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クラス替え
この行事は、
俺の人生で初めての博打かもしれない。
いや、待てよ。
近所の駄菓子屋で引いたクジ。
初めてはそれだ。
一番大きなスーパーボールが欲しくて、
お小遣いを貰うたび、
何度も挑戦したんだ。
でも、そう簡単には手に入らない。
現実の厳しさってやつを
あの駄菓子屋で学んだ気がする。
いうなれば、店主の爺さんは師匠だ。
見ていてください。
俺は必ずやり遂げます。
別に、あの爺さんが
亡くなったわけじゃない。
あくまで雰囲気作りだ。
ぐっと目を閉じ、深呼吸。
視界の先に貼られているのは、
クラス替えの一覧表。
今年こそ、
あの娘と同じクラスに
なれますように。
駄菓子屋のあのスーパーボールは
誰にも取られないまま、
今も残っているだろうか。





