第6話 過去の亡霊ー元暗黒騎士団
夜の街は霧と街灯の光に包まれ、風に古い旗が翻る。
アイゼンハワードは杖を肩にかけ、影のように屋根伝いを走る。
「ふん……元暗黒騎士団が悪さしとるとはな。ワシも老いたとはいえ、まだ現役じゃ」
屋根の上、鋭い鎧の騎士たちが闇に光る目で街を睨む。
かつての戦友たちだ――しかし、今は道を踏み外していた。
「老魔族のクセに生き延びておる……邪魔するか?」
「ふふ……邪魔せんと遊べんわい」アイゼンは鼻で笑った。
鎧がキラリ、ナイフや鋼の鎚が飛ぶ。
アイゼンは杖を振り、魔力で屋根板を跳ね返しながら回避。
「どけ! 老魔族の力を思い知るがよい!」
騎士A「くっ……この年寄り、まだ動くのか!」
騎士B「杖の魔法……効かん……!」
アイゼンは屋根から屋根へ跳び、煙突を踏み台にしながら斜め上から攻撃。
少年も屋根伝いに追走、影でトラップを起動する。
「おじーちゃん、ここでジャンプ!!」
「ほう、よくぞ生き延びたな……イヒヒヒ」
シャルロットは宙から滑空し、暗黒騎士の肩口に飛びつき、ナイフを奪って投げ返す。
騎士たちは次々にバランスを崩し、屋根の上でスリリングな格闘に。
死神は屋根の端に座り、骨の指で顎をつつきながらニヤリ。
「ほう……まだ力が残っておるのか……イヒヒ」
屋根の上で、アイゼンが杖を回し、火花の魔力で鎧を弾く。
少年が影から石畳にバケツを落とし、水しぶきで騎士の足元を滑らせる。
「うわっ! な、なんだこのトリック……!」
「ワシの“老魔族力+少年のひらめき”じゃ!」
シャルロットは宙返りしながら言った。
「この夜は私の舞台ね、アイゼンじいちゃん!」
騎士団はついに屋根の上でバランスを崩し、次々に転げ落ちる。
幽霊騎士は魔力で浮いて必死に耐えるが、アイゼンの杖の一撃で軽く吹き飛ぶ。
街灯がアイゼンの背中を照らす。
少年とシャルロットも駆け寄り、倒れた暗黒騎士団を確認。
「まだ、わしは、生きとる……しかし、今夜は街に迷惑かけんで済んだな」
死神は背後で影から現れ、骨の指を鳴らす。
「ふふふ……面白い。老魔族じじい、まだまだ遊べそうですね……イヒヒヒ」
アイゼンは杖を肩にかけ、夜風にマントをなびかせながらつぶやく。
「ほぉ……まだ死ぬには早いか。
ワシの“死に場所探しの旅”は、まだ始まったばかりじゃな」
夜の街に、笑いと死の影、そして老魔族ダークヒーローの伝説がひとつ刻まれた。




