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TSしちゃったからスパチャ暮らし求めてVRゲームの実況者になります ~見た目メスガキ、頭脳は修羅~  作者: 原初


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【天武】の試練 暴かれた正体

TSロリっていいよね

TSロリっていいよね

TSロリっていいよね


はい、更新です。前回よりは早かったですね。

まぁ、十分遅いんですけど。

というわけで、本編どうぞー。

 ジャバウォックへ向かって駆け出した俺は、先ほどの特攻の焼き増しのように、翼を羽ばたかせてデカ物の顔付近まで飛び上がる。


 

「やーい、デカ物! もうお前のことは全部分かってんだからな。そんなすまし顔出来るのもここまでだ。せいぜい、その表情のわかりづらい顔で、目一杯悔しがってくれ」



 挑発的なことを言い、首切り君を持っていない方の手で、下瞼を軽く引っ張って舌を出す。いわゆる、あっかんべーって奴だ。



・煽りおる

・やだこの幼女、人を煽る時が一番活き活きしてない?

・そこがいいんだろうがよぉ!

・やーいってクソガキ感あっていいよね

・ひっぱたきたいほどにウザ可愛い

・分かる。ビンタして泣かしたいよね



 ……最後のコメントは見なかったことにしよう。


 こんなことをしても、目の前のデカ物が無反応なことはわかっている。そもそも、コイツは俺のことをはっきりと認識しているかどうかも怪しい。


 それだと俺が、案山子相手に挑発を始めるという、水面に映る自分の影に吼えるワンコとどっこいどっこいな間抜けさんになってしまうのだが……こうすれば、注目は俺に集まるだろう?


 近づいてきた俺に、ジャバウォックは魔法陣を展開し、魔法を放ってくる。俺はひょいひょいと魔法をよけながらも、ジャバウォックの顔付近から離れない。


 気分は夏場にたかってくるコバエ……うん、ちょっとたとえが良くないな?


 とにもかくにも、こうして意識を俺に向ける事が重要なのだ。


 え? ジャバウォックが無反応なら意味がないんじゃないかって?


 心配ご無用。俺に意識を向けさせたいのは、ジャバウォックじゃあない。


 さて、そろそろだと思うんだが……。



「ますたー!」



 おっ、言った側から。まったく、俺の相棒は優秀で嬉しいね。


 ジャバウォックの魔法が届かない位置まで後退し、俺は背後を振り向く。


 視線の先のローザネーラは、顔を覆う手の指の隙間から深紅の瞳を覗かせ、妖しく輝かせている。



・ローちゃん、目が光ってない?

・くっ、右目がうずく……!

・写輪眼かな?

・ギアスかもしれん

・邪眼の力を舐めるなよ!

・邪王真眼は最強なんだよなぁ



 残念ながら、別にローザネーラが思春期に黒歴史を量産する病気を患ったわけではない。


 あの輝く瞳こそ、ジャバウォックを攻略する一手――――《紅魔眼》。


 未だに弱体化が解除されておらず、本来の凶悪な性能は鳴りを潜めている。


 それでも、その力は非常に有能なものが多い。


 例えば――――魔力の視認。


 不可視のソレを目視できるようになると、魔法やスキルの発動を事前に察知したり、魔力を持っている物体を見つけやすくなったりする。


 勿論、『隠れて魔法を使っている者を炙り出す』。なんて真似も可能だ。



「みつけたわ! ――――ひだりななめした、おおきないわばのかげ!」


「よくやった! ありがとうな愛してるぜローザネーラ!」


「このくらいとうぜ――ひゃひぃ!? い、いきなりなにをいってるのよぉ!?」



 裏返った声が聞こえてきたが、今は相手が逃げる前に行動しなければいけない。


 ローザネーラが見抜いてくれた地点へと、俺は思いっきり首切り君を振りかぶった。



「【ブーメランサイス】!!」



 そして、アーツの発動と同時に、首切り君をぶん投げる!


 ジャバウォックの身体を貫通し、なにもない様に見える岩場の影に真紅の大鎌が飛翔し――――。




『にゃ、にゃああああああああああああああああああああああああああああああああっ!?』




 ――――見つけたぜ、ジョンドゥさんよ?


 岩場の周囲を粉砕する首切り君から逃げ惑うように、飛び出してくる小さな影。俺は戻って来た首切り君を掴みながら、ニヤリ、と微笑んだ。


 その瞬間、ジャバウォックの巨体がぶれる。まるで、投影された立体映像にノイズが走ったように、身体が崩れ去っていく。


 同時に、アナウンスが響き渡る。



《ネームドボス:『【嘘獣】のジャバウォック』の正体が暴かれました》

《ネームドボス:『【噓獣】のジャバウォック』改め、御伽魔法【正体不明の恐怖の獣(ジャバウォック)】が解除されたことで、条件が達成されました》

《これより、ネームドボス:『【鏡界】のチェシャキャット』との戦闘が開始されます》

《改めて、健闘を祈ります》



・……おん?

・デカいのがいきなり消えて……んん?

・きょうかいのチェシャキャットって……なに?

・魔法? 魔法つったか、今?

・誰か、説明して!? わけわかんない!?

・これって、もしかして……



 コメント欄は混乱の嵐って感じに慌てふためいている。


 ローザネーラも、あんぐりと口を開けて、さっきまでジャバウォックがいた空間を見つめていた。


 俺は翼をはためかせてローザネーラの元に戻りながら、それらを見てくすりと微笑む。


 驚いてる驚いてる。いやぁ、身体を張って謎を解いた甲斐があったってもんだ。



「どうだ、ローザネーラ。俺の言った通りになっただろう?」


「……ますたー、どういうことなの。ちゃんと、いちからせつめいして」


「ふふ、いいぞぉ。ローザネーラも、視聴者のみんなも、よーく聞いてくれ」



 地面に降り立ち、コホンと咳ばらいを一つ。


 フードの裾を揺らしながら、開いた手の人差し指をぴんと立て、顔の隣でくるり、と回す。


 ローザネーラとカメラくんが俺の仕草に集中しているのを確認し、外連味だらけの笑みを浮かべて、俺は口を開く。


 第一声はこれだろう。名探偵は謎解きの際、この言葉を必ず口にすると、どこかの本で読んだことがあつからな。



「――――さて」



 謎解き、と言っても語ることはそう多くない。


 俺たちが最初、ネームドボスだと戦々恐々としていたジャバウォック。それが、単なる虚像で、真のネームドボスが他にいた、ということである。


 凶暴な魔獣たるバンダースナッチが、シユウという規格外のネームドボスの力によって凶悪たるジャバウォックになった。あの光景は衝撃的ではあったが、とても順当なものだった。


 見るからにフィジカル特化の魔獣が、魔法も使えるさらにフィジカルの強そうな魔獣になる。ああ、すんなりと理解も納得も出来るとも。


 だからこそ、それが第一の罠だった。


 

「バンダースナッチの時点で普通にデカい怪物だった。それが、あんなのになるなんて、普通は思わないだろう?」


「……たしかに」



 俺とローザネーラは、そろって『真のネームドボス』を見る。カメラくんも一緒にくるり、と振り返っていた。可愛い。


 三者三様の視線にさらされたのは、岩陰からこちらを伺っている――――猫。


 ジャバウォックとは、比べ物にならないくらい小さな猫。というか、普通の猫とあんまりサイズが変わらない。毛並みがいいのと、首周りにファーのような毛皮があって、尻尾が二股に分かれていなければそもそも魔物かどうかも怪しかったところだ。


 

『ッ!? フシャーッ!』


 

 見られていることに気付いた猫は、毛を逆立ててこちらを威嚇してくる。しかし、その体躯ではどうにも迫力に欠ける。


 ……というか、ぶっちゃけ。



「可愛い」


「かわいいわね」



・かわいい

・かわいい

・もふもふしたい

・猫吸いしたい

・肉球触らせて

・餌付けさせてもらっても構いませんね?



 こうして見ると、あの猫がジャバウォックを生み出したとは信じられないな。


 俺もすっかり騙されてしまった。気付けたのは些細な違和感を偶然にも察することが出来たからだ。


 その違和感とは、二つ。ジャバウォックの行動が機械的だったこと。そして、発動する魔法に法則があったことだ。


 まるでそうプログラムされたロボットのよう。『Aという行動に対してBという行動を返す』と決まっているとしか思えない動きに、「ん?」となったからこそ、俺は特攻という名の確認作業を行ったのである。


 それに、【噓獣】っていう名前も判断材料の一つだ。


 『虚像のように攻撃が当たらない』というところからとっているのかと最初は思ったが、これはそのまま『嘘の獣』だったわけである。


 これだけ情報が出れば、後はパズルのピースを嵌めていくだけ。


 『ジャバウォックは偽物であり、それを操っている存在がどこかにいる』という答えが浮かび上がってくるってわけだ。



「……それで、アタシにいきなり、『まがんをつかってかくれているまりょくをさぐれ』なんていってきたのね」


「そう言うこと。考えなしの行動じゃないって、分かっただろ?」


「いや、とっこうをするいみはわからないわよ。もっとあんぜんにかくにんするほうほうはいくらでもあったでしょう?」


「アレが一番早かったし」


「えぇ……」



 得意げに胸を張ってみれば、なんとも言えない視線を貰ってしまった。あれー、おかしいな? ここは俺の華麗な推理に驚嘆するところでは?


 いや、ローザネーラがちょっと冷たいだけで、視聴者の皆なら、きっと……!



・推理……推理?

・ほとんど当てずっぽうでは?

・言われてみればって感じだけど、根拠薄すぎん?

・それで見抜いてるのはすごいけど、推理ではなくない?

・どっちかと言えば、本能

・野生の勘みたいなもんか



 ……ええい、見抜けたんだからいいだろ! 


 四面楚歌的状況から目を逸らしつつ、改めてネームドボス……チェシャキャットを見る。


 ジャバウォックを消し去ったとはいえ、まだどんな手札が残っているのかわからない。油断は出来ないな。


 わかっているのは、魔法使い系のステータスをしていること。そして、物理系の能力はさほど高くないだろうということ。


 距離を詰めて、近接で仕留めるのは一番か。的が小さいから、首切り君だと命中させるのに苦労しそうなのが考えものだな。


 さて、どう攻めようか。と、じっとチェシャキャットの動きを見ていると……ふと、思う。


 猫。小動物。


 もふもふ。かわいい。


 …………うず。



「……あの猫、仲間に出来ないかなぁ」


「は?」



・は?

・は?

・は?

・は?

・は?

・まーた変なこと言い出したよ……

ご拝読ありがとうございます。

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次回の更新……た、多分、五月中にもう一回いけるかな? いけるはず。

まぁ、期待せずにお待ちください。

ではでは、また次回。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 物理無効と魔法向こうを使い分けていて、その辺を調べて、同時攻撃とか時間差攻撃とかで攻略していくのかと思ったけど、ボス自体が虚像だとは思わなかったですね。自分から肉弾戦しなかったあたりがヒン…
[一言] まぁ、ローザちゃんだってネームドレアだったしな……(遠い目
[良い点] は? [気になる点] は? [一言] は?
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