屋敷にお邪魔しました
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
気温の急激な変化についていけない作者です。
暑いんだか寒いんだかわかりませんね。読者様もお体にはお気をつけて。
ではでは、本編どうぞ
「どうぞ、お茶です」
「あっ、どうも……」
すっと音もなくテーブルに置かれたカップに、紅色の液体が注がれる。
香りからして紅茶か。銘柄まではちょっとわからないけど、安物じゃないことだけはすぐにわかる。
何気なく周囲に視線を巡らせてみると、どこもかしこもハイソな雰囲気が漂っており、いかにも『お金持ちのお屋敷の一室』といった感じだった。
Tシャツにハーフパンツというラフすぎる格好をしている身からすると、場違い感がハンパじゃない。
返事にも緊張が出てしまい、メイさん……もとい、十環乃さんにクスリと笑われてしまった。赤くなった顔を隠すように、さっと視線を逸らす。
俺に紅茶とお茶菓子を出した十環乃さんは、『お嬢様の準備を手伝ってきますので、少々お待ちください』と言って部屋を出て行ってしまった。
いきなり高級空間に放り込まれた庶民たる俺は、言いようのない居心地の悪さにそわそわしつつ、出された紅茶とお茶菓子に手を伸ばす。
あっ、なにこれすっごい美味しい。
俺は今、アリアさん……もとい、八都神さんの自宅にお邪魔している。
十環乃さんの手で暴徒ストーカーと化した八都神さんの魔の手から救われた後。
八都神さんを回収した彼女に、謝罪と『お詫びをしたいので一緒についてきてもらえますか?』という申し出をされた俺は、その両方を受け入れた。
十環乃さんが運転する高級車に揺られて連れてこられた八都神さんの自宅は、正しく『豪邸』と呼ぶにふさわしいものだった。
一体何部屋あるんだってくらいにでかい建物が、学校のグラウンドよりも広そうな敷地内に建っている光景は、ここが本当に俺の暮らしている町なのかと疑ったものである。
しかし、奇妙な縁もあったものだ。
ゲームで知り合った有名実況者が、実は同じ町に住んでいて、偶然にも遭遇するとか。
現実味がないというか、アカちゃんが好んで読んでいるライトノベルにありそうな話だなというか。
八都神さんとのファーストコンタクトを普通に遭遇と言ってもいいのかは判断に迷うところである。
アレ、中身が男の俺が相手だったからよかったものの、普通の女子相手にやったらただの犯罪だろ。
いや、俺が相手ならいいってわけじゃないけど……。
流石に、普段からあんなことをしてるわけじゃないよな? いやいや、だとしたらお天道様の下を大手を振って歩けるわけもないし、杞憂だろう。
ふと、もう一度部屋の中を見渡す。調度品の一つとっても、見るからにお金がかかっている。そういう知識がないから、「はえー、すっごい高そう」と馬鹿みたいな感想しか出てこないが。
こう、金の力を使って事実を隠蔽……みたいな嫌な想像が脳裏をかすめたが、すぐに考えすぎだと首を横に振るう。
……まぁ、八都神さんと相対する時は距離感に気を付けておこうとは思ったが。
こちらを追いかけまわしていた時の鬼気迫る様子や、俺の手を掴んだ時の狂気的な眼を思い出してブルリと身震いする。
これが暴漢に襲われた女の子の気持ちという奴か……痴漢や性犯罪に過剰反応してしまう人の気持ちが、今なら少しは理解できる気がする。
まぁ、襲った側も女の子だったんですけどね?
というか俺、年下の女の子に散々怯えさせられた挙句、女性に助けられた……ってコトぉ? 男としての面目丸つぶれどころの話じゃないな……ハハッ。
がっくりと項垂れながら、お茶菓子をハムハムしていると、コンコンとノックの音が聞こえた。
慌てて口の中の物を紅茶で流し込み、「はーい」と返事をする。
「失礼いたしますわ」
そう言って入ってきた八都神さん。制服+不審者ルックからシックな黒のワンピースに着替えている。
キリリ、と表情を引き締め、不審者ムーブも十環乃さんに投げ飛ばされたのもまるでなかったかのように堂々としたふるまいで俺が座るソファに歩み寄ってきた。
コロンを纏っているのか、近づいた瞬間に柑橘系の香りが鼻をくすぐる。
そんな、何処までも上品で、これぞお嬢様という雰囲気を醸し出しながら俺の傍に来て。
そのまま、流れるように土下座した。
は?
「ヴェンデッタ様、本当に申し訳ありませんっ!!」
ドンッ、と効果音が付きそうなくらい、潔く堂々とした謝罪の言葉。
だが、待ってほしい。いきなり年下の女の子に土下座されて、冷静でいられるような人生経験を俺は積んでいない。
とりあえず土下座を辞めてほしいと言おうとしたが、俺が口を開くよりも先に、八都神さんの怒涛の謝罪が始まった。
「推しを前にして我を忘れていたとはいえ、恐怖を与える愚行をしまうなど、八都神家の娘以前にオタクとして最低最悪の行為! 推しに迷惑をかけるオタクに生きる価値などありませんわ! ヴェンデッタ様がそうしろとおっしゃるなら、私、切腹も辞さない所存ですわ!!」
「それは辞してください!? 何しようとしてるんですか!?」
「はっ、そうですわね。私の死に様などという汚いモノを推しに見せるわけには……! すぐにヘリを出して、富士の樹海に身を投げてきますわ!」
「死ぬなって言ってるんですよぉ!? もういいですから、そんなに気にしてませんから! 確かにちょっと怖かったですけど……」
「ああ、やはり怖がらせてしまったのですね。やはり、命で詫びるしか……!!」
「落ち着けぇ!!」
なんでそうすぐに命をかけようとするかなぁ!?
土下座しながら、どこからか取り出した短刀を抜こうとする八都神さんを、どうにか抑え込もうとする。
というか、なんで短刀なんてあるんだよ!? え? 応接室に普通に飾ってある? 凄まじいなお嬢様!?
どったんばったん、ギャーギャーワーワー。
俺と八都神さんの攻防は、騒ぎを聞きつけた十環乃さんが八都神さんを鎮圧したことで収まった。
しかし、暴れる八都神さんを抑え込み、アイアンクローで締め上げる動きによどみがなかったな。この二人の主従関係ってどうなっているんだ?
ご拝読ありがとうございます。
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コミュに入れなかった……このお嬢様勝手に動きやがる。
ではでは、また次回ー。




