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夢と現実の境界
「君と付き合えるなんて夢みたいだ」
「本当に夢だったらどうする?」
「目覚めたとき、凄く残念に思うよ」
「あなたの想いはその程度なの?
目覚めた時、
絶望に打ちひしがれるくらいじゃないと、
付き合い甲斐がないじゃない」
「夢なら夢で、仕方がないって
諦めがつくと思うんだ」
「夢と現実の境界なんて、とても曖昧なものよ。
たとえばほら、あの横断歩道。
あなたは私に逢うために、
あそこを渡ってきたわよね」
「そうだね」
「こうは考えられない?
本当のあなたは、
あそこで車に撥ねられてしまったとしたら。
今のあなたは魂だけの存在になって、
私と話しているとしたら」
「君はとても怖いことを言うんだね。
そんな考えた方をしたことはなかったよ」





