第十三話 最後の晩餐対決!カゲツ vs 3年ONI組
決勝のテーマ発表
魔王様が玉座で宣言する。
魔王様
「勇者決戦前にだ。
儂が最後に食べたい料理
“最後の晩餐” を作れ!」
観客
「出たぁ!!魔王様の気まぐれテーマ!!」
さっちゃん
「最後の晩餐……つまり“人生で一番大切な料理”…!」
そして姿を現す最後の敵。
魔王軍料理顧問 カゲツ
黒髪、氷色の瞳。
動きに一切の無駄がなく、まるで影が滑るよう。
カゲツ
「敗北は死。
料理は技術。
感情に頼る者は弱者だ、3年ONI組。」
生徒
「ヒィ……空気が氷点下……!」
さっちゃん
(この男……昔の私だ……
“愛情”を捨て、技だけを追い続けていた頃の)
カゲツ
「ここで君達に引導を渡す。
さっちゃん先生――教育者としての“死”の味を教えてやる。」
カゲツの“死の絶望料理”が始まる**
カゲツの料理
それは “無音” だった。
食材を切る音も、火の音も、呼吸すら聞こえない。
審査員席にいた魔族たちが震える。
観客
「な、何だよこれ……!?
もう完成していってる……!」
シグレ
「……あれは、
“食材の悲鳴すら聞こえない速度”だ。」
カゲツの完成料理
【零感・無慈悲の白銀プレート】
味は完璧。
形は完璧。
栄養も最高値。
そして感情はゼロ。
魔王様
「……美しい。冷たく、死んでいる完璧だ。」
ONI組は震えた。
カイ
「勝てる気がしねぇ……」
ルビア
「もう、無理なの……?」
セラ
「……圧倒的すぎる……」
観客
「これはカゲツ勝利では?」
しかし、さっちゃん先生、教え子の“心”で立ち上がる。
さっちゃん
「カゲツ。
あなたの料理は……
確かに完璧よ。」
カゲツ
「ならば敗北を認めろ。」
さっちゃん
「でもね。
“最後の晩餐”に必要なのは
完璧じゃない。
誰かのために作る心よ。」
生徒たちは顔を上げる。
カイ
「俺……分かったんだ。
最後に食べたい飯って、
大切な人の“あの味”なんだよな。」
ルビア
「爆発しても、甘すぎても……
誰かに食べてほしい気持ちが味になるの!」
ミナ
「力だけじゃ伝わらなかった。
でも恋心は……ちゃんと届くんだ!」
セラ
「水は揺れる。
心も揺れる。
その揺らぎこそ味になる。」
シグレ
「素材が“食べたい”と思う料理……
僕はそれを作るだけ。」
3年ONI組 全員
「先生……料理……作りたいです!!」
さっちゃん
「よし……行くわよ、3年ONI組!」
3年ONI組の“最後の晩餐”
料理名
《愛情連鎖 魔界家庭料理フルコース》
・カイの“焦がし情熱シチュー”
・ルビアの“恋の砂糖ミルフィーユ”
・ミナの“優しさウェルダン肉”
・セラの“心揺れるアクアスープ”
・シグレの“食材が選んだ影ソース”
・モグラ=バルの“揚げ物ハグセット”
そして
みんなで一皿にまとめた、
それは豪華でも美麗でもない。
ただただ、
誰かに食べてほしくて作った温かい料理。
魔王様が一口食べる。
魔王様
「…………」
会場が静まり返る。
魔王様
「うまい!!!!!
これは……儂が昔、母ちゃんに作ってもらった……
“帰りたくなる味”じゃ!!!!!」
観客
「うおおおおおおお!!!」
逆転勝利!! カゲツの“心”が崩壊する**
魔王様
「3年ONI組に1億点!!!!
勝者!!
3年ONI組!!
最後の晩餐対決、感情の勝利じゃああ!!」
カゲツ
「……なぜだ……
技術で勝る私が、なぜ……?」
さっちゃん
「カゲツ。
あなたの料理には確かに“死”があった。
でも私たちの料理には
“生きたい”という心があったの。」
カゲツ
「……心……?
そんな曖昧なものに……負けたのか……」
さっちゃん
「曖昧だから、強いのよ。」
カゲツの氷の瞳が、
初めて揺れた。
観客総立ちで歓声!
生徒たちは泣きながら抱き合う。
カイ
「先生……勝ったぞ!」
ルビア
「私、まだまだ料理も恋も……続きます!」
ミナ
「シグレ……見てくれた?私の勝利……」
シグレ
「うん。ミナの料理、最高だったよ。」
ミナ
「(し、死ぬほど嬉しい……!!)」
さっちゃん
「よく頑張ったわ、3年ONI組。
あなた達の“愛情”は本物よ。」




