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TSしちゃったからスパチャ暮らし求めてVRゲームの実況者になります ~見た目メスガキ、頭脳は修羅~  作者: 原初


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おれ は しょうき を うしなっている !

TSロリっていいよね

TSロリっていいよね

TSロリっていいよね


五月病の魔の手からなんとか逃れました。どうも作者です。

五月は本当に一文字も書けなかった……。遅れながらの更新です。本当に申し訳ない。

てなわけで、本編どうぞー。

 森の中で魔物たちをばっさばっさ。


 首切り君を振るう音と、魔物の断末魔が奏でる汚いハーモニー。


 緑いっぱいの自然の景色に、赤い粒子が良く目立つ。

 

 そうやって出てくる端からなで斬りにしていると、予定の時間が近づいてきた。


 

「ローザネーラ、そろそろアインスに戻ろうか」


「あら? もうかえるのね。ワタシはいいけれど……ますたー、きりたりないんじゃないの?」


「人聞きが悪すぎる……俺をなんだと思ってるんだ……」


「え? まものにききとしてきりかかるおかしなひと?」



 ぐふっ。


 こてん、と首を傾げ、「なにあたりまえのことをいってるのかしら?」と言わんばかりの無垢な瞳にさらされる。心に大きなダメージを負った。


 チガウ……チガウヨ……そんな危険人物みたいに言わないで……。



・いや草

・ローちゃんバッサリで草

・まぁ、魔物に嬉々として斬りかかるおかしな人やな

・魔物にとっては通り魔以外の何物でもないんだよなぁ

・残(念ながら)当(然と言わざるを得ない)

・今日一のダメージ受けてるの草なんよ



 ええい、コメントも好き勝手言いおってからにっ!


 

「いいか、ローザネーラ。俺は別に、魔物を斬って喜んでるわけじゃないぞ。ただ近接戦闘の腕を上げたくて、特訓をだな……」


「……まえまえからふしぎだったんだけど、ますたーってしょうかんしよね?」


「え、うん」



 どっからどう見ても召喚士やろがい。


 てか、俺が召喚士だからローザネーラは今ここに居るんだが? 何をいまさら……。


 しかし、ローザネーラは眉をひそめて。



「しょうかんしってふつー、こうえいでまほうをつかうものじゃないかしら? それなのに、どうしてぶきをもってたたかっているの? まものにききとしてきりかかるこうえいしょくとか、ワタシ、みたこともきいたこともないわよ」


「そ、それはアレだよ……多様性? ほら、世界にはいろんな人がいるんだ。武器を握る後衛がいたっておかしくないだろ」



 理路整然としたローザネーラの追求に、さっと視線を逸らす俺。


 見た目は完全に子供なのに、そこは流石吸血鬼というか……。追求が鋭すぎて、苦しい言い訳しか出来なかった。



「まぁ、ひゃっぽゆずって? ますたーのいうとおり、ぶきをもつこうえいがいてもいいわよ。けど、なんでよりによってぶきが『それ』なのよっ! もっといろいろとあったでしょうっ!」



 ローザネーラがびしり、と俺が持つ首切り君を指さす。



「おおがま!? けんでもやりでもおのでもつえでもなく、おおがまって! ますたーはなんでそう、ふつうじゃないほうにいきたがるのよっ! もしかしてあれかしら? ひととちがうことをかっこいいとかんちがいしちゃうひとなのかしら?」


「やめてくれローザネーラ……その言葉は凶器だ……」



 首狩り君よりも鋭い言葉の刃がぐっさぐっさ。俺の心の柔いところにぶっ刺さる。


 違うからね。厨二病とか、邪気眼とか。全然そんなことないからね? エターナルフォースブリザードとか言わないからね?


 

・やめて……ローザネーラちゃんやめて……

・うぐっ、封じていた筈の記憶が……!

・ヤメロォー! シニタクナーイ! シニタクナーイ!

・死屍累々で草

・あまり強い言葉を使うなよ、俺が死ぬぞ

・ヴェンデッタちゃんはまぁ……厨二で間違いないんじゃない?



「いやまって? 本当に違うから! わざわざ珍武器使う俺カッケーとか思ってないからぁ! というかコメントぉ! 俺のこと厨二って呼ぶのは辞めろォ!」


「ふーん? じゃあ、ますたーはどうしておおがまをつかっているの?」



 瞳をすっと細めながら、ローザネーラが聞いてくる。


 呆れが多分に含まれた視線が下からビシバシと俺に当たる。


 さっと視線を逸らす俺。情けなさの極みかな?



・ローちゃん「大鎌使うなんて馬鹿じゃないの?」

・言ってないけど言ってる

・目がね……とっても雄弁……

・まぁ、C2のウィキにも『やめておきましょう』って書いてあるし……

・大鎌はやめとけおじさん「大鎌はやめとけ」

・長柄武器使いたいなら槍でいいからね



 おっと、視聴者たちはローザネーラに付いたようだ。


 一緒に厨二の罪業に苦しんでいたと思ったのに、手のひら返しの達人どもめ。



「ねぇ、ますたー? どうして?」


「そ、それは……」



 こ、これは……分水嶺っ! 


 ここで俺が出す答えによって、今後ローザネーラの俺に対する印象が決定づけられてしまう。


 尊敬されるマスターか、変な人か……ここは是が非でも前者だと思ってもらわなければっ!


 どうすればこの状況を切り抜けられる? なんて答えればいいんだ?


 まず思いつくのは大鎌の有用性を雄弁に語ってみること。


 シンプルだけど、一番効果的だろう。


 強いから使っています、でQ.E.D.である。


 が、これは不可能である。


 ぶっちゃけ、実利的な面で大鎌を使う理由なんて無いに等しい。


 長柄武器にも拘わらず、歪曲した刃が内側を向いている大鎌は間合いを詰めないとロクに斬撃を放つことすらできない。


 形状からしてバランスが悪いから、構えるのだって一苦労。


 狭い屋内とかじゃほとんど使い物にならないお荷物と化す。


 当然、そんな特殊な武器だから上手く扱うには高い技量が要求される。


 俺だって、首切り君を十全に扱えているのかと言われれば首を横に振るしかない。


 今日の戦闘で、頭の中にある動きと実際の動きとのズレをある程度は直せたけど……それでも、ギリギリ及第点と言ったところだ。


 そもそもの話、大鎌って武器じゃないしね! 死神とかアニメとかの影響でカッコイイ武器みたいなイメージがあるけど、ただの農具だからね! 武器として使うのが間違ってるからね!


 じゃあ、何かしら大鎌に思い入れがあるってことにするとか?


 死んだ父親も大鎌使いで、その想いを継いでいる的なエピソードを語ってみる……うん、無理があるね。


 そんな即興で物語を造り上げる能力なんてないし、説得力のある話なんて出来そうにない。


 下手に嘘を付けば、それこそ俺のマスターとしての尊厳が大暴落。ノンストップでマリアナ海溝の奥底へ落ちていくだろう。


 ならば――――こういう時こそ、視聴者の力を借りる!


 そうだ、俺はまだまだ新参者とは言え配信者。俺にはコメントという集合知の力がついているんだ。


 視聴者と苦楽を共にしてこその配信者だとどっかの誰かが言っていたような気がするし。


 俺が苦心している今、視聴者は力を貸してくれるはずっ!


 さぁ、なんか普通に五桁を超えてしまっていて数字を見る度にビビりそうになる同接視聴者諸君! オラに知恵を分けてくれーっ!



・巨大武器持ちのロリってだけで最高だし、いいんじゃない?

・銀髪×ロリ×メイド×巨大武器というフェチの塊

・オタクが好きそう(直球)

・オタクですがヴェンデッタちゃん好きです(剛速球)

・厨二病っぽさもあるけど?(死球)

†死神幼冥土†(アリス・オブ・デッド)



 ま る で や く に た た な い 。


 特に最後ォ! 痛々しい二つ名を勝手につけるんじゃないっ! 定着したらどうするっ!


 ええい、なにが集合知か。結局ゼロに何かけてもゼロに変わりはなし。期待した俺が馬鹿だったな。


 内心で頭を抱える俺に、ローザネーラが不機嫌そうに頬を膨らませる。



「ますたー? どうしたのかしら? ほら、おおかまをつかうりゆうを、ワタシにはなしてみせなさい」


「……ローザネーラ、なんか楽しんでないか?」



 俺の言葉に、きょとんとした表情を浮かべたローザネーラは、次の瞬間。


 

「ええ、それはもう! わたわたしてるますたーをみるの、とってもたのしいわ!」



 輝くような笑顔を浮かべ、ローザネーラは力強く頷いた。


 がくり、と俺は肩を落とす。



「だって、なんだかワタシばかりおどろいたりあわてたりしてばかりなのだもの。ちょっとくらいやりかえしたっていいとおもわない?」


「やられてる側はたまったもんじゃないんだけどぉ……」


「それはこっちのせりふよ。ますたーはへんなことばっかりするんだもの、こころがもたないわ」


「ええぇ、そうかぁ……? 俺、そんなに変なことしてないと思うんだけどなぁ……」



 何処にでもいる一配信者ですことよ? と首を傾ける。ううむ、思い当たる節はないなぁ……。



・ローザネーラちゃんにっこにこで草

・溜まってたんだろうな……色々と。

・そこで首傾げるのはおかしくない……?

・いやー、あのやらかしっぷりで普通は無理でしょ

・普通に謝ってほしい

・無理があろうと思われます



 コメント……!? またお前たちは俺の敵に回るというのか……!?


 くそ、なんだこれは。なんで突然四面楚歌に陥ってるんだ? 何処で選択を間違えたと言うんだ!?


 時間が過ぎるごとにローザネーラの視線はどんどん冷たくなる。


 どうする……? どうすれば……!? 


 どうしようもなくない……っ!?


 思考をフル回転させるが、そもそもテンパっている状態でそんなことをしても意味がないのは明白なわけで……。


 それどころか、混乱の渦をさらに高速回転させたもんだから、俺の思考はわたあめの如く絡まりふわっふわになってしまう。


 分からなくて、判らなくて、解らなくて。


 結局、思考は熟考という名の暴走列車に乗って、空の果てに飛んで行ってしまった。


 俺はフッと口の端を持ち上げて笑いながら、口を開いた。



「――――ロマン、かな」


「は?」


「おっと、そんな冷たい声を出さないでくれよ。それに、ちょっとこっちを見てくれ」


「な、なによ……。というか、ますたー? なんだかめがおかしいわよ……?」



 怪訝そうな顔で俺を見るローザネーラへ、にこやか笑顔を向ける。


 すると、「ぴぃ!」とローザネーラは変な声を上げて黙りこくってしまった。


 あっはっは、どうしたんだろうなぁ? おかしなローザネーラ。


 まぁ、いい。


 俺は半身になって軽く肩を上げ、首狩り君を背中に回す。刃を下に、石突を天に向けて、びしりとポージング。


 最後に、パチンと音がしそうなほど大げさに、ウインクを一つ。


 ローザネーラと、彼女の傍を飛んでいたカメラくんに向かって飛ばして見せた。



「――――似合ってるだろ?」


「…………は?」



・ヴェンデッタちゃんおかしくなっちゃった……

・追い込みすぎた結果がこれである

・目が笑ってない

・すごいな、アレだけ完璧に表情作ってるのに、目だけマジで死んでるもん

・だれかー! 視聴者の中に精神科医の方はいらっしゃいませんかー!?

・何をどうすればこの結論になるんだよ



「ま、ますたー? いったいなにをいって……」


「まぁ聞いてくれ。ほら、俺って可愛いだろ?」


「…………ほ、ほんとうにどうしちゃったの?」



・可愛いのは、まぁそう

・ぐうの音もでない

・自分で言うのは草なんよ



「小さくて可愛い俺に、無骨でカッコイイ大鎌。このギャップこそが俺が大鎌を使っている理由だよ。曰く、巨大武器×小さい女の子のギャップはロマンだと、古事記にも書かれている」


「どうしようっ、ますたーがへんになっちゃった!?」



・もともと変だったのでは?

・うーん、否定はできない

・幼女×巨大武器がロマンなのは、まぁそう

・やっぱ古事記って何でも書いてあるんだな

・その古事記が特別なだけでは?

・つーか、ローザネーラちゃんには分かんねーだろ古事記



「なんでここでとうようのこもんじょがでてくるのかわからないし、そんなことがかかれてるわけないでしょっ! はやくしょうきにもどって、ますたー!」 


「何を言ってるんだローザネーラ、俺は正気だよ。至って正気だ。正気正気……ははっ」


「そのかわいたえみをやめてっ! とってもこわいのよぉ!」



・うーん、これは重症ですねぇ

・古事記あるんだこの世界……

・何が書いてあるんだろうな、この世界の古事記

・微妙に重要そうな情報じゃない? これ

・考察班が喜びそう

・和風系の街はまだ発見されてないし、情報もほとんどないからね……


 

 ハッハッハ、一体全体、ローザネーラは何に焦っているんだろうね?


 ほら、俺はこんなにも可愛くてロマンに溢れていて、つまりはイツモドオリだぞ?


 心配することなんて何も……そう、何もないさ……。



「だったらすこしはあんしんさせなさいよぉ、ばかぁ!」



 がっくがっくと俺の身体を揺さぶるローザネーラは、半分涙目になっていた。


 やれやれ、俺は大丈夫だと言っているのに。


 そう、ちょっと十七次元の構造と現実性について宗教学的な解釈を考えているだけで……。




「見 つ け ま し た わ~~~~~~~~~~~~~~っ!!!」

 


 ……なんだぁ?


 突然聞こえてきた大声。


 なんだか聞いたことがある……具体的には、画面の向こうと最近直に聞いたような気がする声に、そちらを振り向いた。



・聞き覚えのある声だなぁ

・運気を滅茶苦茶にされそうな声が聞こえるんだが?

・おいおいおい、

・ハーブ生えてきそう、ミントとか

・公害じゃん

・……いや、え? なんでいるのお嬢



「…………アリアンロッドさん?」



 真紅のドレスに、蜂蜜色のド派手な髪型。


 その美貌をだらしなく笑みの形にした超有名配信者が、そこに立っていた。


 ……いや、なして?

読んで下さり有難うございます。

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次回更新はリハビリがてらぼちぼち進めますので……。

ではでは、また次回。

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[良い点] おハーブですわ〜
[一言] 頑張ってー
[一言] 古事記になら書かれててもおかしくないな、だって古事記だもん。
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