表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

47/63

第47話 三島と最終試験

引き続き、三島視点です。

 

 最終試験の会場に入ると、すぐに試験の説明とクジ引きが行われた。


 私、三島三言も箱に手を入れてクジを引く。


 『クジで決まった5人組でアイドルユニットを組んで課題曲とダンスを踊る』というのが最終試験らしい。

 ここまでで一番アイドルらしい試験だ。


「――よし、5人集まったね! みんなで頑張りましょう!」


 5人のグループが出来ると、赤い髪の女の子がリーダーシップを取ってみんなをまとめ始めてくれた。

 やはりリーダーがいた方がスムーズに進む。


「みんなのダンス経験は?」


 そして、リーダーはメンバーの1人1人にダンス経験を聞いてきた。


「有名アイドルやSNSで流行った踊りは一通り踊ってるよ~。踊りの動画もいくつかアップロードしてる!」

「ふふん、私もよ。まぁ、再生数100万程度だけど~?」

「わ、私は2か月前に始めたばっかで、でももう30万再生はいってるもん!」


 マウント大会が始まってしまった。

 やはりみんなアイドルを目指すだけあって承認欲求が強い。


「三島さんは?」


「私は……。体育の授業でやったくらいです」


 私の拙いダンス経歴を聞いて気分を良くしたのか、みんなはニコニコと(わら)う。


「あらあら、そうなの!?」

「大丈夫よ、私たちが教えてあげるから~!」

「そうそう、三島さんも頑張りましょ~」


 意図せず、私を励ますような形でグループはまとまった。

 異物や弱者がいるとそれ以外の人間の連帯が強まる。

 イジメと同じ論理だ。


 2012年からダンスは中学生の必修科目だ。

 3年生では選択科目だったけど、私はそこでもダンスを選択している。

 ……正直、ダンスは好きだった。

 ダンスには正解が決まってないように思えたから。


「それでは、みなさんに課題のダンスの振り付けの紙をお配りいたしますね。それを見て、しっかりと練習してください」


 しかし、そうやって試験官に手渡されたダンスの振り付け資料を見てゲンナリとする。


 すでに正解が決められた動き。

 これじゃあ、つまらない試験と同じだ。

 なにより……。


(踊りがダサい……)


「振り付けは『ダンス☆ボーイ』さんに付けてもらいました。そして課題曲ですが……『ライアー』さんの『スターライト』になります」


 その発表に何人かのアイドルが興奮していた。

 私だって音楽くらいは聞くけれど、『ライアー』は知らないアーティストだった。


 アイドルグループ1組につき、1つずつ渡されたタブレットでダンスを確認する。

 音楽と共に踊るお手本の動きを見て、私は強く感じたことがあった。


(曲は……凄く良い! でもやっぱりダンスがダサい……)


「よし、それじゃあ早速みんなで合わせて踊っていこうか!」


 リーダーの女の子が手を叩いて私たちを鼓舞したけれど、私はため息を吐いた。


「……ごめんなさい。私、少し外で休んできます。練習には後から合流します」


 どうしても踊る気になれず、私はそれだけ言うと1人で外へと出た。


(えっと、確か『ライアー』の『スターライト』……)


 そして、課題曲を音楽のサブスクサービスで検索するがヒットしない。

 仕方がないので検索エンジンで検索をかけると安っぽい手作り感満載のサイトがヒットした。

 そこに放置するように様々な音楽がMP3ファイルで置かれている。

 そのうちの一つ、『スターライト』をダウンロードすると私はイヤホンを耳に着けて、外階段の手すりに身体を預けた。


 どうやら『ライアー』の曲はどこのサブスクとも契約していないらしい。

 本当に作りっぱなしで放置してある印象を受けた。


(それにしても……良い曲だなぁ)


 音楽を聞いていると、自然と身体が動きそうになる。

 きっと、ライアーもこの曲にはアップテンポな踊りを想定しているんだと思う。

 私は何度も繰り返し聞くうちにそんな想像をしていった。


(この曲で思いっきり踊れたらきっと楽しいだろうな……)


 そんな風に思っていると、強めの風が吹いた。


「――キャ!」


 スカートが少し捲れ上がってしまい、私は慌てて手で押さえる。

 大丈夫だ、そんなに大きくは捲れていない。

 下から誰かが覗き込みでもしていない限りは……。


 そう思いながら階段の下に目をやると――ベンチに座ったままガッツポーズで私のスカートを下から覗いている眼鏡をかけた冴えない風貌の変態が居た。

いつも読んでいただき、ありがとうございます!

ゴールデンウィークはお休みの間に自分の書いている他の作品ものんびりと読んでいただけると嬉しいです!


ファンタジーラブコメ(第8回なろうコン金賞)

・『ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』10万部突破

小説家になろう現実恋愛、年間1位

・『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』

・『山本君の青春リベンジ』ジャンプ+


どれも、ラノベ小説と漫画の両方で出していますのでお好きなモノをお手に取って楽しんでいただけます!


本作もこのまま合格発表まで毎日投稿していきたいです!

引き続き、よろしくお願いいたします!<(_ _)>ペコッ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
連載中の他作品
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『クラスで陰キャの俺が実は大人気バンドのボーカルな件』
こちらも連載中!
下のタイトルを押すと読みにいけます!
『山本君の青春リベンジ~学校でイジメられてた俺が努力して生まれ変わり、戻ってきてからクラスメート達の様子がおかしい件~』
作品のブックマーク・☆評価お願いします!
<(_ _)>ペコッ
新刊!7月25日発売!予約受付中!
『山本君の青春リベンジ!』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、書籍情報に飛びます! ▲▲▲  
新刊!次巻は8月発売!
『【漫画】ギルド追放された雑用係の下剋上~超万能な生活スキルで世界最強~』
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、漫画を読めます! ▲▲▲  
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ