第二話 冬将軍と恋の三角関係
北の大地学園の冬は、ただ寒いだけじゃ終わらない。恋もまた、雪のように積もり積もる。
雪野ひよりは雪ん子らしい無邪気さで、白樺ユキトへの想いを必死に隠しながらも、目は彼を追っていた。
一方、氷室カレンはクールな表情の裏で、熱く燃える恋心を抑えきれず、ひよりの存在に小さな苛立ちを覚える。
そして白樺ユキト、天性の人たらし。本人は鈍感ながらも、二人の間で無意識に気を揉ませてしまう。
さっちゃん先生は教室に現れ、氷点下の空気を蹴散らすように一喝。
「恋は戦争よッ!甘ったれるな、みんな――ッ!」
その瞬間、雪の校庭は恋愛バトルフィールドに変わった。
スキー部の特訓斜面で、三角関係レースが始まる。
雪が舞い散るスキー斜面。北の大地学園の冬空は真っ白で、遠くの山々も雪煙で霞む。
雪野ひよりは、心臓をバクバクさせながらスキー板を踏みしめる。
「ユキト……絶対、私が先に――!」
氷室カレンは無表情を保ちながらも、内心では火がついたように焦る。
「ひより……負けないわよ……!この距離で諦めるなんて、ありえない」
白樺ユキトは後ろから二人を見ながら、天然スマイルで笑う。
「え、えっと……二人とも、そんな必死で滑らなくても……」
しかし、二人の勢いは止まらない。ひよりはターンを決め、カレンの横をかすめるように滑る。
「うっ……カレン、待ってよっ!」
カレンは鋭くターンし、ひよりの前に立ちはだかる。
「あなた、ほんとに鈍感ね……ここで抜くなんて、ありえない」
ユキトは焦りながらも、両手を広げて二人を制止しようとする。
「え、ちょ、ちょっと、危ないって!やめてくれよ!」
さっちゃん先生は斜面の上から杖を振りかざす。
「おおおッ、恋の嵐を起こせぇぇッ!!」
その魔力で吹雪が激化。視界は白く染まり、雪の壁が立ち上がる。
ひよりは雪煙を掻き分けながらも、諦めない。
「ユキト……行くよッ!」
カレンも負けじと、吹雪の中で鋭くスピードを上げる。
「こんなことで負ける私じゃないっ!」
二人がユキトの左右から同時に迫る。ユキトは真ん中でバランスを取りながら、思わず叫ぶ。
「ま、待ってくれっ!こんな危険な恋愛レース、やめ……うわぁぁっ!」
ひよりは最後のターンを決め、ユキトの目の前に滑り込む。
「これで……私の番だよっ!」
カレンもひよりに負けじと並走する。二人の間で雪煙が渦を巻き、ゴール直前で真っ白な世界が広がる。
ユキトは二人の間で一瞬止まる。
「え、えっと……ど、どっちを見れば……?」
ひよりは息を切らしながらも笑顔でユキトを見上げる。
「ユキト……私、ずっと……」
カレンは鋭い目でユキトを見つめ、わずかに微笑む。
「……負けないから」
さっちゃん先生は杖を高く掲げ、吹雪を制御して安全なゴールへと導く。
「ふふふ……北の大地学園、恋の三角戦線、開戦よッ!」
ゴールの雪面に三人が並び、息を整えながら笑い合う瞬間
北の大地に小さな恋の火花が散った。
北の大地学園の生徒たち
雪野ひより(女子)—“雪ん子ヒロイン”
白樺ユキト(男子)—“天性の人たらし”
氷室カレン(女子)—“クール系なのに恋愛暴走兵器”
大地ハルト(男子)—“慎重すぎて恋を逃す男”
吹雪エミ(女子)—“ムードメーカーの裏に秘密の恋”
生徒会長・凍堂レイジ(男子)—“氷の王子なのに恋愛に弱い”
雪山の用務員・モクじい— 北の大地学園の裏の番人
雪女カップル(特別出演)この学園の伝説の「恋の守護霊」的存在




