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300文字の物語  作者: 帆ノ風ヒロ / Honoka Hiro
七月の物語

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七夕

『織姫と彦星のように、

 彼といつまでも仲良くいられますように』


 ショッピング・モールの催事場へ設けられた笹。

 ご自由にどうぞという短冊を見付け、

 彼女は願いを書き上げた。


 はにかむ彼女は最高に可愛い。

 その心を掴むことができたなら、

 これ以上の喜びなんてない。


 得意満面な僕。

 その舌上ぜつじょうを、

 聞きかじったばかりの

 受け売りの知識が渡った。


「短冊に書く願い事って、

 それを叶えることを

 織姫に誓うためのものなんだってさ。

 つまり恋愛も、神頼みじゃダメなんだよ」


 最高の笑顔は途端に消え失せた。


「なに、その揚げ足取り。感じ悪っ」


 不機嫌になり、何も言わずに去った僕の織姫。

 一年に一度どころか、

 二度と会えない存在になってしまうなんて。


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