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花粉症きらい
「せっかくの休日なんだよ。
家の中でゴロゴロしてるだけなんて、
もったいない」
「だって……」
嫌がる彼女をどうにか説き伏せ、
僕らは街へ繰り出した。
すると、隣を歩いていた彼女は
不意に華奢な体を丸め、
可愛らしいクシャミをした。
僕の心は、既に彼女の虜だ。
その声も、仕草も、
すべてが愛おしくてたまらない。
「だから嫌だって言ったのに……
もう、花粉症きらい。
目を取りだして洗いたいし、
この鼻ももぎ取ってやりたい。
それがダメなら、鼻の穴を塞ぎたい」
「そこまで行ったら、ホラーだよ」
それを聞いた彼女は意地悪く微笑んで、
僕を脅かすように見つめてきた。
「私が本当に目と鼻をなくしたらどうする?
それでも私を好きでいてくれる?」





