！？

なら歌で勝負しなさい！！

恋と音楽は“爆発”でっせぇぇぇ！！」

生徒全員（また始まった…）

校長（小心者）は遠くの廊下で膝から崩れ落ちる。

ライブバトル開幕！

さっちゃん先生は勝手にステージを用意。

審査員はベルガ主任とメロディ。

ゼッド vs ハルド

「ミナのための愛の音バトル」

ゼッドはダークロックで吠えるように歌い、

ハルドは重低音ベースでミナへの想いを鳴らす。

音圧がぶつかり、

観客席の髪がバサァッと揺れる。

ミナは胸を押さえて震える。

作曲科のリーフ（超人見知り）が

ドラムゴブリンのゴブルと音楽室で“作曲デート”中。

ゴブル

「リーフ、ここのリズム…もっと跳ねる感じ？」

リーフ

「う、うん…（近い…！ゴブル顔近い…！）」

つい手が触れ合い、

リーフの心臓が爆音ベースみたいに跳ねる。

淡い恋の音色が生まれ始めていた。

ゼッドとハルドの音がぶつかり合い、

ステージがぐらりと揺れる。

ミナはついに堪えきれなくなり――

ミナ

「もうやめてぇ！！

みんな仲良く…音楽したいよ…！！」

涙が頬を伝う。

その瞬間、

ゼッドもハルドも、観客も、空気も固まった。

ゼッド

「…ごめん」

ハルド

「俺が悪かった」

二人は顔を見合わせて、ゆっくり頷いた。

ミナの涙を消すように、

みんなが円を作って立つ。

そして自然にアカペラが始まる。

最初に歌いだしたのはミナ。

教室の中央。

ミナが涙を拭いながら、震える声で歌いだす。

ミナ（ソプラノ）

♪ こわれそうな心が　震えてるけど

　ほんとはただ　みんなと歌いたいだけなの…

透明な声に、涙が混ざる。

ゼッド（ハスキーなテナー）

（そっとミナの隣に立ち、かぶせるように）

♪ わるかったよ　声を荒げて

　きみに笑ってほしかっただけなんだ…

ハルド（低音バス）

（ゆっくり歩み寄り、深い重低音で）

♪ まもりたかった　それだけで

　ぶつかりあって　見えなくなっていた…

二人の声がミナのメロディに自然と重なり始める。

アマネ（優しいクリアボイス）

ひとりじゃ歌えない

　ハーモニーは　ここにあるから

シグマ（クールなミッドテナー）

♪ すれ違うほどに

　気持ちは強くなる

アマネとシグマが寄り添うようにハモる。

カリン（控えめ、透き通るアルト）

♪ 泣かないで　ミナ

　音は私たちをつなぐから

ガイア（ぼそっとだが温かい）

♪（ハミング）　ン〜〜…

　（そっとコード感を支える）

ルカ（明るく柔らかいテナー）

♪ そうさ　みんなで

　笑って歌いたいんだ

メロディ（リズム担当のハミング）

♪ フン・フフッ　フン・フフッ

　（ボイスパーカッション気味のコーラス）

ゴブル（ヒューマンビートボックス）

「ドゥプチッ・ドゥプチッ・ボボボッ・ツクツクツッ！」

リズムが入り、

全員の声が自然とひとつのハーモニーを作る。

全員アカペラ（クライマックス）

♪ 心はちがっても　音はひとつ

　ぶつかっても　また重なれる

　手を伸ばせば　きっと届く

　“歌いたい”　その気持ちが

　ぼくらをつなぐ――！！

最後、ミナが微笑む。

ゼッドも、ハルドも、

肩を軽くぶつけ合って笑う。

本当に、仲直りの一致のハーモニー。

さっちゃん先生（号泣しながら）

「これやぁあああ！！

恋も友情も！全部アカペラで調律できまっせえええ！！」

校長（遠くで正座して泣いてる）

「校則で恋愛禁止って…もう言えない…」

ミナ

「みんなで歌えるのが、いちばん嬉しい…」

ゼッドもハルドも照れくさそうに笑い、

新たな絆が生まれる。