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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅2~氷槍の死と生の選択~」

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終章 夜明け ― 生存者たちの再生

氷槍の夜がようやく終わり、

北の空に、薄いオレンジの光が差し込んだ。

凍りついていた世界が、ほんの少しだけ色を取り戻す。


砕けた巨人の残骸は白い蒸気を上げ、

吹雪は止まり、静寂だけが広がっていた。


囚人たちは全員生き残り、鉄枷がひとつ、またひとつ外れていく。


ルアーナは、夜明けの光を呆然と見つめていたが、やがて微笑んだ。


ルアーナ

「……外の世界。行きましょう、みんなで。」


リュカは涙をこぼしながら、アイゼンハワードへ駆け寄る。


リュカ

「先生……ほんとに、生きてる……!」


胸にしがみつかれるアイゼンハワードは、苦笑しながら頭を撫でる。


アイゼン

「ほら、泣くな。

行こう。外の世界へ。」


その少し後ろで、死神が影に腰を下ろし、にやりと笑う。


死神

「生きようと足掻く姿……なかなか芸術的だよ……イヒヒヒ……」


氷の大地に、ようやくあたたかな風が吹いた。


◆【シーン10:エピローグ ― 次の旅へ】


数日後。

北の大陸の端で、彼らは新しい道へと歩みだす。


吹雪の世界から抜け、

遠くには山脈、さらにその向こうに西の空のきらめきが見える。


その道を前に、アイゼンハワードはため息をついた。


アイゼン

「……お前、本当に離れないのか。」


背後で黒い影がゆらめき、死神が肩をすくめる。


死神

「当たり前だろ?

お前の“死”は、俺の最高傑作なんだからぁ……イヒヒヒヒ」


リュカはドン引きしながら振り返る。


リュカ

「……その笑い方ほんと怖いんだけど……」


死神は骨の指を振った。


死神

「慣れろぉ……イヒヒヒヒヒ……」


アイゼンハワードは頭を抱える。


アイゼン

「……やれやれ。面倒なのを引き連れちまった。」


ルアーナは笑って歩き出す。


ルアーナ

「なら、私たちがフォローしてあげるわ。

行きましょう、先生。」


氷の地を抜け、三人と死神は西を目指して進む。


吹雪も巨人も、もう背後の彼方。

だが新しい都市国家では、

さらに厄介で奇妙な運命が待ち構えていることを、まだ誰も知らなかった。



「アイゼンハワード最後の旅2~氷槍の死と生の選択~」





ー完ー



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