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凡人だとしても
「生まれてきた意味を問うような、
答えのないことなんだろうな」
飲み干した缶コーヒーを屑籠へ放り、
星の瞬く夜空へ視線を投げる。
肩に提げた鞄が重い。
責任と重圧が詰まった荷物を、
今すぐ捨ててしまいたい。
この暗闇と同じように、
先の見えない迷路の中を
延々と歩かされている気分だ。
「出口はどこなんだ」
この迷路にそもそも、
そんなものはないのかもしれない。
だとしても、
偉人と呼ばれる人たちは
自ら出口を作るだろう。
凡人である私は、
出口を求めてさまようだけなのか。
「そんな人生、俺は認めねぇ」
凡人でも足掻くことはできる。
偉人へ化ける者もいれば、
扉が現れるような
強運の持ち主もいるだろう。
私もその場所を目指して進むだけだ。





