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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅 ~死に場所を求めて~」

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第8話 謎の孤島、死神の試練

夜の海を漂っていた船は、突然の濃霧に飲み込まれた。

気づけば三人はそして死神までもが見知らぬ孤島に打ち上げられていた。


シャルロットが服についた砂を払う。

「ねえアイゼン、ここ…地図に載ってない島よ?」


アイゼンは波打ち際に転がる骸骨のオブジェを持ち上げ、

ひっくり返すと裏にこう刻まれていた。


“死神特製・初心者向けサバイバル試練島”


少年「初心者向けって…絶対ウソだよね?」


その横で死神は鼻歌まじり。

「フフフ……今夜はちょっと趣向を変えてな。

 生存率2%くらいの可愛い試練だ、イヒヒヒ」


到底“初心者向け”ではない。


第一の試練:迷宮パズル「骸骨タワーの謎」


島の中央にそびえるのは、巨大な骸骨の塔。

中は“トリック屋敷”さながら、仕掛けの嵐だった。


階段をのぼれば逆さに回転。

扉を開ければ別の部屋へテレポート。

床には落とし穴。

天井には意味不明な巨大歯車。


少年「ねえこれ、絶対アンタの趣味でしょ!死神さん!」


死神「そりゃもちろん。死への道は美しくなきゃな。イヒヒ」


アイゼンは軽やかに仕掛けを見抜く。

「ほら、歯車の角度が妙だろ?

 この塔、全部“逆回転”してる。合わせて同じ方向に倒せば出口だ」


シャルロット

「ちょっと待って、あんたまた怪盗っぽいこと言ってない?」


アイゼン「気のせいだよ」


三人は軽快なステップで塔の内部を突破していく。

ギャグじみた罠にも、余裕のジャンプとスライドでかわす姿はもはや“怪盗一味”。


第二の試練:怪物“スケルトン・キング”との追いかけっこ


塔を抜けると、巨大な骨の王が立ち塞がった。


スケルトン・キング

「ガァァァァ!!不合格者は島の肥やしに…!」


少年「ここ初心者向けじゃないって!!」


アイゼン「よし、逃げるぞ!」


シャルロット

「戦わないの!?」


アイゼン

「皆のもの、気づいたか?

 さっきから膝の骨がカタカタ言ってる。走りすぎでガタがきてるんだ」


三人は迷路状の森林で怪物の追跡をかわし続ける。

カーチェイスならぬ“林間ボーンチェイス”。


最終的にスケルトン・キングは木の根に足を取られ


ガシャーンッ!!

キング、豪快に転倒。


シャルロット

「えぇ…こんなギャグみたいな倒し方ある?」


アイゼン

「倒すより効率的だろ?ようは頭脳戦さ」


第三の試練:幻覚の砂漠


島の奥は幻覚を見せる砂漠だった。

過去の映像、コンプレックス、恐怖心が姿を変えて襲いかかる。


少年の前には、巨大な“落第通知書”が現れる。

シャルロットの前には、宝を盗んで失敗した幻が現れる。

アイゼンの前には、かつての倒した敵の亡霊。


しかしアイゼンは笑った。

「幻覚にしては、ずいぶんと雑だな。

 あいつらはもっと口が悪かったぞ」


幻覚はアイゼンの軽口に耐えられず霧散。


シャルロット

「ねえ、今の完全にスパイ映画風のノリだったわよね?」


アイゼン

「だから違うって」


少年

「いや、似てる」


アイゼン

「やめてくれ、照れるだろう?」


試練の終着点、大きな石碑が立つ台地。

死神が立ちはだかり言う。


「さて…最後の試練だ。

 我を倒す方法を見つけてみせろ…イヒヒヒ」


三人が構えたそのとき。


少年がふと、死神の足元を見て叫んだ。


「……あれ?

 死神さん、海藻ついてるよ?」


死神

「なっ!? こ、これは…!?」


シャルロット

「え、死神って海藻苦手なの?」


アイゼン

「いや、海藻じゃない。

 “濡れた植物系”が触れると死神の霊体が乱れる……そういうことか」


死神、必死。

「や、やめろ!ワシはヌルヌルがダメなんだあぁ!!」


少年は近くの海藻をひょいっと掴み、

死神に軽くタッチ。


死神

「ヒィィィ!!痒い痒い痒い!!

 だ、だめだ…これだけは……!!」


試練の石碑が光り、クリア音が鳴り響く。


砂浜に戻ると、死神はタオルにくるまり震えていた。


死神

「お前ら……よくぞ試練を突破した……

 だが海藻攻撃は反則だぞ…イヒヒ…ヒィィ…」


シャルロット

「弱点を作るのが悪いのよ」


少年

「死神さん、今度から海行くときは気をつけてね!」


アイゼン

「さて……次はどんな騒動が待ってるのかね?」


死神

「……お前ら、本当に死なないのな。イヒヒヒ」


夜風が三人を包み、孤島の試練は静かに幕を閉じた。


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