表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅8 炎の記憶— 永遠のメモリー」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1424/1526

第6話 死神レイヴ、仕事を迫られる。

荒れ果てた《オルド=アーカイブ》の外。

風にまぎれ、どこか金属質な“音のない足音”が近づいていた。


レイヴは気配だけで察知し、肩をすくめる。


「……やっぱ来たかよ。最悪のタイミングで」


霧が裂ける。

そこに立っていたのは、漆黒のコートをまとう男


ラルグ・マグナム(レイヴの旧友)

年齢:数百歳

職業:元死神

特徴:レイヴと違いガチの仕事人。冷酷。

役割: レイヴを「仕事に戻せ」と迫る 最後の局面でレイヴの運命選択を揺さぶる

弱点:レイヴが選んだ“友達”という概念


冷徹なる“元”死神。

レイヴの旧友であり、かつての同僚。


「随分と堕落したな、レイヴ。

 人間と旅? 情とは無縁のお前が“仲間”か?」


口調は氷のよう。

そこには、職務以外に興味を持たない“純粋な死神”の冷ややかさがあった。


レイヴはポケットから飴玉を転がし出す。


「仕事は飽きたんだよ。今はこいつらと遊んでんのさイヒヒヒヒ」


ラルグの顔がわずかに歪む。


「遊びだと? ならばなおさらだ。戻れ、レイヴ。魂の回収が滞っている」


ラルグの背後に、黒い羽が揺れた。

彼が指を鳴らすと、地面の影が歪み、炎の形を取る。


「お前が逃げ回っている間に、

 《死神の残滓》が盗まれ、悪用されている」


「……あ?」


「“音のない炎”。

 あれは、人間が触れていい力ではない。

 死神の本質、魂の情報を燃やす炎だ」


レイヴの表情から、いつもの飄々とした色が消えた。


「ちょっと待てよ。

 じゃあこの事件、俺たちの領分ってことか」


「そうだ。だからこそ――

 お前は逃げられない。元同僚として、連れ戻す」


霧が一気に冷える。



レイヴ vs ラルグ


空気が一瞬にして“死の領域”へと変わった。


ラルグは鎌を構える。

無駄のない、洗練された殺傷動作。


「抵抗するならば、友でも斬る」


レイヴはにやりと笑い、軽く肩を回す。


「やれるもんならやってみな。

 俺は今、“友達”ってやつを守りてえ気分なんだよ」


その言葉に、ラルグはわずかにだけ目を見開いた。


「友達……?

 死神にそんな概念は存在しない」


「だから面白ぇんだろ。

 生き物はな、意味わかんねぇもんを抱えて、生きてんだよ」


二人の影が重なり、風が斬れた。


塔の中から異変を察知したルアーナ、リュカ、アイゼンが飛び出す。


「レイヴ!何してるの、あれ誰!?」


「元カレか!?」

リュカの雑すぎるボケが響き、空気が一瞬だけ緩む。


レイヴは片手を上げて制した。


「下がってろ。こいつは俺の問題だ」


ラルグは一同を冷たく見下ろす。


「レイヴ。

 “人間に肩入れする死神”など、前代未聞だ」


レイヴがゆっくりと答える。


「前代未聞でいい。

 俺はもう、あの灰色の職場には戻らねえ」


ラルグは鎌を収め、言った。


「……好きにするがいい。

 だが覚えておけ、レイヴ。

 いずれ“決断の時”が来る。

 魂を刈るか、仲間を守るか――お前はどちらか一つしか選べない。」


霧が巻き、ラルグの姿は消えた。

ただ、冷たい余韻だけが残る。


ルアーナが駆け寄り、レイヴを見つめる。


「レイヴ……大丈夫?」


レイヴは笑ってみせる。

だがその笑顔は、初めて“揺らいでいた”。


「さてな……

 でもよ、俺は逃げねえ。

 仲間ってのを選んだんだ。最後までなイヒヒヒ」


風が吹き、黒羽が一枚だけ落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ