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無能勇者と竜の姫君  作者: 雪菊


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26/27

26.再会まであと少し



 急に綺麗な服を着せられたかと思えば、イザベラによるチェックを受けることになったリョウとシルヴィアはとても疲れていた。

 若干、ほんの少し、微妙にといったレベルで人間不信はマシになっているが、基本的に彼らは互い以外の人間に会うと酷く疲弊する。イザベラとサルバトーレが側に居ることに慣れはしたけれど、警戒しているのは丸わかりの姿に彼らは苦笑する。



「二人とも。今日、ここに、テオドール殿下が到着します」


「お兄様が?」



 表情が和らいだシルヴィアを見て、リョウが嬉しそうに微笑む。

 シルヴィアを大事にしているのがよくわかった。



「ええ。会う時はうちのグラシエル、テオドール殿下の侍従であるシエロ卿が立ち合います」


「フリードリヒ?あの人嫌い」



 ぷい、とそっぽを向いたシルヴィアにリョウは「君がはっきりと人を嫌うなんて珍しいね?」と首を傾げる。



「だって、あの男!お兄様が見ていない隙を狙って、私の尻尾とか角を触ろうとするの!!信じられないわ!!」


「それはセクハラ。死刑」



 イザベラはリョウのブレなさがちょっぴり怖くなってきた。

 そもそもがペットのような扱いだったので、フリードリヒだってドラゴンをちょっと触ってみたかった、くらいの気持ちであっただろう。一国の姫がそれでいいのか、という問題はあるが、そのお姫様自身が最近まで人の形を取れなかった上に一定の人物以外と言葉を交わすことができない状態であったので仕方がない。



「今のシルヴィア殿下には触れようとすら思わないだろうから…」


「今だろうが過去だろうがダメです」



 笑顔なのに底冷えするような声音である。イザベラは扱いにくいカップルに心の底から頭を抱えたくなった。

 雪が溶けるまでの間、教え込んだこともあってか、二人ともそれなりにマナーは覚えているし、所作も美しくなっている。だというのにやらかす気しかしない。



「でも女の子がいなくてよかった。リョウに色目でも使われたら焼いちゃうもの」



 イザベラは「それはヤキモチ?物理?」と思ったけれど声に出すのが怖かったので聞かなかった。

 ほぼ確実に物理である。



(リョウくん、迂闊にシルヴィア殿下以外を見れないわね)



 見ないので、二人の間では問題はないのである。

いつも読んで頂き、ありがとうございます!!

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