【天武】の試練 光明一筋
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
はい、どうも作者です。
ボスを強くしましたけど、能力を幾つか制限することで解決しました。
きっとヴェンデッタ君なら何とかしてくれるでしょう。
ではでは、本編どうぞー。
「もうダメかもしれんなぁ……」
「ますたー!? なによわねをはいてんのよ、ばかー!!」
はっ、いかん。あまりに絶望的な状況に、思わず弱音を吐いてしまった。
ええい、気持ちで負けてどうする。それ以外の部分で勝てる未来がちっとも見えないけど、だからこそ気持ちくらいはぶらしちゃいけないだろう。
たとえ……たとえ……!
「今の攻撃で、俺たちの手札を使い切ったとしてもなぁ!」
「やめてますたー。ひっしにかんがえないようにしていたじじつをさらけだすのはやめるのよ」
「弱音は吐かないんじゃなかったんじゃ……?」
「げんじつとうひって、むなしいのね……」
ふふっ、とやけに大人びた顔で笑うローザネーラ。いかん、あまりの先の見えなさに、ローザネーラの精神が限界を迎えている。
・ローちゃん目が死んでるー
・ヴェンデッタちゃんも若干ハイライトがやばくない?
・まぁ、先の見えない戦いですし……
・絶望……ですかねぇ?
・見てるこっちも絶望しそうだけどな
・どうやって倒すん? あのネームドボス
コメントの言う通りである。
マジでどうやって倒せばいいんだ? このデカブツ……。
恨みのこもった視線をジャバウォックに向けるが、ヤツは登場した場所から一歩たりとも動かず、腹が立つほど悠然に佇んでいやがる。
そして、HPバーも憎たらしいほど一ミリも動いていない。
物理でぶん殴っても、魔法でぶん殴っても、一切ダメージナシ。
俺の攻撃じゃダメなのかと、ローザネーラの魔法をぶち込んでみても効果がなし。
もうなりふりかまっていられるか! と、ローザネーラに杖での打撃を試してみたけど、これまたなんの成果も得られなかった。
それどころか、反撃の薙ぎ払いを食らいそうになり、間一髪で退避に成功したけど……ローザネーラには、涙目でしこたまポカポカされてしまった。滅茶苦茶怖かったらしい。流石に申し訳なくなった。
『キュアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!』
あの時のローザネーラは不謹慎ながら可愛かったなぁ、と現実逃避以外の何物でもない思考をしていると、ジャバウォックが気合のこもった叫び声を上げた。
なお、この場合の気合とは殺気とイコールと思ってくれて支障はない。
「くるぞ、ローザネーラ。現実逃避している暇はないっ!」
「うわーん! こんなわんさいどげーむ、アタシはみとめないわよー!」
泣き言を漏らしつつも杖を構えるローザネーラ。よしよし、絶望的な状況だけど、戦意を失ってはいないようで何よりだ。
さて、次はどんな魔法が飛んでくるのか。
しっかしジャバウォック、あのデカイ図体を持ちながら、こちらが接近した際の迎撃以外で近接攻撃をしてこないんだよなぁ。
反撃は全て魔法。あの黒い棘で弾幕をはる魔法や、白い誘導弾を放つ魔法の他にも、檻型のエネルギー体で拘束しようとしてきたり、破壊しないと凄まじい衝撃波を周りに放つ発光球体を落としてきたり。
何とかスキルや魔法を使って切り抜けてきたが、ポーションなんかの消耗品はほぼ使い切ってしまった。これ以上戦いが長引くのは不味いな……。
正直、あのデカさで突進されたら、それだけでこっちは泣きを見るんだけど……どうしてそれをしないんだ?
俺たちを死ぬほど舐めていて、お前らなんざ魔法だけで十分なんだよバーカって思っているのであれば、ブチギレながら思い知らせてやればいいんだが。
うーん、なんというか、そんな感じはしないんだよなぁ。
あの異形の見た目があってこそなのかと思っていたんだが、あんまりにも生物みがないと言うか……なんだか、動きがプログラムじみている?
プログラム、ねぇ?
なーんか引っかかる……もう少しでなにか思いつきそうなんだけど……。
こういう時は、アレだ。連想ゲームだ。兎に角関係がありそうな言葉を並べて、答えにたどり着くってヤツ。
ええと、始まりはジャバウォックだな。
ジャバウォック……【天武】の試練……シユウ……クソ強い……こんな状況を生み出した元凶……絶対いつかどつきまわしたる……ではなく。
ええと、ジャバウォック……アリス……鏡の国……ヴォーパルソード……真実の剣……【噓獣】の名……嘘の獣…………あっ。
――――そういう事か?
可能性は高い……と、思う。多分、おそらく、メイビー。
可能性を見抜いた。仮説は立てた。なら、必要なのは検証だ。
よし、ちょっと確かめてみよう。
俺が思考を回していると、ジャバウォックの魔法が完成する。
放たれたのは、ヤツが最初に使ってきた黒い棘をばらまく魔法。
速度と範囲はそれなりだが、放射状に棘が打ち込まれるので、距離が離れていると弾幕がバラけて驚異度は下がる。
俺はローザネーラの前に立ち塞がり、首切り君を構える。
《魔纏装》で闇属性を付与し、飛来する棘に合わせて首切り君を振るうことで黒棘を全て撃ち落とした。
「よっと……ローザネーラ、ちょっと確認したいことがあるから、俺、アイツに特攻してくるわ」
「わかったわ! ……は?」
・いま特攻っつったか???
・どうしてノンストップでおかしくなるの???
・わぁ、迷いのない足取りぃ……
・確認したいこと? なにかに気付いたんか?
・ワシはなんもわからん
・ワイもや
間の抜けた声を出したローザネーラを置いて、俺は地面を蹴り、ジャバウォックに近づいていく。
首切り君を構え、《魔纏装》で纏わせるは火属性。単純に攻撃力に特化した魔装を携え、瞳に乗せた殺気ででか物を射抜いた。
盛大に『今から攻撃しますよ』と示しながら、ただ真っすぐにジャバウォックに向かっていく。
それは無謀か? 馬鹿言え、作戦だよ。
『キシャアアアアアアアアアアアアアッ!!』
無防備……というには少し物騒なモノを引っさげて突貫する俺に、ジャバウォックは当然のように反応する。
まるでそこが自分のいるべき場所なのだと、誇示するように吠えたジャバウォックは、前脚で俺を薙ぎ払おうとする。
――――やっぱりか。
地面を削り、砂煙を上げながら接近してくる腕を、俺は翼を羽ばたかせ、《エア・ステップ》で勢いよく離陸することで回避する。
そのまま上空へ。突貫したさっきとは真逆で、今度は距離を取る。
そして、突き出した腕を砲身に、軽く開いた手のひらを砲口として、ジャバウォックに突き付けた。
「――――【闇剣撃】」
砲弾の如く突き進む闇黒剣が、ジャバウォックに着弾。
回避もないもしなかった……それどころか、反応一つなし、か。
そして、俺の考えが正しければ……次の用意すべきは、闇属性の《魔纏装》だ。
素早くスキルを発動し、首切り君に漆黒の靄を纏わせる。ジャバウォックと同じくらいの高さまで高度を下げて、空中で体勢を整えた。
これで準備は整った。あとは俺の仮説があっているかどうか……ッ! 来た!
『キャシゥウウウウウウウウウウウッッ!!!』
ジャバウォックの叫び声は、魔法陣を生む。
ヤツの頭上に顕れた魔法陣は……白ッ!!
つまりは、『俺の予想通り』、白い誘導弾の魔法!
ジャバウォックが放った魔弾は複雑な軌道を描いて俺を狙ってくる。
「そいつはもう、見切っているんだよ!!」
俺はそれに、自らツッコんでいき、闇を纏った首切り君を振るい、霧散させる。
待ち構えていると軌道が変わっちまうからな。その分、自分で向かえばこちらへの直撃コースをさえ見えていれば迎撃は容易い。
それさえ意識すれば、御覧の通り、一閃だ。
さて、今のジャバウォックの行動で、俺の仮説が真実であると証明するに一歩近づいた。
それを確証にするためにも、もう少し検証を重ねてみるとしますか。
ご拝読ありがとうございます。
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八割くらい見抜かれてる気がするけど、二割は多分わかんないからいいや。
ではでは、また来週ー。




