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マチルダはユニコーンをぴーちゃんを使ってペットにしてしまいました

「ぴーーーーー」

怒ったぴーちゃんの一鳴きで、魔物たちは一目散に逃げて行ったのだった。

私達はそれを唖然として見ていた。


「ぴーちゃん、凄いじゃない!」

私は思わず、ぴーちゃんを抱きしめていた。


「ぴー」

ぴーちゃんは誇らしげに私を見てくる。


「俺たち、ほとんど役に立たなかったのか」

「パティのペットの前に形なしだな」

ジルとブラッドは唖然としていた。


「いや、お二人がいたから助かりましたよ」

私が言うが、

「ぴーーーー」

何かぴーちゃんが首を振って否定している。

元々俺の活躍するのを邪魔していたみたいな仕草だった。


でも、ぴーちゃんは凄い!

これがマチルダが言う最強の意味だったんだ。

ぴーちゃんが魔物たちを追い払ってくれて初めてマチルダが言った意味がわかった。

本当にこれなら、私が変身しなくても最強じゃない。


でも、何で魔物たちはこんな可愛いぴーちゃんを見て逃げ出したんだろう?

魔物たちには私には見えない何かにぴーちゃんが見えたんだろうか?

ひょっとしてぴーちゃんは幻覚か何かを映し出せるんだろうか?


そこが私には良く判らなかった。



「ピー様凄いです」

「最高ですわ」

レイラらに抱きつかれて

「ピー」

幸せそうに鳴いているんだけど。まあ、レイラの胸に顔をスリスリしているのも今日は大目に見てやるわ。活躍してくれたし。


「オードリー!」

倒れているオードリーにローズが抱きついて叫んでいるのが聞こえた。


そうだ。忘れていた。オードリーが死にそうなんだ。

ここは私が変身して助けないと……

私は慌てて変身出来る木陰を探そうとした。


「ピースケご苦労だけど、あの子のためにもう一働きしてほしいのよ」

マチルダがぴーちゃんに言うんだけど、何をさせようというの? ぴーちゃんはヒールまで出来るんだろうか?


「ぴ?」

でも、ぴーちゃんは嫌そうだ。まあ、オードリーには色々虐められたしね。


「また、お菓子あげるから」

「ぴーーーー」

急に元気になるなよ、現金すぎ!


私はむっとした。


「あなた、ユニコーン呼べるでしょ。すぐに読んで頂戴」

何かマチルダの無茶ぶりが凄いんだけど。


「ちょっとマチルダ。確かにユニコーンを探していたけれど、それを今呼ぶ必要があるの? 今にもオードリーが死にそうなのに!」

私がむっとして聞いた。


「だからこそ、ユニコーンを呼ぶのよ」

マチルダが私を見て言うんだけど、何故だ?

「そうか、ユニコーンは癒やしの魔術が使えますわね」

レイラが言うんだけど、

「えっ、ユニコーンってヒールが使えるの?」

私は知らなかった。


「でも、どうやって呼ぶのよ」

私は聞いていた。

そらあ、魔物たちが逃げたんだからぴーちゃんは強いとは思うんだけど、普通魔物はぴーちゃんを恐れていたのだ。ぴーちゃんが呼んだからって逃げるんじゃないのか?


「ユニコーンは処女を好むって言われているから、普通これだけ処女がいたら飛んでくるはずなのよ。来なかったのはピースケがいたからよ」

何かマチルダが訳の判らないことを言っている。確かにユニコーンは処女好きだとは聞いているけど、人が一杯いたから来なかっただけではないのか? 


「処女の数が多くて寄って来るのならば、女学園に来るはずよ。確かこの近くにも女学園があったはずよ」

私が言うと、


「そう言えばいとこが女学園にいるんですが、白馬が良く女学園の周りをウロウロしていると言っていましたわ。ひょっとして白馬じゃなくてユニコーンだったのですか?」


えっ、そうなの?


「試しに呼んで見れば判るわよ。ピースケ、ユニコーンを呼んで、この子を治させて!出来たら、このお菓子をあげるわ」

どこに隠し持っていたと思われるほどの大きなケーキの塊を、マチルダはぴーちゃんに見せたのだ。


「ぴー」

ぴーちゃんは目を輝かせると、自信満々で立ち上がったのだ。

こいつお菓子でつられすぎ。私は少し苦々しく思った。でも、まあ、今はオードリーの命がかかっているのだ。


「ぴー、ぴー、ぴー、ぴー」

何回も呼ぶように鳴いたのだ。


次の瞬間だ。私達の目の前に、白く輝く、ユニコーンがいきなり現れたのだった。

凄い。魔物、ユニコーンは神獣かもしれないが、ピースケの言う事は何でも聞くのか?



私の疑問に関係なく、ぴーちゃんはユニコーンにオードリーを指さして

「ぴーーーー」

と鳴いたのだ。


「ヒヒーーーン」

最初はユニコーンは首を振ったんだけど。


「ぴー」

今度は強めにぴーちゃんが唸ると

「ヒーーーン」

渋々オードリーに近づくと


「ヒヒーーーーーン」

と天に向かって鳴いたのだ。


するとユニコーンの体が金色に光り輝き出した。

そして、それが大きくなってその光がオードリーに向かって飛んでいく。

その光がオードリーを包んだ。私達が見る間にオードリーの傷がみるみるきれいに消えていく。

荒い息をしていたオードリーが安らかな寝顔に変わって、光が収まった時にはオードリーの血まみれの服もきれいになっていたのだった。


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ここまで読んで頂いてありがとうございます。

私の

次の作品

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『転生したら地味ダサ令嬢でしたが、助けてくれた王子様に恋してしまいました。』

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。

しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。
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