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いつかまた
楽しい時間はあっという間に過ぎてゆく。
それが特別な体験なら尚更のこと。
例えばそれは旅行だったり、
憧れのアーティストのライブだったり。
それらは特別な時間と物語を生み、
思い出として刻まれる。
「いつかまた」
そうして未来へ向かう希望を得て、
僕等は日常へ戻ってゆくのだ。
始まりがあれば終わりがある。
誰もがそれを分かっているけれど、
決して口には出せずにいた。
ただこの瞬間を楽しむため、
全てを忘れて夢中になった。
この気持ちと時間を小瓶に詰めて、
いつまでも保存しておくことが
出来たらいいのに。
心の中の大切な部屋へ、
ひとつずつ丁寧に並べるんだ。
きっとそこは、
恋人も知らない特別な部屋。
そこには、あなただけの物語がある。
角掛みなみ様の企画された「小さな図書室」が最終回を迎えました。
今後は不定期に300文字短編をアップしてゆく予定です。





