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TSしちゃったからスパチャ暮らし求めてVRゲームの実況者になります ~見た目メスガキ、頭脳は修羅~  作者: 原初


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ドライへ

TSロリっていいよね

TSロリっていいよね

TSロリっていいよね


どもども、作者です。

八月四回目の更新です。これで高頻度(当社比)という事実。

今回は新キャラが出ますよー。顔見せはしませんけど。

 アリアさんとアカちゃんが、ちょっとかわいそうになるくらいバンダースナッチをボッコボコにした後、俺たちはドライにたどり着いた。


 門をくぐり、目に映った光景に、ほう、と感嘆の息を漏らす。



「ここが、ドライかぁ……」



・おめめきらっきらヴェンデッタちゃんカワイイ

・きょろきょろしてるのお上りさん感があってよき

・いつ見てもここは人が多いな

・ついに新衣装実装か……胸が熱くなるな

・今のメイド服でもいい気がするんですが。というか、メイド服がいいんですが

・メイド服姿でドジっ子晒すヴェンデッタちゃんの切り抜きがもう出来てて草なんだが



 ……コメントはスルーの方向で。切り抜きの話とか、俺は何も見ていないからな。


 仕事早すぎるだろ……まだ戦闘が終わって三十分も経ってないぞ?


 自分の痴態がものの見事にネットタトゥーとして世に残ってしまったことから目を逸らし、ドライの景色を眺めていく。


 すり鉢状の土地に建物が密集している。配管らしきものがあちらこちらに伸び、天を衝く煙突からは絶える事なく煙が上がっている。


 立っている建物は、「統一性? 何それ美味しいの?」と言うように、形も大きさもバラバラ。中には、それどうなってんの? って形に建っている家とかもある。


 町、というより『建物の集合体』と称した方が適切な気がしてくる光景だった。


 建物が雑多なら、そこを行く人々もまた雑多である。


 道のいたるところに露店や屋台が開かれ、呼び込みの声が四方八方から耳に届く。


 渦巻く活気に気圧されて、思わずのけぞってしまいそうだった。


 

「通称、『工商街』。生産職や商人プレイヤーの聖地として知られていますわ。欲しいアイテムや装備がある時は、この町を訪れろと言われていますの」


「……わたしはここ、苦手。いつも騒がしい。耳が痛くなる」


「人が集まりやすい場所ですので、活気があるのは仕方がないかと。あと、この町は道が非常に入り組んでいますので、迷子にはご注意くださいね。ローザネーラ様」


「なんでわざわざワタシにだけいったのか、なっとくのいくせつめいをしてもらおうかしら?」



 一番、迷子になりそうな見た目をしているからじゃないですかね……?


 そんなことを考えていると、ローザネーラにキッと睨まれてしまった。おかしい、口には出していないはずなのに。


 ぷんすこ怒るローザネーラを宥めつつ、俺はアリアさんとアカちゃんに声を掛ける。



「そう言えば、これから向かう防具屋さん? は、どんな人なんだ?」


「そうですわね……」



 俺の問いかけに、アリアさんは少し困ったように眉を顰めると、アカちゃんの方へ視線を向ける。


 アリアさんの視線を受けたアカちゃんは、同じように眉を顰めると、こくりと頷いた。


 そして、二人は口をそろえて。



「変な人、ですわね」


「……おかしい人」



 と、ため息交じりに答えた。


 え、なんだそれ……。これから会いに行くってのに、不安しか募らないんだけど。



「悪い人ではないのですが、悪ふざけが酷いと言いますか……」


「……多分、ふざけないと死ぬとか、そういう感じの生き物」


「情報が更新されるたびに、不安が乗算されていく……えっ? 本当に大丈夫なのか? 割と今、全部忘れてUターンしたくなってきたんだけど?」


「本当に、悪ふざけが酷くて言動が喧しくてマイペースが過ぎるだけで、悪い人ではありませんわ」


「……職人としては、超一流。人としては……まぁ、うん」


「困った……不安が全く解消されない……!」



 変な人で、おかしな人かぁ。


 うーん、この二人が言うって相当だぞ。


 気を引き締めておかないと、えらいことになりそうだ。


 

「ワタシだけでもにがしてくれていいのよ、ますたー」


「はっはっは、なにを言ってるんだローザネーラ。俺たちは一連托生、だろ?」


「いーやー! へんなやつはそこのきんいろとかぴんくとかめいどとかますたーでおなかいっぱいなの!」



 ジタバタと暴れるローザネーラを羽交い絞めにして、俺はずんずんと進んでいく。


 もうここまで来たら死なばもろとも。


 大丈夫大丈夫、向かう先が地獄だろうと二人なら何の問題もないさ。多分。


 決して、変なヤツ扱いをされて腹を立てているわけではない。イイネ?


 ローザネーラを逃げないように拘束しつつ、アリアさんの案内で向かったのは、ドライの町の中心部。


 中心部は入り口付近とは比べ物にならないくらいに人でいっぱいだった。


 活気というか、これはもう熱気って言った方が正しいだろってレベル。


 迷子云々が冗談じゃなくなったな。ローザネーラはしっかり捕まえておかないと。


 人ごみに紛れたら、ちっこいローザネーラなんてすぐに見失ってしまうだろうし。


 建物も大きくなり、プレイヤーも見るからに強そうな装備を身に着けている人が増えている。


 もしかしなくても、この辺りって高レベルプレイヤー向けの店があるエリアなのでは……? なんだか、場違いな感じがしてくる。


 それに……なんか俺、見られてない? まわりから視線を感じるんだが……。


 きょろきょろと辺りを見渡してみると、複数人がこちらをチラチラと見ているのが確認できた。


 有名人なアリアさんやアカちゃんのことを見ているかとも思ったが、明らかに俺のことを見ている人もいる。


 まぁ、配信者として顔出ししている時点で、こういう事は起こるんだろうけど……うぅ、まだ気恥ずかしさがぬぐい切れないな。


 とりあえず、ずんずんと進んでいくアリアさんとアカちゃんの背中に隠れるようにしながら進むことに。目立つ二人を隠れ蓑にすれば、注目を浴びることもないだろう。


 いつかはこういう視線にも慣れて、無難に対応できるようになるのだろうか? 


 うーむ、ちょっと想像できないなぁ。


 そんなことを考えていると、先を進んでいたアリアさんとアカちゃんが足を止める。


 おっ、ついに到着したのかな? さて、いったいどんなところなのか……は?


 二人が立ち止まり視線を向けた建物を俺も見て、絶句した。


 現代アートと無秩序がテーマの遊園地にあるビックリハウス、もしくは立体でキュビズムをやろうとした結果とでもいえばいいだろうか? 


 割と好き勝手建てられている建築物の中でも、一際異彩を放つそれは、個性的の一言であらわすには奇抜に過ぎた。


 窓がありえないところに付いていたり、煙突が地面に向かって生えていたり、二階と三階が横にズレていたりと、見ているだけで情報量の洪水に溺れてしまいそうである。


 両開きの扉(左右で形も材質も違う)の上には、年季の入っていそうな木の看板に何故か毛筆で書かれた『衣装屋カオス』の文字。


 カオスかぁ。うん、名前の通りすぎて不安しか湧いてこないね。


 今すぐUターンしちゃいたいんですけど、よろしいですか? よろしくないかぁ……。



・あっ、ここかぁ

・うわぁ、ここかぁ

・いやまぁ、確かに腕はいいよな

・えっ、なにこの見てるだけでSAN値削れそうな建物?

・初見だとビックリするよなぁ。初見じゃなくても見る度にビックリするけど

・不思議の国のアリスの方がまだ理路整然としているの草なんだが




「いつ見ても目立つ建物ですわね。足を踏み入れるのに躊躇してしまいそうなところも、まったく変わっていませんわ」


「……悪趣味のきわみ。見てるだけで頭がおかしくなりそう。はやく中に入ろう?」


「…………お、おう」



 二人に促され、俺は扉の取っ手に手を掛ける。


 ちなみに、ローザネーラの手は放していない。じたばたと全力でこの場から離れようとしているけど、俺は絶対にこの手を離さないからな。


 

「ねぇ、ますたー? かえらない? というか、ぜったいにかえったほうがいいとおもうのだけれど!?」


「安心しろ、俺が付いてる」


「かっこいいこといってるけど、かおがひきつってるわよ! いーやー! ぜったいにひとくいのまじょとかでてくるじゃない!」



 ローザネーラの言葉を笑顔で黙殺しながら、俺は意を決して扉を開く。


 ギィイイ、と軋む音と共に、ゆっくりと開いた扉の先にあったのは、薄暗い店内だった。


 外見とは真逆で、どこの高級店かと錯覚するような整った内装をしている。落差で風邪を引きそうだ。


 しかし、照明が一切点いておらず、人の気配もない。


 シーンとした静寂が流れるその場の雰囲気に、逃げようとしていたローザネーラも声を潜めている。



「あら? おかしいですわね。今日、こちらに伺うことは伝えておいたはずですのに……」


「なにか、手違いがあったのでしょうか?」



 俺の後ろから入ってきたアリアさんとメイさんが不思議そうな顔をして店内を見渡した。


 最後に店に入り、扉を閉じたアカちゃんが、半眼になりながらため息を吐く。



「……どうせ、いつもの悪ふざけ」



 アカちゃんがそう言った瞬間。


 パッと店の照明が点いて、店内が一気に照らされた。


 

「ッ!?」


「わっ! な、なに!? なんなの!?」



 突然明るくなったことに驚いて肩を跳ねさせていると、いつの間にか誰かが視線の先に立っていることに気が付く。


 つい一瞬前まで姿かたちもなかったはずのその『誰か』を見て……言葉を失った。


 は? え? はぁ? なんで……?


 

「ちょっと、なにがおきているのよ! それに、そこにいるのはいったいなにも……の…………?」



 ローザネーラも『誰か』に気付いたようで、その姿を見て言葉を失っていた。


 俺たちの目の前に立っている『誰か』は、こちらの驚愕など素知らぬ様子でニコリと微笑んだ。


 その笑顔に見覚えがあった。というか、あり過ぎた。


 さらりとした銀色の髪はあざといツインテールになっており、ぱっちりおめめは真っ赤。


 容姿は天使の如く整っているが、纏う雰囲気は何処か小生意気だった。


 背中の開いた赤と黒の薄いぴっちりレオタードを身に纏っている。


 下半身は太ももの半分以上が露出する白いミニスカに、絶対領域を創り出す黒ニーソ。


 足元は真紅の編み上げブーツ。踵には低めのヒールが。


 そして、白い肌が丸見えの背中の肩甲骨あたりから蝙蝠のような羽が生えており、スカートの裾からは黒くて細くて先っぽに三角形のついた尻尾が。


 ツインテールの付け根辺りからは一対の角が生え、ちっちゃなお口からは八重歯が覗いている。


 それは、何処からどう見ても。何度目を疑っても。



「…………俺ぇ?」



 ――――『ヴェンデッタ』の姿をした『ダレカ』が、得体の知れない笑みを浮かべて立っていた。

ご拝読ありがとうございます。

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次回、新キャラ顔見せ。

ではでは、また次回ー。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 悪ふざけするタイプのおかしい奴かあマジで立ち悪そうだなあ 巻き込まれてるろーちゃんが不憫
[良い点] 切り抜き職人の朝は早い…… [一言] うーん、もしかして常識人ってローザネーラちゃんだけなのでは??
[一言] SAN値チェックの時間だオラァ!!
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