第7話 天界遠足は地獄行き
天界学園、3年ONI組。
全国統一模試で奇跡の1位を取ったその翌週、校長GODの声が響く。
「お前たちの努力を認めよう。報酬として“地上実習”を命ずる。」
「報酬なのに命令!?」
「地上って……あの“人間界”!?」
「やったー!修学旅行だーっ!!!」
浮かれる生徒たちを前に、さっちゃん先生は腕を組んで不敵に笑う。
「地上での行動は、天界の看板を背負うのよ。ひとつでも問題を起こしたら全員、地獄の監獄行きよ!」
「先生、厳しすぎませんか!」
「上等だわ。地獄出身ですから!」
天界遠足、東京到着!
雲の上から降下する黄金のバス。
降り立ったのは、まぶしいほどに光る大都会
東京・渋谷駅 ハチ公前。
「うわっ、天使の輪っかが反射して目立つ!」
「スマホのカメラ向けられてる!?」
「先生!人間たちが“コスプレ撮影ですか?”って言ってますー!」
瞬く間にマスコミが殺到!
記者たち:「新宗教団体?」「金色のバス?」「謎の修学旅行?」
さっちゃん:「宗教じゃありません、教育です!」
ウラト「先生、これ報道されたら天界バレますよ!」
さっちゃん「いいのよ。教育は、時にスキャンダルから始まるの!」
自由行動の時間 ― 悪戯、暴走モード!
班行動中、ONI組の問題児たちは当然のように逸脱。
偽善バイクは秋葉原の電器店でバイクパーツを物色し、
慈愛アイコはゲームセンターで演算チップを景品に交換。
善人ウラトは喫茶店で女子高生相手に“心理分析アンケート”を実施。
結果3班とも迷子。
「なによコレ!GPSつけとけばよかった!」
怒り狂うさっちゃん先生の背後に、テレビ局のカメラがぴたり。
記者「先生、これは教育の一環ですか?」
さっちゃん「一環?違うわよ、教育の地獄輪廻よ!!」
鬼教育、自然の中で炸裂!
翌日、強制的に全員を富士山麓へ連行。
「文明に頼らないで、協力して生きるの!」
テント張り、火起こし、食料調達――全て自力。
「薪が濡れてて火がつかねぇ!」
「お湯が沸かない……!」
「誰か助けてー!」
さっちゃん先生はにっこり笑って、
「いいわね、その絶望顔!今こそ“協力と規律”の時間よ!!」
彼女は鬼のような号令をかける。
「ウラト、指揮をとりなさい!バイク、薪を割れ!リリス、演算で風向き読んで!」
やがて火が灯り、みんなで温かいスープを囲む。
「……先生。あったかいっすね」
「そうでしょ。地獄の火は、優しさの火にもなるのよ」
翌朝、山のふもとに待っていたのは再びニュースクルー。
「奇跡の教師!鬼のように熱い授業!?」
さっちゃん先生「“鬼のように”じゃなくて、鬼教師ですけど?」
カメラの前で笑うONI組。
地上での一日が、彼らの中に新しい光を灯していた。




