第9話 記憶喪失の卒業生
朝の教室。
さっちゃん先生、出席簿をめくりながら――
さっちゃん「転入生? また濃いのが来るのねぇ……」
ドアが開く。
入ってきたのは、杖をつき、背中が少し丸くなった老人。
ゴル「……俺、ゴル……でいいのかな……?」
教室が静まる。
名前を聞いて反応したのは、さっちゃんだけだった。
さっちゃん(小声)「ゴル……アンタ、ちゃんと卒業したのに……どうして忘れちゃったの……?」
授業テーマは「人生ノートを作ろう」
“もう一度叶えたい夢”を書く課題。
花子ババリア「私はイケメン孫を20人!」
ヨルムン姑「嫁に勝つ!」
銀牙じいさん「腹筋を6つに割る(医者に止められてる)」
ポヨン神父「もう一回生き返る」
ゴルはノートに手をつくが、何も書けない。
さっちゃん「どうした、ゴル? 夢、忘れたの?」
ゴル「……俺、何を夢見てたんだっけ……?」
さっちゃん先生が黒板の前で叫ぶ
「アンタたち、なんで教室にいるの! !今日は外で運動よ!」
ゴルは笑いながら、仲間と一緒に授業もスポーツも全力でこなした日々を思い出す。
記憶の断片が、少しずつ蘇る。
ゴル「先生……俺……また体を鍛えていいですか?」
さっちゃん(涙をこらえつつ笑顔)
「当たり前でしょ。卒業しても、老いても、身体は鍛えられるよ!」
ゴル、目を輝かせて 教室でスクワットを開始する。
教室に、笑いと涙の温かい空気が戻る。
筋トレクラブの夜。
ヨルムン姑の掛け声で始まるスクワット大会。
ゴルも参加。
杖を投げ捨てて、立ち上がる。
銀牙じいさん「おぉぉ、ゴルの背中に……炎が見えるぞ!!」
ポヨン神父「彼、たぶん今ちょっと死んでるけど大丈夫じゃ!」
花子ババリア「蘇りの筋肉、キターーー!」
さっちゃん(涙と笑いの混じった声で)
「アンタたち……老けてもまだバカねぇ……でも、それが一番かっこいいんだよ。」
ゴル、夜の廊下で空を見上げる。
ふと、胸ポケットから1枚の古い写真。
若い自分と、さっちゃん先生、そして3年ONI組の仲間たち。
ゴル(笑顔で)
「先生……俺、また夢、見ていいですか?」
さっちゃん(背後から)
「見なさい、アンタの魂が燃えてるうちはね。」
天界の夜空に、一筋の流星。
再び燃え上がる、“鬼と生徒”の絆。




