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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『3年ONI組 さっちゃん先生12 魔界音楽専門学校 ― 歌って踊って恋愛だー!』

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第二話 音楽室の恋の音

魔界音楽専門学校ヘル・ミュージック・アカデミー、午後の音楽室。

窓から差し込む赤紫の魔界夕日がピアノを照らし、

いつもより少しだけロマンチックな雰囲気が漂っていた。


その中で

いくつかの恋が、静かに火花を散らし始める。


悪魔族ボーカルのゼッドは、

ミナ(人魚族歌姫候補)の歌声が好きでたまらない。


だがその想いは、誰にも言ったことがなかった。

……はずだった。


ミナが水槽付きの椅子で練習しているとき、

ゼッドはつい小さな声でつぶやいてしまった。


「ミナ……今日も声、きれいだな……」


直後。


背後から、地鳴りレベルの声が落ちる。


「青春の音、聞こえましたぁぁあああ!!??」

さっちゃん先生である。


ゼッド「ひっ!!?こ、これはその……違うんだ先生!!」


さっちゃん「ゼッドくぅぅん。

君のハートはドラムより鳴ってますうううう!!」


ミナ「えっ、ゼッドさん……?」


ゼッド「ち、違う!いや違わなくはないが違……!」


教室がザワァァ。


さっちゃんがさらに追撃。


「ゼッドくん!恋は!曲を!強くしますううう!!」


ゼッド「先生!!この学校は恋愛禁止なんだぞ!!」


そこへ

青ざめた顔の 校長がすっと現れる。


「……あの……さっちゃん先生……

恋愛……えーと……禁止……

禁止……なんですが……その……強い口調では言えない……」


震えている。


さっちゃん「校長ぉぉぉ?

青春を止めるなど愚行ですうううう!!」


校長「ヒィィ……!」


結局、

校長は何も言えないまま撤退した。


ミナがゼッドに動揺する中、

教室の隅にいる巨大な影。


オーガ族ベーシスト・ハルド。


筋肉の塊、声は小さめ。

だが、ミナを見る目だけは優しい。


ゼッドが慌てるのを見て、

ハルドは大男とは思えないほど静かにミナへ近づき――


「……ミナ……水……足りてるか……?」


ミナ「えっ?あっ、今日ちょっと乾燥気味で……ありがとう。」


ハルド、耳まで真っ赤。

ゼッドとミナの間に入る気はなく、

ただ「守りたい」の一心。


だが、その様子を見たゼッド。


(え、ライバル!?デカい……!!)

と内心震える。


ハルドはベースを抱えてつぶやく。


「……ミナの……音……守りたい……」


その音は、

さっちゃん先生の鬼耳にしっかり届いた。


「ハルドぉぉぉぉ!!

君の恋は!低音の震えでわかるんですううう!!」


ハルド「!?!?!?」


作曲科の恋、静かに始まる。


一方そのころ――

別の教室ではもう一つの恋が動いていた。


人見知り作曲家リーフ(17)。

緑髪の小柄な少年で、譜面を書くとき以外はずっと黙っている。


そんなリーフが、

ドラム科のゴブル(太鼓魔族)の練習場を覗いていた。


ドドドドドドッ!!!


全身から炎を散らすようなリズム。

ゴブルのビートは豪快で、魔界でも屈指の迫力。


リーフは息を呑む。


(……すごい……

あの……荒々しいビート……好きだ……)


ぽそっと漏れる。


彼にとって、生まれて初めての「恋に似た衝動」だった。


すると背後から。


「リーフくん!!

君、恋の作曲が始まってますうううう!!」


リーフ「!?!?!?

ぼ、僕はただビートに惚れただけで……!」


さっちゃん「それを恋と言いますううう!!」


ゴブル「あ?呼んだ?」


リーフ「(ひぃぃぃ!目を合わせられない!!)」


放課後、

混沌の一日が終わり、

夕暮れの廊下で生徒たちが談笑していると……


さっちゃん先生が教壇に仁王立ち。


「みなさーーーん!!

いいですか!!恋愛は!!!

音を!!!豊かにするんですううう!!!」


校長「だ、だが校則が……いや、あの、違う、えっと、その……」


さっちゃん「校長ぉぉ?

青春に関与する勇気、ありますううう?」


校長「ありません!!(即答)」


よって――

恋愛禁止校則は実質無効化された。


生徒たち

「「「うおぉぉぉぉ!!!」」」


さっちゃん「恋も歌も!!

盛り上がっていきまっすううううう!!」


ゼッド(生き地獄が始まった……)

ミナ(心臓バクバク……)

ハルド(……守る……)

リーフ(近くにいるだけで苦しい……)

ゴブル(リーフ怖がってね?)


そして

恋と音が渦巻く地獄の音楽学校生活が、

本格的に幕を開けた。


教職員

さっちゃん先生(450歳)

本作の主人公。歌も恋も厳しく指導する鬼教師。

自称「歌には自信ありまっすううう!」

恋愛偏差値は低め、でも情に厚い。


ベルガ=オルフェウス(外見:20代後半)

美形で冷静な「魔界ボーカル科主任」。

さっちゃん先生の歌声に時々ガチで驚いている。

恋愛:さっちゃんに興味を持ち始めている(本人自覚なし)。


校長(謎に厳しい古代魔族)

音がうるさいとすぐ怒る。

ヘルフェスではさっちゃん先生を怒鳴り散らしている。


生徒(男女混合)


ミナ(ボーカル/主人公)

属性:海系魔族(歌声に“海の魔力”)

性格:優しい、少し内向的、芯が強い


ゼッド(ギター)

属性:炎系魔族(ただし制御が苦手)

性格:不器用で優しい、ツンデレ気味


ハルド(筋肉魔族、優しい兄貴)

属性:サイクロプス系魔族

性格:天然、優しい、涙もろい


リーフ(ミナの友人、相談役)

属性:草木の妖精

性格:優しい、しっかり者、風紀委員みたい


ゴブル(小鬼、情報通)

属性:ゴブリン・ハッカー

性格:お調子者、コミカル、騒がしい


アマネ(17)

ヒロイン。天才的歌唱力を持つが恋に関しては超不器用。

恋愛:シグマが好き → すれ違い多め。


シグマ(18)

魔界の貴族の息子でギター天才。クール系。

恋愛:アマネが好き → でも言えない。


ルカ(17)

ダンス科の男子。明るくて人懐っこい、男女問わずモテる。

恋愛:アマネに片想い(しかし本人は「応援するよ」と身を引くタイプ)。


カリン(18)

作曲科の女子。クールで無表情だが、実は乙女。

恋愛:シグマのことが密かに好き(報われない)。


ヒメノ(17)

「王族アイドル科」の姫キャラ。負けず嫌い。

恋愛:ルカに興味あり(ライバル多くて焦り中)。


ガイア(19)

音響エンジニア科の男子。機材オタクで常にヘッドホン。

恋愛:カリンのことが好き(しかし目で追うだけ)。


メロディ(16)

打楽器科の天才少女。小柄で元気。恋愛には興味ゼロ。

恋愛:特になし。

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