エピローグ 世界の均衡と再び最後の旅路へ
世界断層での死闘から数日後。
焦土と化した大地にも、ようやく穏やかな風が吹き始めていた。
血塗られた王冠
大崩壊を引き起こしかけた王冠は、
アイゼンハワードの手によって古代封印棺へ収められ、
完全に封印された。
王冠を守ろうと暗躍した敵組織は壊滅。
生き残りは全員拘束され、世界は徐々に均衡を取り戻していく。
ただし、すべてが元に戻ったわけではない。
空にはまだひび割れた炎の筋が残り、
各地では混乱が続いていた。
それでも、人々は前を向いて歩き出している。
荒野を歩きながら、アイゼンは杖をつき、若者たちへ語りかける。
「……よくやったな、二人とも。
この冒険を通して、お前たちは強くなった。
腕っぷしだけじゃない、“心”がだ」
ルアーナは笑顔で胸を張る。
「ふふん!解析装置が爆発しても、最後までやり抜きましたから!」
リュカは照れながら、後頭部をかく。
「俺だってよ……最後の最後まで逃げなかったぜ。
まぁ、死ぬほど怖かったけどな!」
アイゼンは静かに目を細めた。
「怖くていい。
恐怖から逃げず、仲間を信じて前に進める――
それが旅の本当の教訓だ」
三人はしばらく歩き続け、
空の割れ目が薄らいでいく様子を眺めた。
リュカ
「……でもよ、師匠。スカーレットは、どうしてああなっちまったんだ?」
アイゼン
「彼女は……誰よりも優しかった。
優しい者ほど、復讐に呑まれた時は深く落ちるものだ」
ルアーナ
「助けられなかったの、残念です……」
アイゼン
「人は誰かを救えなくても、前に進める。
それを学ぶための旅でもあったのだよ」
ルアーナ
「これから、どうします?師匠」
アイゼンは空を見上げる。
「王冠も封じられた。世界の均衡も戻りつつある。
……だがこの世界は、まだ学ぶべきことが多すぎる」
リュカ
「じゃあ、まだ旅は続くってことか?」
微笑むアイゼン。
「そうだ。
だが次は、世界を救う旅ではない。
“自分たちを見つける旅”だ」
ルアーナ
「えへへ……いいですね!次はどこから行きます?」
リュカ
「うまい飯のある国がいい!腹減った!」
アイゼン
「……はぁ。少年、旅の教訓、忘れておらんかね?」
リュカ
「えっ、忘れてないぞ!
“強くなるには、まず腹ごしらえ!”だろ?」
アイゼン
「そんなこと言ってない!!」
レイヴ
「イヒヒヒ…これで世界は一応、助かったな…でもな、アイゼン先生…俺は最後までお前についていくぜ」
アイゼン
「フン…お前って奴は、昔から懲りないな……」
三人と死神の笑い声が荒野に響き、
焦土だった世界が少しずつ、明るさを取り戻していく。
こうして
“血塗られた王冠”をめぐる長い戦いは幕を閉じた。
だが、冒険はまだ終わらない。
彼らの旅は、再び始まろうとしていた。
「アイゼンハワード最後の旅6 〜血塗られた王冠を追え〜」
ーTHE ENDー




