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爛々
そのチケットを握り締め、
挑むように門前へ立つ。
闇夜を喰らう爛々とした光と、
眠ることを知らない街。
そこに溢れるのは
酒、煙草、女。
めくるめく大人の遊園地。
「ついに来た……」
ほくそ笑むと、
門の向こうへ立つ
ピエロと目が合った。
派手なメイクと煌びやかな服。
おどける仕草を見ているだけで、
こちらの好奇心は
否が応でも煽られる。
ピエロが握っているのは
白い粉の入った袋。
更なる快楽を求めるか否か。
その選択権までは渡せない。
全ては自分で決めるんだ。
意気揚々と胸を張り、
ピエロへチケット突き出せば。
「青いのはダメだよ。
二十歳以上の赤いチケット。
成人年齢が引き下げられて、
勘違いする奴が多くて困るよ」
遊園地は当分お預けだ。





