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 王都に戻ってすぐはそわそわしっぱなしだったけど、もう一週間は過ぎてしまったしと考えたらちょっとは落ち着いて来たような気がしなくもない。


 でも、何か手がかりは拾えたのかと、つい意識がそっちの方向に向いちゃうから、まだまだ全然余裕なんてないけどね。


 多分あのクソ王子が去ったらみんなこっちに戻って来るだろうから、あたしが行かなくてもいいってのも理解出来なくもない。


 だけど、この国の王太子との話し合いでは、あいつらの出入りしているルートを見つけて、そこから潜入することだった。


 それなのに、段々と状況が変わってって行っている。


 あのクソ王子があんな場所にいるとは誰も予想してなかったから、仕方ないと言えばそうなんだろうけど、なんというか遠回りさせられている気分になる。


 グランディーナさんが連れさらわれた時は、焦ったし心配した。でも、これであの国に入れるとも思ったのも事実だ。


 散々待たされたのに、また待たされるだなんて思わなかった。


 でも、王様と王太子となら、王様のいうことを聞いておかないといけないよよね。


 王太子のところにそのところを聞きに行きたいと思っていたら、ちょうど呼び出された。


 今回は季節の花が咲きほこる庭園の東屋でとのこと。


 あたしは別に花を見て綺麗だねというような感性は持ち合わせてないし、お花の匂いもキツいものが多いから生花はちょっと苦手なんだよね。


 でも、もしかしたら気を使ってくれているから文句なんて言えないけど、人払いしているとはいえ、こんな開けた場所で重要な話をしていいものなの?


 でも、あたしが持ってきた話なんて高官の人たちも聞いているのだから、大したことでもないってことなのかな?


 王太子の考えはあたしのような奴には分からないのだから、考えても仕方ない。


 報告するだけして、さっさと戻ろう。


 とりあえず、トマスたちの怪我の報告と国境であった出来事についてかいつまんで話してからこれからのことを話し合う。


「父上から聞いたよ。大変だったみたいだね」

「それはあたしではなく戻って来たみんなに言ってください」


 あたしだけ軽傷だったのに労われるのは何か違う。


「それはそれでするよ。それより、国境の街にあの国の王子がいるのならまたとない機会だね」

「ええ、なので最後まで見張って起きたかったんですが、あたしが未熟過ぎるからこっちに先に戻ることになりました」


 あの時のことを思い出す度に悔しい気持ちが沸き上がってくる。


 あたしがもっと感情を隠すことが上手だったら、まだ国境にいられたのに。


 これからは感情を上手く隠せられるようにもしなくちゃ。


 こういうのはジゼルが得意みたいだから、聞いてみようかな。でも、そんなことを覚えたいと言い出したらジゼルを心配させちゃうかもしれないから、それとなく聞くべきだよね。


「彼らが滞在している理由は分からないんだよね」

「え、あ、はい」


 考え事してたけど、そうだ。あたしは今王太子と話中だったんだ。


 うっかりしてたらいけない。


「……理由が知りたいが、行方が分かればその理由も分かるか。トマスたちが戻ってくるのはそろそろか?」

「そのはずです」


 そう答えると王太子はしばらく考えにふけり始めてしまった。


「あの……」

「……」


 今は無理か。


 王太子の考えがまとまるまで目の前のお菓子とお茶を堪能させてもらおうと思ってしばらく夢中でその味を堪能していたけど、それが小一時間ぐらい経つとさすがに飽きてくる。


 それに、お腹もいっぱいだ。


 王太子には悪いけど、そろそろ何か言って欲しい。


 考えがまとまらないのならまた後日にするとかしてくれないかな?


 そろそろ気まずい。


「あの」

「うん。トマスたちの話を聞いてから考えようかとも思っていたが、これはやっぱり挨拶に行った方がよさそうだ」

「へ?」


 あのクソ王子に会いに行くということ?


 急にどうして?


 でも、これはチャンスなんじゃないの?


 王太子と一緒に着いて行けば、復讐を……駄目だ。まだラフォン様を助けていない。ラフォン様を助けられてないのに、あたしが勝手なことをしてラフォン様を助けられなくなってしまったら困る。


 だとしたらあたしは着いて行かない方がいいんだろう。


 王太子が侍従たちにあれこれ命令しているのを横目にあたしはそっとその場を後にする。


 どうせあたしがいても連れて行ってもらえないのに、あの場であれ以上聞いていたって虚しくなるだけ。


 それだったら、あれ以上聞かない方があたしにとってもいいはずだ。


 まだまだ未熟な自分が嫌になる。心ももっと鍛えよう。


 帰ろう。帰ってジゼルとユリアに話を聞いてもらおう。今は愚痴を聞いてもらいたい気分だわ。


 幸い王太子にはあたしが帰ることには何も言われなかったというか、きづいてなさそうだったので、すんなりと帰ることが出来た。


 だけど、それはあたしに対して王太子がさほど重要視してないと言っているも同然だ。


 あたしがもっと使えるような存在になれるように頑張らなくては。


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