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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅2~氷槍の死と生の選択~」

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序章 死の北の大地

大陸最北端。

地図の端に「ここから先は命の保証なし」とでも書いてありそうな、

白と黒しか存在しない世界。


その名も——

氷槍ひょうそうの収容地』。


刺さるような冷気、

耳をちぎる暴風、

空から降るのは雪じゃなくて氷の針。


ここに送られる連中はというと、

裏切り者、反逆者、政治犯、その他“社会のお荷物扱い”の人々。

まあ簡単に言えば、

「君たちには未来がありません」と国から直々に言われた人たちだ。


そして彼らは毎日、こう叫ぶ。


「働けぇ!働けぇ!……で、最後は凍死だ!」


看守の声が風に乗り、

氷の谷にこだまする。


さて。


その“死ぬための職場”に、ひとりの黒ローブ男が雪を踏みしめて現れた。


名前は

アイゼンハワード。


過去の事件で“ちょいと派手にやらかしてから”、

自分の存在意義を見失った男だ。


その背後には、

影がへばりついたような黒い形の“誰か”がついてくる。


そう、あの“死神”である。


死神は今日もご機嫌である。


「いやぁ〜寒い寒い。凍死の匂いがプンプンして最高だねぇ……イヒヒヒヒ」


アイゼンはため息をつくだけだった。



◇◇◇



アイゼンがたどり着いた先には、

信じがたい光景が広がっていた。


氷に閉ざされた鉱山。

青白い光を放つ“謎の鉱石”。

血を吐きながらツルハシを振り下ろす囚人たち。


彼らを監視するのは、笑わない看守たち。

まるで氷の像みたいで、心も凍ってる。


だが一番寒いのは空気じゃない。

“裏で消されていく真実”だ。


この収容地はただの刑罰場じゃなかった。

いやいや、とんでもない。


ここは——


生きるか死ぬかの“実験場”であり、

エネルギー鉱石を採るために作られた巨大なブラック工場だった。


死神はその光景を眺めながら肩を震わせた。


「あ〜こりゃいい。

死と絶望がフルコースで味わえるレストランだねぇ……イヒヒヒヒ」


アイゼンは、冷たい風よりも冷えた眼で収容地を見渡した。


彼の胸に浮かんだのは、

怒りか、哀れみか、

それとも復讐の炎か。


氷の世界に、

黒い影と魔族の足跡が刻まれる。


北の大陸で、アイゼンハワード最後の旅が始まった。


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