プロローグ 炎の真実をめぐる旅
【オープニング ナレーション】
さあ行くぜ。
今夜の主役は、
老練の魔導捜査官・アイゼンハワード。
天才を自称する少女・ルアーナ。
不器用な努力家の少年・リュカ。
そして、“死神”と噂されながら、
誰にも正体を明かさぬ謎の男、レイヴ。
旅の行き先は、いつだって風まかせ。
だが今回も違った。
北方の魔導国《イグニス帝国》。
そこで、40年前に封印されたはずの怪火災
“レッド・メモリー事件” が、
突如として再発した。
街区を一瞬で焼き尽くす“無音の炎”。
残るのは焦げ跡ではなく──
記憶だけを奪われた人々。
事件の報を聞いたアイゼンハワードは、
かつての相棒の死を思い出し、
重く深い溜息をついた。
「これは……終わらせねばならん。
俺自身の物語だ」
そう呟き、老魔導捜査官は再び立ち上がる。
同行するのは、
天才肌の少女・ルアーナ。
優しき元囚人の少年・リュカ。
そして、死神を名乗る悪戯好きの青年・レイヴ。
彼らは現場で、
“炎ではなく記憶を喰う魔法装置”の存在を突き止める。
しかしその背後には──
40年前に死んだはずのアイゼンの元恋人、
天才魔導技師 エリシア・フロスト の影があった。
彼女の技術を利用し、
記憶を商品化し世界を支配しようと目論む黒幕たち。
そして、
アイゼン自身が封じ続けてきた“最初の罪”が、
静かに姿を現し始める。
物語はやがて、
かつてアイゼンとエリシアが研究に身を投じた場所──
廃棄研究塔《オルド=アーカイブ》へ収束していく。
そこで語られる真実。
「炎で燃えたのは街ではない。
お前の“未来”だったのだよ、アイゼン」
老人魔導捜査官は、
過去と向き合い、
失われた“永遠のメモリー”を取り戻せるのか。
これは、
炎の真実をめぐる旅の始まりである。




