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300文字の物語  作者: 帆ノ風ヒロ / Honoka Hiro
300文字の物語 〜Free Style〜

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会えなかった時間、という心の隙間


 駅前の街灯の下、

 僕を待つ君の唇からは

 白い息がゆらめいて見えた。


 約束の時間は

 過ぎてしまったけれど、

 君は待っていてくれた。


「ごめんな」


 寒さに震える指先を見て、

 不意に手を取った。


「あったかい……」


 君の表情がゆっくりと溶け出す。


「待たせたね」


 会えなかった時間、

 という心の隙間。


 そこに堆積していた雪さえ、

 音もなく崩れ去る。

 涙となって、君の頬を伝う。


「やっと……会えた」


 俯きがちに落ちた声が胸に沁みる。

 抱きしめたい衝動を必死で抑えた。


「このまま、

 氷の像になっちゃうかと思った」


「それならそれで、部屋に飾るよ」


「ばか」


 君の笑顔が、

 残された雪をすっかり溶かす。


 夜の冷たさより、

 君の手のぬくもりの方が

 ずっと強かった。

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― 新着の感想 ―
部屋に飾るとか、彼女好きすぎですね(´∀`*) 息が白くなるのも、相手の呼吸が見える季節限定イベントなので、彼にとっては眼福だったかもしれません。 クリスマス前には、こんなお話が温まりますね。『聖…
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