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ダンジョン国家日本  作者: ネムノキ


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17/28

17 欧州大戦5

 1942年初頭から44年初頭の間、欧州大戦は大きな動きが見られなかった。

 群狼作戦を繰り広げるUボートでは狩りきれないほどの艦船を、アメリカ・日本・カナダ・インド・オーストラリアに建造させて、反撃に必要な物資を備蓄するイギリス。

 ヴォルガ川〜ウラルラインでドイツとがっぷり組み合ってドイツ相手に多大な出血を強いつつ、日本・アメリカ・満洲国からの物資を備蓄し反撃の機会を狙っているソ連。

 両国共に、ドイツ相手に国力と人的資源を削り合うチキンゲームに勤しんでいたのが、この約2年間だろう。




 1942〜44年初頭、戦争に参加せず武器や食料の輸出に専念していた国々のうち、国力の伸びが大きかったのは、アメリカ・イタリア・日本だろう。


 アメリカは、イギリス・自由フランス・ソ連への多大な武器輸出によって大恐慌を乗り越え。また中南米のイギリス・フランス勢力を駆逐しアメリカの手によって征する目処も立っていた。

 後世にて、ここでアメリカがモンロー主義を貫けたなら3極冷戦は起こらなかった、と語る学者は多い。


 イタリアは、緩やかに連帯していた諸国との連携を強め、『地中海同盟』という軍事・経済同盟を発足。

 イタリアを筆頭に、チェコスロバキア・オーストリア・スペイン・ポルトガル・トルコ・ギリシャ・アルバニアを初期の加盟国に。後にユーゴスラビア・ブルガリアも加盟する。

 3極冷戦の一角を担えるまで軍事・経済力を育てられたのは、この2年の間に、ドイツ、ヴィシーフランス・自由フランスへと武器輸出を続けたことによって同盟諸国全体の重工業が伸び、特にイタリアは大国に相応しい国力になったからである。


 日本は、地上のダンジョンに飽き足らず海底のダンジョンまで管理・探索するという、世界でも唯一の方向性へと伸びていた。

 ダンジョンから産出する膨大な資源を背景とした膨大な工業製品は、満洲国・カムチャツカ共和国・トランスアムール共和国・タイの発展を促し。同時にイギリス・ソ連の工廠としての役割も果たせるだけの品質と量に至っていた。

 3極冷戦が誰も予想していなかった終わり方をしたのは、だいたい日本のせいである。




 さて。

 イギリスの輸送船団を狩りまくっていたUボート艦隊であったが、1943年中頃から急激に返り討ちに遭うようになっていた。磁気探知機の発展とソノブイの導入、アメリカから購入した護衛空母の護衛船団への導入により。護衛船団側のUボートを探知能力が伸び、また同時多発的に反撃出来るようになったからである。

 これにより、カナダ・インド・アメリカからの物資と、インド・南アフリカからの兵士の集積が足りるようになったイギリス軍は、1943年10月頃から低地地方を越えてドイツ本土へ大規模な戦略爆撃を行い始めた。

 東部戦線にて人的資源を損耗し過ぎていたドイツ軍は、ちょうどこの頃本土防空に回すパイロットが不足し始めており。ルール地方をはじめとする工業地帯が焼かれたことで、前線に回すための武器が急速に不足し始めた。

 しかし地中海同盟からの輸入があったので、表向き武器不足は発覚しなかった。兵士不足とくにパイロット不足に関してはイギリスも気付いたので、ドイツ西部・低地地方・フランス北部の工業地帯は徹底的に爆撃されドイツの国力はますます削られていった。


 東部戦線では、ドイツ兵をすり潰しソ連反撃の拠点にする予定だったスターリングラードの実に9割が瓦礫の山と化していた。しかしその甲斐あって、ソ連側の武器と兵士は反撃するのに十全な数となり、練度も訓練出来る範囲では十二分なモノとなっていた。

 一方ドイツ側では、前線で戦うためのドイツ人兵士が不足していた。そこでナチスは、占領地にある反ドイツ的なゲットーとの貿易品にモルヒネを追加。ゲットー丸ごと麻薬中毒にして、中毒者を自発的に軍へ志願させソ連陣地へ突撃させる戦法を、スターリングラードで実験していた。

 ドイツの総統たるヒトラーが、当初は『あまりにも非人道的過ぎる』と唾棄していたこの戦法は、兵士不足から承認されてしまい。これを隠れ蓑として、一部の医者や学者が、中毒兵士に対する人体実験を行うに至った。

 なおこの人体実験の方はヒトラーには伝えられず、ナチス幹部が勝手にやっていた。長引く欧州大戦による権力の集中と倫理観の希薄化により、当初ナチスが目指した『アーリア人が人類を先導する』という思想は、もはやただの綺麗事に成り下がっていた。




 この、一見して戦線の動かない状況に焦った人々がいた。アメリカの商人達である。

 中南米に残っていたイギリス・フランス資本は、代価として大方アメリカに売却され。それでもなお、イギリスは多量の武器を要求していた。

 中でも強欲なアメリカ商人は、イギリス戦時国債と交換する形で兵器を売っていたが、2年も戦線が動かないことに不安を抱いた。


「イギリスは負けてしまうのではないか?」


 堪え性のない強欲アメリカ商人達は、イギリス側についての対独戦参戦のロビー活動を展開。

 更に、イギリスがアメリカのユダヤコミュニティを、『イスラエル建国』をネタに働きかけたことで、このロビー活動は激化。1944年3月1日付で、アメリカはイギリス・自由フランスから成る『連合国』に加盟。ドイツへと宣戦布告した。

調べていて気分悪くなりましたが、ちゃんと現実の様々な戦争で行われたことをマイルドにした上で幾重ものオブラートに包んで書いてます

さっさと陰鬱な時代終わらせたいよおぉぉぉ

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― 新着の感想 ―
日本が独自ルート行っていて面白いですね。 海底ダンジョン探索とか頑張ってますね。
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