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【ランキング12位達成】 累計62万7千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
「アイゼンハワード最後の旅 ~死に場所を求めて~」

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第4話 怪盗少女との遭遇

月がやけに冴えた夜だった。

石畳の路地を歩いていたアイゼンハワードは、妙な胸騒ぎに足を止める。


「ふむ……これは、血の代わりに“事件”が流れ出すニオイじゃのう。」


その時だった。

近くの美術館から、けたたましい警報が鳴り響く。


――ビィィィィィィィィィッ!!!


「おやおや、どうやらこの町にも“お転婆”がいるみたイヒヒヒ」

死神が愉快そうに影から現れる。


ガラス窓を突き破り、赤いマントをひるがえして飛び出してきたのは


怪盗ルパン15フィフティーン・通称シャルロット。

黒髪ツインテール、仮面の下からいたずらに笑う瞳。

手には高価な黄金像。


「ご機嫌よう、おじいちゃま。宝はいただくわね♡」


「お、おじいちゃま!? ワシのことか!」

アイゼンは杖をクルリと回し、口元を釣り上げた。


「盗みの技は見事じゃが……逃げ足まで見事とは限らんじゃろ?」


ピュンッ!


少女は屋根の上へ軽やかに跳躍。

まるで月光に溶けるような華麗さだ。


「追うぞ、坊主!」

「了解!」

少年は懐からロープを取り出し、建物に引っ掛けながら跳ぶ。


アイゼンも負けず、杖に魔力を込めて――

ドガァン!!

屋根まで一直線に跳び上がる。


「なっ……年寄りの跳躍じゃないわね!」

シャルロットは驚きの声を上げる。


だがそこは“怪盗”。

すぐに体勢を立て直し、煙玉を投げつける。


ぼふんっ!


「むぉっ!? スモークか!」

「師匠!視界が……!」


しかし次の瞬間――

トラップが作動した。


パシンッ!!


足元のワイヤーがシャルロットの足首に絡みつき、宙づり状態に。


「えっ……ちょ、ちょっと!?

なんで私が捕まってるのよ!?」


少年が得意げに胸を張る。

「師匠、昨日あなたが言ってた“4歩目で罠を仕掛けとけ”ってアドバイスのおかげですよ!」


「ほう……ワシ、そんなこと言ったかのう……?」

自分の記憶に曖昧なアイゼン。


そこへ死神がクスクス笑いながら登場。

「まったく……怪盗より老魔族じじいの方が面白いとはねぇ……イヒヒヒ。」



宙づりになった怪盗シャルロットが、悔しげに口を尖らせている。

アイゼンハワードは杖をコツコツ鳴らしながら少年に言う。


「ほぉ……坊主よ、罠の腕も上がったのぉ。

これではワシの死に場所探しがまた遠のくわい。」


少年は得意げに笑って胸を張る。

「えへへ! もっと凄い罠も仕掛けられますよ!」


そこに

カラカラカラッ と骨の音が響いた。


死神が、満月の光に照らされながら背後で骨の指を鳴らし、

ひょっこり影から顔だけ出す。


「フフ……

おじいさんが怪盗捕まえて、

少年が罠仕掛けて、

怪盗は宙づりで……

いやぁ~、ワシ、こういうの大好物なんですよ……」


一拍置いて、死神が肩を震わせる。


「イヒヒヒヒヒヒ!!

次はもっと面白くなりそうですねぇぇぇ……

イヒヒヒヒヒヒヒ!!」


突然、死神は空中に浮かび、グルグル回転しはじめる。


「イヒヒヒヒ!イヒヒヒヒ!

あ〜〜〜面白くなってきたァァァ!!」


シャルロット(宙づり)「ちょ、あんた誰よ!?変なのいるんだけど!?」

少年「えっ、いつもこんな感じですよ」

アイゼンハワード「放っとけ。あれはワシの死に目を見るために付いてくる“付き物”じゃ」


死神は空中でひっくり返りながら、

骨の足をパタパタさせて笑い続けた。


「イヒヒヒヒ!!!

さぁさぁ!!もっと地獄みたいな死の騒ぎを見せてくださいよぉ!!

イヒヒヒヒヒヒ!!!」


月明かりの下

老魔族、怪盗少女、スリ少年、そしてテンションMAXの死神。


チームとしては最低なのに、妙にバランスが取れている4人の旅は、

さらに混沌へと突き進んでいく。

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