【天武】の試練 鏡の世界
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
はいどうも、作者でございます。
今回は割と早め(当社比)に更新できましたね。
ではでは、本編どうぞー
――――キラキラと。
ヴェンデッタとローザネーラを囲うように、無数の鏡が顕現する。
人よりも大きな全身鏡。御伽噺に登場するような豪華な装飾の枠に嵌められ、上下左右余すところなく展開されている。
空はいつの間にか極彩色に染まり、荒野だったはずの足元には鬱蒼と茂る芝があった。
鏡が顕現し、世界が変貌するのに有した時間はほんの一瞬。ヴェンデッタたちは気が付けば鏡の群れに囲まれていたという状況に目を丸くする。
「な、なんだコレ……!?」
「なにこれ、いったいなんしゅるいのまほうをかさねて、まぜているの!?」
「ローザネーラ、これってお前が俺を閉じ込めたのと同じ魔法か?」
「よくにているけど、ちがうわよ。アタシのはせかいにアタシの『こんげん』をかさねるようにてんかいしているの。だから、わたしをたおせばまほうはとけるわ。けど、これは……いつわ? でんせつ? たぶん、そういうがいねんをかくにしていくうかんをけいせいしている。あのネコをたおしてもきえないかも……」
「なに……?」
周囲を鋭く見渡しながら、自らの考察を述べたローザネーラの言葉に、ヴェンデッタが眉を顰める。
異空間に閉じ込められたことのある経験から、ヴェンデッタはさっさと空間の主を倒そうと画策していた。
それがフイになってしまったのだ。どうしようかと頭を捻るヴェンデッタだが、とりあえずはなにが起きてもいいように大鎌を構えることしか出来ない。
「ローザネーラ、背中は任せたぞ」
「う、うん……ますたーも、ちゃんとアタシを守ってよね?」
「当たり前だ。傷一つ付けさせてやるものかよ」
ニヤリ、とヴェンデッタはフードの下で不敵に微笑んだ。さらり、と吐かれた言葉にローザネーラが顔を赤くしていることには、やっぱり気が付かない。
ぐるぐると、まるでメリーゴーランドのように回っている鏡の群れを、注意深く見据えていく。目が回りそうな光景だが、ヴェンデッタの視線には一切の油断がない。
追い詰められたボスモンスターが使ってきた一手が、簡単に攻略できるはずがない。それは間違いなく奥の手なのだから。警戒など、し過ぎなくらいで丁度いい。
――――そうやって警戒していたからこそ、それに気付くことが出来た。
「ッ!? ローザネーラ、伏せろ!」
「へっ!? きゃああっ!」
ヴェンデッタは咄嗟に、ローザネーラを抑えつけながら草原に伏せる。
ローザネーラは目を白黒させていたが、身を屈めた瞬間に、二人の上部を白い光弾が過っていったことに気付き、顔を真っ青にした。光弾が通り過ぎたのは、数瞬前まで二人の顔があった位置だった。
ぶるり、と身を震わせたローザネーラの肩を抱きながら、ヴェンデッタはさらに警戒を増しながら周囲に視線を巡らせる。
「ますたー、いったいなに!? なんなの!?」
「鏡だ! あの猫、鏡の中から魔法を撃ってきてる!」
「ッ! そういうこと……ますたー!」
焦ったようなローザネーラの声に、ヴェンデッタは反射的に地面を転がった。肩を掴んでいたローザネーラも一緒くたに、緑色の絨毯の上を転がっていく。
瞬間――ズドン! 激しい音と共に、ヴェンデッタたちが身を伏せていた地面に、つい先ほど頭上を通り過ぎていったはずの光弾が突き刺さる。
「うおおおおっ! ローザネーラナイスぅぅぅっ!」
「ひゃああああっ! ますたー、いってるばあいじゃないわよ!」
地面に転がる際に仰向けになったローザネーラは、さっと顔を青くしてヴェンデッタの背中をバシバシと叩いた。
ヴェンデッタは即座にローザネーラの身体を抱きしめ、勢いよく飛び起きると、その場から離脱する。
ザン、ザン、ザン! と、二人がいた地面を魔法弾が撃ちぬく。
続けざまに襲い掛かる魔法を回避したヴェンデッタが顔を上げる。そして、鏡の世界に広がる光景を瞳に移し、呆然とした表情を浮かべた。
――――無数の鏡の中から、幻想的に彩られながら降り注ぐ魔法の雨。
――――鏡から現れ、別の鏡に吸い込まれたと思えば、まったく別の離れた場所にある鏡から飛び出てくる。
――――それは正しく、魔法の乱舞。
「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」
「わぁああああああああああああああああああああああああっ!!」
悲鳴を響かせながら、ローザネーラを担いだヴェンデッタは草原を駆けまわる。
時には《ファストステップ》や《刹那》と言ったスキルを駆使して、雨あられ、横降りに叩きつけてくる魔法を避けて、避けて、避けて…………。
『にゃあ』
必死の形相で動き回るヴェンデッタの視界の端。無数にある鏡の一つから、チェシャキャットが顔を覗かせていた。
魔法の群れに追われ、てんてこまいになっているヴェンデッタを見て――――くすり、と。まるで『ざまあみろ』とでも言いたげに笑ってみせる。
前脚を口元に持ってくる徹底ぶり。誰が見てもわかるほど明確にバカにされたヴェンデッタは、スッ、と表情を消した。
「……………………す」
「ま、ますたー?」
「――――あの猫ォ! 絶対に泣かすゥ!!」
「ぴゃあ!」
ギン、とヴェンデッタの瞳が剣呑に光った。
怒りの言葉を吐き、口元が裂けたような笑みを浮かべ、額に青筋を浮かべながら、目の間に迫って来た魔法に向けて大鎌を一閃。
無害な魔力と散った魔法の残骸を浴びながら足を止め、四方八方を埋め尽くす魔法をちらりと見やると、小さく呟く。
「――――【斥力】」
魔法の群れががヴェンデッタを食らい尽くす――寸前に、不可視の力場がその全てを砕いた。
キラキラとダイヤモンドダストのように舞い散る魔力の中にたたずむヴェンデッタは、担いでいたローザネーラを降ろすと、大鎌を威嚇するように大きく振るった。
周囲の鏡を見渡し、その中にチェシャキャットの姿がないと見るや、『チッ』と小さく舌打ちを一つ。
ヴェンデッタの身から立ち昇る、誰が見てもわかるほどの怒りのオーラ。それに気圧されたのか、あれほど降り注いでいた魔法がすっかり鳴りを潜めていた。
地面に降ろされたローザネーラは、ヴェンデッタから発せられる怒気に顔を青くして、距離を取ろうと、そろりそろりと抜き足差し足で動き出し――。
「――ローザネーラ」
「ひゃ、ひゃい!」
出来なかった。
ぐりん、と首だけを傾けてローザネーラの方を見たヴェンデッタは、フードから覗く真紅の瞳をギラつかせながら、口元を三日月状に裂けさせる。
ローザネーラは肩を跳ねさせ、軽く狂気を感じさせるほどの笑みを浮かべるヴェンデッタと視線を合わせる……ことが出来なかった。若干、目を逸らしている。
ヴェンデッタはカツカツとローザネーラに歩み寄ると、小さな肩にポンと手を置き、顔を寄せて耳元で囁いた。
「――――血ィ、出せるか?」
「ぴぃ……」
ローザネーラは危うく、恐怖で気を失いかけた。
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なお、TSロリですがコミカライズがピッコマ様などで絶賛配信中です!!
ピッコマ様でTSロリを探す時は、チャンネルという項目で『コスモブルー』のチャンネルを見つけていただければ見る事が出来ると思います。
クスミ様(@nekoyuku)によるめっさカワイイヴェンデッタちゃんは必見モノですよ。いやもう、本当に超かわいいですから。
(WEB版のURL→https://piccoma.com/web/product/134069?etype=episode)
ではでは、また次回ー。




