火のついた心
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
はいどうも作者です。
更新しまーす。高速更新(当社比)ですね。
新衣装までもうちょっとだー。
見惚れていた。
見蕩れていた。
目が、離せなかった。
「す……すごい…………!」
晒した無様も忘れて、呆けたような声を上げる。
目の前で繰り広げられた、アリアさんとアカちゃんの戦い。
いや、アレは戦いじゃない。ただの蹂躙だ。
圧倒的なステータスに、高位スキルの数々、それらを操るプレイヤースキル。
どれもこれもが一級品。トッププレイヤーがトッププレイヤーたる所以が、そこにあった。
今の俺では苦戦は免れないであろうボスモンスターを一切寄せ付けず、1ダメージも受けずに完封。
しかも……アレは、まったく本気じゃない。
配信者であるアリアさんは当然として、二つ名持ちであるアカちゃんも戦いの光景が動画として残っている。
そこで見た彼女たちは、今よりずっと苛烈で超常的だった。
今の戦いでは、実力の十分の一も見せてないんじゃないだろうか?
もうとにかく、すごいという感想しか出てこないくらい圧倒的な光景だった。
「ふふっ」
ふと思わず零したといった感じの笑い声が聞こえてきて、振り返る。
口元に手を当てたメイさんが、なんだか微笑ましいモノを見るような視線を俺に注いでいた。
「メイさん?」
「おっと、失礼しました。ヴェンデッタ様の瞳があまりに無邪気だったもので、つい」
くすり、と悪戯っぽく微笑んで、メイさんはぺこりと頭を下げる。
まぁ、アリアさんとアカちゃんの戦いに夢中になっていたのは事実だけど……。
そんな、傍から見てすぐに気が付くほど、わかりやすい目をしていたのだろうか?
「はい、それはもう。クリスマス当日の子供のように、キラキラとした目をしていました。大変可愛らしかったです。私、お嬢様の気持ちが少しわかった気がします」
「うぅう……」
思わず、両手で顔を覆い、その場にうずくまってしまう。
顔が熱くなっているのを自覚する。きっと頬は真っ赤になっているだろう。
うぅ、普通にすっごく恥ずかしい……。
そ、そんなに子供っぽいことをしちゃっていたとは……うぅうううううっ! うなぁあー!(羞恥心の限界ゆえの奇声)。
「……そういうところですよ、ヴェンデッタ様」
メイさんが小さく呟いた言葉は、羞恥に悶えていた俺には届かなかった。
「うぅう……はぁ。でも、本当にすごかったなぁ……」
何とか気を持ち直し、俺は再度二人の戦いに思いを馳せる。
レベルも、プレイヤースキルも、何もかもが段違い。
俺なんぞ、足元にも及ばない。どうすればあの領域に行けるのか、途方もないそれを考えるだけで胸が熱くなってくる。
興奮した、熱狂した――――それと、同じくらい。
「……俺も、あんなふうになってみたいなぁ……!」
目の当たりにした高みへ、手を伸ばしたくなった。
強くなりたい。
一緒に肩を並べられるくらい……いや。
彼女たちと戦えるくらい、強くなりたいと、羨望する。
だって、悔しいじゃないか。
こうしてただ見ているだけなんて。守られているだけなんて。
男として情けないし、なんだかすごく『負けた』気がするのだ。
負けるのは嫌いだ。だってそれはつまらない。
勝負事かどうかは関係ない。負けた気でいるのが気に食わない。そんな勝手な思いなのだ、これは。
勝てる勝てないの土台にすら立てない分際で何を、と自分でも思うが、嫌いなモノは嫌いなのだから仕方がない。
今は見上げることしか出来ずとも、いつかは……と心を燃やす。
と、その時。
ふにっ。
横から伸びてきた小さな手が、俺の頬を引っ張った。
「……いひはひほうひは? ほーはへーは」
「なにいってるのかわかんないわよ。……ふんっ、なによ。でれでれしちゃって。ばかますたー」
不機嫌顔のローザネーラが、俺の頬をみょんみょんと揺らす。
いや、喋れないのローザネーラのせいなのに……理不尽では? それに、別にデレデレはしてないぞ。
べちん、と軽く頬を叩かれ、俺の頬っぺたはようやく解放される。
何をするか、とローザネーラに抗議の視線を向けるも、腕を組んで「ふんっ」と顔を逸らされた。
「たしかに、あのおかしなひとたちはつよいわよ? でも、つよいものがすきなら……その、もっとみるべきあいてがいるんじゃないかしら?」
ちらちらと俺の方を見ながら、ローザネーラはなんとも遠回しな言葉を告げる。
はて、もっと見るべき相手とな? アリアさんとアカちゃん以外の強い人となると……。
俺は、横目でアルカイックスマイルを浮かべて佇むメイドさんを見た。
「…………メイさん?」
「ちがうわよっ! たしかによくわかんないくらいつよいけど! ぶきみなくらいつよいけど! そうじゃないわよ!」
「ローザネーラ様? メイドにしますよ?」
「ぴえぇ!? ワ、ワタシはなにもいってないわよ! ほんとうよ!?」
メイさんににっこりと微笑まれ、途端にびくびくしだすローザネーラ。
いや、確かに妙な迫力があったけど、「メイドにしますよ?」が脅し文句として通用するの、なんかいろいろとおかしくないか?
メイさんから素早く距離を取って俺の方へと近づいてきたローザネーラは、小さな指を俺の鼻先に突き付ける。
「とにかく! ますたーがみるべきはだれなのか、しっかりかんがえなさいっ!」
「え、あ……うん」
きっと吊り上がった瞳の強さに押されて、とりあえず頷く。
しかし、ローザネーラは何故にいきなり不機嫌になっているのだろうか?
特にこれと言った原因が思い浮かばず、はてと内心で首を傾げることしか出来ない。
付き合いは長くないとはいえ、俺の最初の召喚獣にして大事なパートナーなのだから、仲良くしたいんだけど……ううむ、困ったぞ。まったくもって思いつかない。
失言をして怒らせたのなら謝ればいいし、不注意な行動があったのならそれも同じくだ。
けど、先ほどまでの行動を振り返ってみても、ローザネーラになにかをした覚えはないんだよなぁ。
ただ、アリアさんとアカちゃんの戦いに夢中になっていただけだし……。
ん……? あれ、そういうことなのか?
「なぁ、ローザネーラ」
「……なによ」
「もしかしてだけど……俺がアリアさんとアカちゃんばっか見てたから、拗ねてるのか?」
そう尋ねたときの、ローザネーラの反応はとても顕著だった。
バッと勢いよくこちらに振り向き、みるみるうちに顔を真っ赤に染める。
くちびるがわなわなと震え、瞳にはじんわりと涙が浮かんできている。
あっ、これ図星だ。
「な……なぁ……なぁあっ……!?」
「な?」
「なんでっ! そういうことをはっきりいっちゃうのよ! ばかますたーーー!!!」
「ふべっ!?」
べしーん、とローザネーラの振るった手のひらが顔面にヒットする。
気付かなかったら怒られ、気付いたら気付いたでこれである。正解がないってバグじゃない?
まぁ、でも。
ぷんぷんと怒るローザネーラが可愛いから、いいか。
「ふふっ、とっても可愛らしいですね。ローザネーラ様は」
「ええ、でしょう?」
微笑ましいモノを見るようなメイさんの笑顔に、俺も笑みを返す。
ローザネーラが気付くまで、俺とメイさんはその姿をニコニコと見守るのだった。
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ではでは、また次回>




