#14 邂逅
深夜子が華麗な勘違いを披露していた当日の深夜。
五月は自室でパソコンのキーボードをせわしく鳴らしていた。
いつもとは違って、自分のタブレットをパソコンにケーブルで繋いである。
他にも通信機らしき物が傍らに置いてあったりと、少々物々しい。
複雑なプログラムの文字列と、多数のウィンドウ画面が、五月のメガネに流れるように写し出されている。
「ふぅ……これで接続完了」
しばらくの後、ため息を吐き出すと同時に、キーボードを叩く指を止めた。
「なかなか手こずりましたわね……それでは――」
五月は朝日の健康診断に際して、精液提出の件ではなく別の不安を抱えていた。
それはこの世界にあって朝日に無いある一つの常識。
『待合室会議』
普段は外出することが少ないこの世界の男性たちではあるが、男性同士の繋がりは存在する。
数少ない男性が、一斉に顔を会わせる健康診断の場で形成される独特な男性共同体。つまり、朝日は今回の健康診断で、男性社会デビューすることになるのだ。
「――ありましたわ。武蔵区の男性コミュニティ調査データ。それにしてもさすがに厳しいセキュリティですこと……あまり長時間の接続は危険ですわね」
ふっと軽く息を吐き出して、五月は再びキーボードを叩き始める。
男性健康診断は国内に数ヶ所ある国立男性総合医療センターで行われる。朝日の受診指定機関は、曙区に隣接している武蔵区の医療センターとなっていた。
さて――、と五月は必要なデータを見繕って、素早くコピーを始める。
◇◆◇
一週間が経過して、健康診断の前日。
Mapsリビングルームで恒例となったミーティングが行われている。
「やはり若貴区での受診申請は通りませんでしたわ……当初の通知通り、武蔵区の医療センターですわね」
「いくら五月でも、その申請は無謀。理由が無い」
五月が落胆しているのは、朝日が健康診断を受ける場所の変更申請が却下されたからである。
わざわざ遠く離れた別地区の医療センターへ変更を申し込んでいたのであった。
「……まあ、そうなりますわよね」
「しっかし、なんでまた武蔵区だとマズいんだ? そもそもお前、元担当地区じゃねえか?」
梅からすれば、勝手知ったる所をあえて変更する意味がわからない。深夜子も似たような感想を口にしている。
「武蔵区は多いんですの」
「「何が?」」
「いわゆる、お坊ちゃまのグループですわ」
「はあ? お坊ちゃまだあ?」
「五月どゆこと?」
この曙区は行政機関の中央官庁が集まっている都市。そして、武蔵区は五月の実家である五月雨ホールディングスを始め、国内の名だたる企業が密集している地域だ。
必然的に企業の役員や幹部、官庁の重役などが多数住居を構えている。
「そう言ったグループのトラブルに巻き込まれなければ……と思うのですわ」
五月は武蔵区担当の経験で知っていた。
上流家庭に産まれた男子たちは、その育ちから非常に気位が高い者が多い。
そういった者たちを中心としたグループ内では、俗に言うヒエラルキーが産まれてしまうのだ。
くだらない理由での小競り合いも発生する。
お互いの警護官同士を競わせたりなど日常茶飯事。男性同士の直接的なもめ事とまでは行かなくとも、トラブルは当たり前のように起きていた。
「なあ五月。そりゃあちょっと心配しすぎってもんじゃねえのか?」
「うん。あたしと梅ちゃんがついてる。問題ない」
軽く流す深夜子と梅であったが、深夜子はそもそも経験不足、梅は元地方勤務。五月はそこに若干の不安を覚える。
「まあ、たくさんの殿方がいらっしゃいますし……必ず問題のあるグループに鉢合わせるとも限りませんわ……よね……」
まるで自分を言いくるめるように呟く。
五月にとっての懸念は大型男性コミュニティ、そのヒエラルキーのトップに立つ者たちと朝日が出会うことだ。
朝日の外見、性格、何よりも隔絶している女性への感覚、常識……どうにも嫌な予感が拭えない。
――そして、朝日の健康診断当日。残念ながら五月の危惧は的中することになるのだった。
◇◆◇
「ここが男性総合医療センター!? うわぁ……凄い規模だね」
「噂にゃ聞いてたけどよ……こりゃ半端ねえ広さだな」
車内から周り見渡して唖然とする朝日と梅。
小規模の団地に匹敵するであろう広さ敷地に、何棟もの高層ビルが建ち並ぶ。
これが全て医療施設なのだ、日本ではあり得ない規模感である。
「大和さん。武蔵区の男性医療センターは国内最大ですわ。そもそも曙区と武蔵区内に、どれだけの殿方がいらっしゃると思ってますの」
「現在三万二千六百三十八人」
全く答える気のない梅をよそに、さらりと深夜子が回答をする。
「あら? さすがに深夜子さんはこういった情報はお詳しいのね」
「そっかあ……その人数の診断をこなす訳だから、この規模か」
納得! と言った体で感心する朝日。
ちなみに曙区と武蔵区の大多数の男性は、春日湊に集まっている。それ以外では相応の住居を区内に構える、財力のある家の息子などだ。
「朝日様はG棟での検診となっていますわ」
そう説明する五月が運転する車は、壁に大きく”G”と描かれた建物へと進んで行く。
受付ゲートをくぐり抜けて建物地下の駐車場へ、その後、エレベーターに乗って会場へと向かった。
自分の知っている健康診断とはまるで違う雰囲気に、朝日も少し緊張気味だ。
会場入口。ここから朝日は付き添いを一人連れ、健康診断に向かうことになる。
もちろん打ち合わせは済ませてあり、付き添い役は深夜子。五月と梅は書類提出などの事務処理をすませてから、待合室で合流予定となっている。
「それでは朝日様、後ほど。深夜子さん、よろしくお願いしますわ」
「らじゃ、お任せ。えと、朝日君は十一番のルートだって」
「うわー、凄いね……これ。なんか遊園地のアトラクションマップみたい」
深夜子から手渡された健康診断用の施設マップを見て、朝日が声をあげる。
まず各階層が恐ろしく広い。内容も身体測定、体力測定から始まってMRIまでと盛りだくさん。
会場を迷路のようにあちこちと回るようになっていた。
「大変でしょうが頑張ってくださいませ、朝日様。では大和さん、我々も参りましょう」
「おおよ。んじゃあ朝日、また後でな!」
「うん。梅ちゃん、五月さん、また後でね」
五月たちは朝日と別れ、書類提出を行うべく中央窓口のあるフロアへ向かう。
「にしても、すげえ量の書類だな」
梅が書類の量に驚く。朝日の手続きは通常の男性とは異なる為、大量なのだ。
「朝日様は特殊保護対象ですから仕方ありませんわ。それに今回は初の健康診断ですから……でも、次回からは通常の男性とほぼ変わらなくなりますわよ」
「ふーん……って、ありゃ? 結構混んでんだな」
「特殊保護男性専用の窓口というわけではありませんわ。それに男性の人数が人数ですから、こんなものですわね。しばらくは順番待ちで――」
「おんやぁ~? これはこれは、五月雨のお嬢様じゃありませんかぁ~?」
ふいに五月の後ろから声がかかる。
「――――っ!?」
五月はこの声を知っている。――そして、自然と眉間に皺がよってしまう。
ここで会う可能性があり、かつ、最も会いたくなかった相手の一人だ。
右手の中指でメガネのブリッジをカチャリと持ち上げて心を落ち着かせる。
それから努めて平静にして振り返り、にこやかに返事をした。
「あらあら? こちらこそですわ。こんな場所で奇遇ですわね、万里さん」
五月が振り返った先には身長が190センチ以上はある巨躯の女性が立っていた。
ベリーショートの黒髪、その前髪には白髪のメッシュが入りまだらを描く。
少し赤みを帯びた目は、まるで爬虫類の眼球を思わせる。ただ顔全体のパーツは整っており、その容姿は凛々しい女傑と言った雰囲気だ。
元SランクMaps『蛇内万里』。暴力沙汰のトラブルが絶えず、自主退職と言う形で体よく首切りになった五月の同期生である。
「ありゃあ? あたいが辞めて以来なんだからさぁ、もうちっとは驚いてくれてもいいんじゃな~い? え~、こんなとこでぇ~!? とかさぁ? あっはははは!」
万里は首を傾げながら片目をつむり、ニヤニヤとした表情でにじり寄ってくる。
対して五月は実に涼しげな表情で、スッと左の耳元の髪をすくい上げる。
「確か『タクティクス』でしたわよね。海土路造船御曹司の私設兵隊……そちらに就職なされたと、風の噂でお聞きしましたわ」
「くっ……くはははっ、やるじゃない!? いやいや、さすがは情報屋のお嬢様。もうそこまでご存知とは恐れ入るねぇ~。ま、再就職と言ってもさぁ~、AランクMaps様と違ってあたいはしがない民間の平警護官さね」
民間男性警護会社『タクティクス』――とは表向きで、実際は五月が言った通りだ。
国内シェア第ニ位の造船会社『海土路造船』のお抱えで、武蔵区では有名な武闘派警護官揃いの男性警護会社である。
大手企業のトップなどに男子がいる場合。警護官はMapsなどの国家機関よりも、自由がきく民間を好んで使う場合が多かった。
そして、最近は男性の母親が社会的立場の誇示なども含め、財力に物を言わせて警護会社自体を作る形がほとんどになっている。
つまりは、御曹司『海土路主』の専用部隊と言っても過言ではない。
「私こそしがないAランクMapsですから……元Sランクの万里さんが、民間にご就職されて平とかご冗談がお上手ですこと」
外面では冷静を装っている五月ではあったが、事前に入手していた情報『朝日と引き合わせたくない男性コミュニティ』。
その最大級派閥の中心的な存在、海土路主と同じ会場である事が確定し、動揺を禁じえない。
自分同様、朝日に変な出会いがありませんように。天にそんな祈りを届けている五月であったが、万里との邂逅は決してただの偶然ではなかった。
朝日たちがいるG棟。この一番から十三番ルート担当は通称『看護十三隊』と呼ばれる、男性医療に携わる者たちからエリート中のエリートが揃えられていた。
企業の御曹司から国の指定対象まで、多数の要人男性の健康診断を一手に引き受けているチームの集まりである。
そして現在、朝日が健康診断を受けている十一番ルートでは看護師たちの混乱がインカムを通じて飛び交っている真っ最中であった……。
◇◆◇
『身体測定担当、応答願います!』
『何これ……!? 全員何かに魅入られたようになっているわ』
『どういうこと!?』
『ちょっと待って! 事前連絡では注意が促されていたでしょ!』
『聞いてないわよ! こんな美少年なんて! しかも、しかも……優しいのよぉっ……うっ、ううっ……お疲れ様です。ありがとうございました。なんて、あの笑顔で言われたら……わたし、わたし』
『ダメだ。もうこいつは使い物にならないっ!』
『た、隊長! 指示を! はやく指示を!』
『それが……とんでもない美少年なんです。それだけでなくて、ほんとヤバいんです。なのでちょっと見てきますね』
『うへへ。可愛い……可愛いよう……』
――看護十三隊十一番隊隊長『柊明日火』は、看護師ステーションで愕然となっていた。
つい先程まで、ルート内の健康診断進行状況が粛々と伝達されていただけだったのだ。
ところが、十一番ルートである男性の健康診断がスタートした途端、この有様である。
副隊長の『鳴四場エミリ』も隣の席で呆然としている。
「なんなのだこの惨状は……在り得ない……自分たちは看護十三隊十一番隊だぞ。いくら美少年と謂え、男性に対する自制心や心得はMapsにも匹敵するエリート揃い……それが……こんな……」
残念ながら、そのMapsのトップクラスですら慣れるまで一ヶ月以上を要したのが神崎朝日だ。
事前に男性保護省から注意あるにはあったのだが、エリートの自負が裏目に出ていた。
「はっ!? 私としたことが、この程度で冷静さを喪うとは……らしくない……おいっ、鳴四場!!」
柊は何かを振り払うように首を振り、自分に活を入れ直す。すぐ副隊長にも声をかけて気を取り直させる。
「はっ!? はいっ、隊長」
「まだ充分に立て直せる。ルート全体の被害状況の把握から、担当の組み直しを素早く策定しろ! 指示は私が出す。この程度のトラブルに対応できなくては十一番隊の名が泣くぞ!」
「りょ、了解です!」
カリスマ性を発揮しながら、柊は現場へ次々と的確な指示を出す。
その隣で鳴四場も、ステーションモニターに映し出されるデータの処理を迅速に進める。
受診男性の流れを現す混雑警告状態の黄色表示が減り、医師や看護師たちの状態表示も合わせて、どんどんと問題なしの青色に戻っていった。
「よし、これでほぼ現状復帰になる筈だ……鳴四場! 原因となった男性のデータを出せ。診断に入ってるなら個人の詳細データも引っ張れるだろう」
「了解です――え、と、お名前は神崎朝日さん。十七歳。特殊保護対象男性ですね。それから……それか……ら……」
「ん? ……どうした? 何を見て固まっ……なん……だと……!? なんだこれは? ……こんな、こんな美少年が……存在すると言うのか?」
しばし朝日の顔写真を見て呆然とする二人。だが、その沈黙をトラブルアラームがすぐに打ち破る。
「くっ、またかっ! 次はどこだ?」
「隊長。神崎さんの現在の受診は採血になっています。すぐ現場と繋ぎます!」
するとスピーカーから、悲鳴のような絶叫が響き渡る。
『いやぁあああっ、こんな子にっ! こんな可愛くて優しい子に採血なんて残酷なマネ、あたしできないっ!!』
「隊長! さ、採血担当が一名逃げ出しました……」
「なんだとぉ! そ、それでも名誉ある十一番隊の隊員かぁっ!?」
乱暴に拳を机に叩きつけ、柊が声を荒げる。
モニターの表示は、採血ルームに黄色の混雑状態マークがじわじわと増え始める。
担当が一人抜けた影響が出はじめたのだ。
「まずい……これ以上は診断の流れが止まってしまう。鳴四場!」
「隊長大丈夫です! すでに隣の内科担当から応援を入れる指示を出しました。神崎さんのラインは一端停止して他に回しています」
「ふっ……流石だな鳴四場。君が副隊長であることを今日ほど頼もしく思えたことは無い」
「誉めても何も出ませんよ。とにかく、採血さえ終われば内科健診だけで、以降はほぼ機械での検査が中心ですから――」
「ああ、そうだな。よし、気合いを入れて残りの指示をして行こう」
他担当者との入れ替えをテキパキと指示する。
朝日の採血は苦戦した様子だったが、なんとか無事に終わって内科健診へと送り出せたようだ。
しばらくして、残った処理を終えた柊はデスクチェアーを降りて立ち上がる。
一仕事終えた感を出して、グッと伸びをしながら鳴四場の席へと振り返った。
「やれやれ一時はどうなることかと思ったが、それにしても神崎君だったか……私たちも健診に加わりたい位の美形だったな。なあ、鳴四場……? ……な、鳴四場!?」
そこにあったのは茫然自失の表情でモニターを見つめ、固まっている鳴四場の姿。柊の声に反応して、スッと蒼白になった顔を向ける。
そして、震える唇をゆっくりと開いた。
「な……内科担当の医師と……看護師の通信反応が途絶え……ました……ぜ、全滅……!?」
「莫迦なっ!? そんな莫迦なっ!? 内科担当は医師から看護師まで全員熟練者の猛者揃いだぞ? それにそもそも内科健診で一体何が起こると言うんだ!? くそっ、どうする……ともかくレントゲン部隊から増援を……いや……」
「隊長! 一人だけ意識があるものがっ! つ、繋ぎます!」
すぐに柊が確認を促す。すると、スピーカーから息も絶え絶えな声が聞こえてくる。
『た、隊長……そ……その、男性が……美少年が……内科検診時に突然上半身裸に――あふん!』
「なん……だと……!?」
それは柊にとって理解不能の内容であった。
この世界の男性は、肌を露出させるのを極端に嫌う。女性に対しては尚更だ。
それ故、健康診断で男性には特別な診察衣に着替えて貰う。
これで肌を露出させる必要なく、全ての検診に対応できるのだ。上半身裸になるなどありえるはずが無い。
「ど、どういう意味だ。おい、大丈夫かっ!? 説明できるかっ!?」
「通信……途絶えました……」
現場では服を脱ぐどころか、まくりあげる指示すら決して出ることはない。
そもそも男性が服を脱がなければならないなど、何時の時代の話だ!? 柊は困惑する。
しかしながら、いや当然、朝日の感覚は違う。
例えば医師から『はい、じゃあ次は心音を聴きますねー』と聴診器を向けられてしまえば。あっ、上を脱がなきゃ。となってしまうのは致し方が無い。条件反射って怖いですね。
「隊長。現場の記録映像の準備終わりました」
「……すぐに再生しろ……状況確認をする」
プライバシー保護のため映像の解像度は低い。が、そこには朝日が聴診器を持った内科医の前で、おもむろに上半身の診察衣を脱ぎ去る姿が写し出された。
そのすぐ後ろには深夜子が控えている。
『ちょおーーーっとぉ? あ、朝日君!? なんで脱いでるの!?』
『え? だって、お医者さんが聴診器使うって……』
驚いて焦る深夜子。
一方、真正面から朝日の上半身裸を見せ付けられた内科医は、満面の笑みを浮かべて卒倒する。
さらには、近くの看護師が歓喜の悲鳴をあげたことで騒ぎが拡大を始めた。
『み、見えちゃってるううっ! これはあたしが隠さねばぁ! いやっふう!』
『ちょっと、深夜子さん!? なんで抱きついて来るのさ! これじゃ服着れないよ? それに、なんか、みんな困ってるみたいだし……』
喜び勇んで朝日に抱きつく深夜子。その間に騒ぎを聞きつけて周りの医師と看護師が集まる。
卒倒するもの、行動不能になるものと状況はどんどんと悪化して行く。
『んーと、とにかく。ち、ちく……おっぱい隠して! 朝日君』
『えっ? え……と、こう? かな?』
何を思ったか、両手のひらを使って乳首の露出を隠す朝日。
そして、これでいい? と言わんばかりにはにかんだ笑顔を向けてきた。
『『『『『てっ、てっ、手ブラぁーーっ!?』』』』』
的確に獲物たちを射程範囲内に集めてからの広範囲殲滅兵器使用。大虐殺を彷彿とさせる場面がそこにあった。
『!? ぐはぁっ、朝日君それはヤバす……ぷっしゅう』
『えええっ!? 深夜子さんまで!?』
会場は一瞬にして壊滅。加えて不鮮明ながらモニター越しでも充分な破壊力。
「び、美少年の……て、手ブラ……ぶぱぁっ」
「なっ、鳴四場ぁああああああっ!!」
鼻血を吹きながら倒れゆく副隊長鳴四場エミリと、絶叫しながら『万事休す』という言葉が頭をよぎる隊長柊明日火であった。
――当日、十一番ルートは健康診断続行が不可能となり閉鎖と相成った。その復旧には丸一日以上の時間を要したと言う。




