水と油
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
TSロリっていいよね
どうも、作者です
更新頻度上げたいマンです
とりあえず目標は週一。いけるかなぁ。
あと、前回言ってた新キャラが遠のきそうです。
ではでは、本編へどうぞー。
「うぅううう……ますたーのばかぁ……!!」
「ごめんて」
「しゃざいがかるいわよ! ちゃんとはんせいしてるっ!? というかワタシをおどろかしてたのしんでるんじゃないでしょうね!?」
「そんな悪趣味なことはしないって。事前に伝えてなかったのは本当に悪かったよ。ごめんな、ローザネーラ」
「うぅ……ふ、ふんっ。つぎはゆるさないんだからねっ!」
目を覚ましたローザネーラに謝り、なんとか許してもらった。
事前にちゃんと言わなかったのは俺のせいだからね。報連相、大事。
さて、なんだか話が逸れに逸れまくったせいで確認が出来ていなかったアリアンロッドさんの話を聞かないと……。
ゾクリ。
……ッ!? なんだ、この突き刺さるような視線は……!?
「フフフ……ロリっ子同士の絡み……。これだけでご飯三杯はいけますわね」
「お嬢様、顔」
「おっと」
バッと振り返ると、アリアンロッドさんがこちらをすごい目付きで見ていた。
なんというかこう……肉食獣が木陰で休んでいる草食動物を見ているような目というか……。
ありていに言えば、身の危険を感じるような目付きだった。ローザネーラなんて警戒で俺の背中に隠れちゃったぞ。
「ええと、アリアンロッドさん? それで、どうして俺のところに?」
昨日、アカちゃんと一緒の時に来た『一緒に遊びませんか(訳)』というDM。
同じ誘いを先にしてきたアカちゃんも一緒でいいか聞いて、快くOKを貰えた後に立てた予定では、【アインス】の噴水広場で待ち合わせという予定だった。時間もかなり早めだ。
「ああ、そのことですのね。確かに、愛らしいヴェンデッタさんとの待ち合わせは捨てがたいモノがありましたが……」
「いや、それは聞いてないです」
「そうですの? まぁ、端的に申し上げるなら、『出し抜くため』ですわね」
「出し抜く……?」
いや、なにを?
はてな、と首を傾げた俺に、アリアンロッドさんはにっこりと微笑を向ける。
その笑顔に反応してローザネーラは数メートルほど後ずさった。すごいな、見事なバックステップ。前衛職としてもやっていけそうな精度だったぞ。
「まぁ、いいではありませんか。私、一秒でも早くヴェンデッタさんとローザネーラさんに会いたかったんですわ。あなたたちとは是非に仲良くしたく思っておりますの。それに、昨日は余りおしゃべりできませんでしたし。待ち合わせ場所に向かいながら、いろいろとお話しましょう」
「はぁ……そう言うことなら……」
結局、なにを出し抜こうとしているのかは分からずじまいか……まぁ、いいか。人の考えをあれやこれや邪推するもんじゃないし。
むしろ、有名実況者とこうして話が出来る機会があることを喜ぼう。
配信で気を付けてることとか、リスナーとの付き合い方とか。聞きたいことは山ほどあるしな。
超絶人気物の秘訣、是非ともご教授願おうじゃないか……!!
俺がそう気炎を燃やしていると、アリアンロッドさんはローザネーラの方に話しかけていた。
「ローザネーラさん、ですわよね?」
「ぴぃい!!」
……いや、ローザネーラよ。近づかれただけでそんな飛び上がらんでも。
突然大型犬に吼えられた子猫みたく、ぴょんっ、と小さくジャンプしてアリアンロッドさんから距離をとったローザネーラ。
吸血鬼特有の犬歯を剥き出しにして、鋭い視線でアリアンロッドさんを警戒している。
そんな、ともすれば失礼に当たるような反応をされたアリアンロッドさんはというと……。
「ハァ、ハァ……可愛い……。小動物系の愛らしさが全開でやべぇですわ……。あぁ、思いっきり抱きしめてナデナデしたい……ついでに髪の毛の匂いを思いっきり吸いたいですわ……!」
何故か、恍惚の表情を浮かべてハァハァしていた。
……うん。ローザネーラの対応は、あながち間違ってないのかもしれない。
じりじりと後退し、アリアンロッドさんから逃れようとして結局俺の背中に戻ってきたローザネーラの頭を撫でながら、俺は引き攣った笑みを浮かべた。
あっ、メイさんがハリセンでアリアンロッドさんをぶっ叩いた。正直グッジョブ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ああぁ、出し抜くってこういうことかぁ。
俺は完全に怯え切ってしまったローザネーラの身体を抱きしめながら、現実逃避気味に納得感に浸っていた。
あーあ、身体の震え方が尋常じゃないぞローザネーラ。バイブレーション機能なんてスキルは覚えてないだろー。
ローザネーラの背中をポンポンと叩き、なんとか落ち着かせようとしていると、俺の肩がポンポンされる。
視線を向けると、ちょっと呆れた感じの眼でこちらを見るメイさんがいた。
「あの、イチャイチャするのは構いませんが、そろそろあちらをどうにかしてもらえませんか?」
「あちら……??」
「いえ、その『何言ってんだこのメイド』みたいな顔をされましても……」
・逃げるなァ! 逃げるな卑怯者ぉ!
・いや、本当にどうにかしてくだしあ
・長閑な始まりの町が地獄みたいになってんだけど
・掲示板でも話題になってるんだよなぁ
・NPCが可哀想
・この状況を止められるのはただ一人、キミだ!
ダメ? ダメかぁ。
メイさんに、それにコメントでもそう言われてしまえば、目の前の現実から逃げ続けるわけにもいかない。
非常に気は進まないが、メイさんのいう『あちら』に目を向けよう。
【アインス】の噴水広場。NPCや初心者プレイヤーでにぎわう穏やかな空間。
昨日、俺がブラウ君と決闘したその場所に――――地獄が降臨していた。
「……このっ、イカレドリルめ……ッ!!」
「おーほっほっほっほっほっほ!! 負け狐の遠吠えが耳に心地いいですわぁ~~~~~!!」
広場の中央、噴水の前で対峙する二つの影。
一人は、桃色の狐耳と狐しっぽをピーンと逆立て、鬼の形相を浮かべているアカちゃん。
そして、腰に手を当ててもう片方の手をぴんと伸ばして顎の下に沿え、お手本のような高笑いをするアリアンロッドさん。
バッチバチに火花を散らしながら向かい合うその構図は、まるで昨日の再現のようで。
二人の醸し出す異様で危険そうな雰囲気に、噴水広場からは人がいなくなっていた。
……いやもう、どうしてこうなった。
昨日、アレだけ息ぴったりだったんだから、もう少し仲がいいと思っていたんだけどなぁ。
「ねぇ、どんな気持ちですの? ねぇねぇ、今どんな気持ちなんですの~~? 待ち合わせ場所に仲良く現れた私とヴェンデッタさんを見たご感想を、是非ともお聞かせいただけます~~~~??」
「……今の、わたしなら……ッ! 憎しみで、人が殺せる……ッ!! 覚悟しろ……ッ!!!」
いやもう、怖いぃ……。
殺気? 瘴気? 冥気? とにかく、浴びたら体調不良になりそうな空気が二人を中心に巻き起こっている。
アカちゃんに至っては、腰に差した刀をカチカチさせてるんだけど。抜かないよね? 町中で斬殺事件とか洒落になってないから辞めてね?
「ボスやってた時のローザネーラよりも迫力があるんじゃない……? アレを止めるのかぁ……うぅ、やるしかないかぁ……」
「あ、あんなのとくらべるんじゃないわよぉ……!」
・あwんwなwのw
・ネームドボス以上とはたまげたなぁ
・異常だからね
・戦闘中のヴェンデッタちゃんもたまにあんな感じで怖くなるじゃん
・おっ、お似合いじゃ~ん
・三すくみの怪獣大決戦やるってマジ?
「安全圏だからって好き勝手言ってくれるなぁ……。駆け付けて、手伝ってくれてもいーんだよ?」
ちょっと小首を傾げて、上目遣い気味にカメラくんを見てみる。
さらにピンと立てた人差し指を唇に当てて、愛嬌をプラス。
瞳を潤ませるオプションも付けてやろう。
元男性としてのプライドはないのかって? 背に腹は代えられないんだよなぁ……。
・おっと、ちょっと用事を思い出した
・ああ、この後大事な会議があったんだった!
・うぐぅ、持病の腹痛が突然……。
・なに? レーダーに反応だと? すまない、敵が来たようだ……。
・くぅう、駆け付けたいのはやまやまだが、こっちもピンチでなっ。
・命は惜しいよ
「ええい、この役立たずぅ!」
全力で媚びを売ってもダメ、と。
まぁ、気持ちは分かるから何も言えないんだよなぁ。あと、最後のヤツはもっと誤魔化そうとしろ。ちょっと正直すぎるわ。
ああ、気が重い……。
俺は肩を落とし、そっとため息を漏らしながら、言い争いをしている二人に近づいていく。
いや、コメントに力を求めたのが間違いだったな。
俺には頼りになる相棒がいるじゃないか。そう、ローザネーラと一緒なら、どんな困難だって乗り越えて……。
「…………ローザネーラ? どうして直立不動で敬礼してるんだ? マスターのピンチを助けてくれてもいいんじゃないか?」
「やだっ!!!」
「うん、元気が良くてよろしい」
孤軍奮闘が決定した。
もう一度、大きくため息を漏らした。
ご拝読有難うございます。
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新キャラは……うーん、二、三話以内に出る……かも??
ではでは、また次回ー。




